騎士竜戦隊リュウソウジャー 第32話「憎悪の雨が止む時」

 遂に、遂に、やっと…ガイソーグ絡みのエピソードが解決。次回に待っているであろう「正式加入」が真の完結だとは思いますが、とりあえずナダが確実に正気に戻ったわけで。



ジャックオーランタンマイナソー

 今回はプロットを整理する意図なのか、特段ストーリーのバックボーンを持たないドルン兵が生み主。ドルン兵ということで、巨大化に関するストーリー上の制限も皆無であり、今回のギミックに特化していると言っても過言ではないほど無機質でした。

 その「ギミック」自体が秀逸そのもので、憎しみを吸収して憎しみの雨を降らせるという設定であり、それがナダとコウを救う手段となったところに大きな価値があります。

 一応、ハロウィーンが近いということでジャック・オ・ランタンがモチーフになりましたが、分かり易いデザイン以外にハロウィーンの典型要素を感じさせるところは特になかったように思います。あ、そういえば飴を配