リュウソウ族、ドルイドン、そしてエラス。情報過密の中、派手なアクションを織り交ぜて一瞬たりとも目を離せない展開が続き、一方でギャグも挿入するという凄まじい物量のエピソードでした。
クライマックスに向けて、善悪同根というなかなかハードな設定が登場し、敵味方の両者を単なる線対称の両側に置いて見せたのは、スーパー戦隊にしては随分とハイブロウな展開だなと思いました。
ヤバソード
再びエラスによって暴走(実は「暴走」というわけでもないことが後から分かるのですが…)し始め、プリシャスに心臓のカードごと粉砕されるという末路を迎えましたが、ワイズルーが破れたカードを拾っていたので、再登場があるかも…?
ちなみに、公式サイトの「遺影リスト」にも現時点では載っていません。
ガンジョージ
こちらは必死の突破を試みるメルトたちによって粉砕されます。
プリシャスのために体を張って結界を守り、そして散る姿は、敵ながらあっぱれといったところですが、当のプリシャスはその犠牲に対して貴重な手駒を失ったという感覚しかありません。リュウソウジャーにそれを皮肉られるというシーンもあって、プリシャスの群を抜いた悪辣さが際立ちました。
プリシャス
そんなプリシャスの悪辣さを見るに、エラスが滅ぼそうと考えても無理からぬ気がするわけで、このあたりの感情の誘導は巧いなと感じました。
クライマックス戦では、息もつかせぬ攻撃を繰り出すリュウソウジャーの前に、再生が追い付かずに敗北するプリシャスの様子を見ることができます。これまで特に再生能力がアピールされていたわけではないので、敗北の段になってようやくプリシャスのアドバンテージが明確になるあたりは、ここでは皮肉に思えましたね。
そして最後はエラスに同化されてしまいます。この展開はプリシャスのキャラクター性を考えれば至極妥当なところではないでしょうか。正直なところ、同化シーンのエフェクトが物凄くて、プリシャスではなくクレオンが同化されてしまったのかと勘違いしてしまいましたが(笑)。
リュウソウ茶色
予告で登場していた銅色のガイソーグ。私はマスターブラックかと思っていましたが、何と予想の斜め上、正体はセトーでした!
しかも、セトーの肉体はあくまで龍井さんなので、戦闘力は皆無に等しいという…。全編が勢いと重さに溢れる中、数少ない清涼剤の役目を果たしていましたね。アクターさんと吹越さんのシンクロぶりも素晴らしかったです。
それでも、さすがは良い意味で老獪なるセトー。リュウソウルを巧みに組み合わせる戦法をその場で編み出し、プリシャスを追い詰めるきっかけを与えたのですから、今回の殊勲者ですよね。
ここでセトーは退場となりましたが、果たして…?
コウとアスナ
最終編になって、この二人がコンビを組むシーンが多くなりました。実に喜ばしい。
アスナは、ようやく怪力キャラを存分に発揮するカットが登場。これがもう少し頻繁に登場していたら良かったんですけどね。
マスターブラック
今回は「立っている」キャラが多い…。
マスターブラックが心臓に問題を抱えている描写があったり、照れ隠しの下手なバンバに貶められたり、ふざけるリュウソウジャーを一喝したり。実に魅力的ですね。最後の最後で後見人キャラになるとは…ですね。
ティラミーゴ
エラスを封印すれば自らも封印されることになる。それが騎士竜の定めでした。
コウが使命を果たすことができるのならば、それを厭わないというティラミーゴの決意を吐露するシーンが素晴らしく、いつの間にか饒舌になったティラミーゴへの愛おしさが爆発するシーンに仕上がっていましたね。
ピーたんが喋るカットとの切り替えで、ティラミーゴだけではない、騎士竜皆の意志であることが示されるのも見事でした。
ワイズルー
やっぱり生きていたワイズルー! 喋りたかったことをクレオンに全部言われてしまうのもお約束。
争いの本質に気付くあたりも知性派の面目躍如でした。クレオンとのコンビがどうなるか、凄く楽しみです。このコンビ自体、シリーズ進行に伴って(ワイズルー人気に後押しされて)後発的に決定されたのではないかと思われる節もありますよね。
エラス
リュウソウ族もドルイドンもエラスによって生み出されたという「驚愕の事実」が提示されます。まあ、このあたりのプロットはSF界隈ではよくある話で、スタートレックのヴァルカンとロミュランだったり、色々とあります。
ところが、今回の見事さはその奥にありました。
リュウソウ族を生み出してみたものの、破壊的、暴力的な衝動から戦いを繰り返す「蛮族」に成り果て、それを滅ぼすべく生み出したのがドルイドン。ところがドルイドン自体もその能力に溺れて悪行を繰り返すようになったので、エラスは両方滅ぼすしかないと考えたわけです。
人類の根源が悪だから、地球外生命体が滅ぼしにやってくるという、よくある話を換骨奪胎した、非常にアクロバティックな設定でしたね。結局、エラスが生み出すものは性悪説に根ざした生命体に過ぎないという話で、コウたちは騎士道を導入することでようやく「正義の味方」を名乗れるようになったと。
これまで何度か言及されて来たリュウソウ族の暗い側面が、ちゃんと理由付けされた時点で、今シーズンの価値は盤石のものとなりました。きちんと考えられていたんだね…と。
しかし、人類自体は置いてけぼりの感もありますね。これはまあ「ジュウレンジャー」でもそうだったので、とりあえず良しとします(笑)。
次回
いよいよ残すところあとわずか。今回の衝撃を超える展開が待っているのか、楽しみですね。
今回登場した銅色のガイソーグ。
自分もてっきりマスターブラックが変身した姿だと思ってましたが、見事にだまされました(笑)
かつて、こんなに頼りない感じのヒーローがいただろうか
(アニメですが、ボスボロットみたいなもんですか。しかも頼りないくせに、ここぞというところでちゃんと活躍するのもお約束)
あと、違う色のガイソーグが出てきたという事は、まだ他にあるんでしょうかね。
出来れば郷さんに変身・・・無いんでしょうね。
それではまた。
先週分が録画トラブルで見れていませんので、1週とんでのコメントです。ので、色々とつながらない感じで見ていますので語弊がある場合は御勘弁ください。
プリシャスが言った元々エラスから生まれた善悪同族、って設定には驚きましたね。しかも物語上の悪であるドルイドン側が後発、という・・・リュウソウ族ってなんなん?と思われるところも厭わない展開にはある種の感動すら覚えます。
正義のヒーローだって間違えることもある、ということでしょうか。間違っても気づいたら正しくすればいい、というのは子供向けの教育としても良いと思います。
あとワイズルー様が生きていたので、ラストに向けてエンターティナーがもう一つ盛り上がれるのは個人的に嬉しいですね。
次週は「ラス前」。過去の戦隊では結構ココで泣かされてきましたが、さてはて今シリーズは如何に。。。
最終決戦の前に伏線を回収して、「役者は揃った!」という感じの回でした。
全編を通して、後見人的なキャラが弱いと思っていたリュウソウジャーでしたが、マスターブラックは叱咤はするけど「上司」として命令する立場ではないし、リュウソウブラウン(笑)は年の功を生かして引き出しの多いユニークなキャラになってるのが、上手いなぁと思いました。
一つだけ引っかかるのは、リュウソウ族とドルイドンが同源という種明かしで、我々ホモ・サピエンスが置いてけぼりなんですが(苦笑)、ここは最終回まで見終わった後で、もう一度考えたいと思います。
造物主への反抗、神殺し、善悪の反転等々・・・。これまで様々な作品で描かれてきたテーマではありますが、戦隊では、おそらく初なのではないでしょうか。ヒーロー側に悪の側面があるというのは、子供向け作品では描きにくいからでしょうね。
そして、エラスを封印できる騎士竜だけがエラス由来ではないという・・・。だから「騎士竜戦隊」なんですね。
リュウソウブラウンは、ちょっとやりすぎかも?と思いました。いや、個人的には好きなんですけど、尺とりすぎじゃね?千葉繁さんバージョンのキョウリュウバイオレットを思い出しました。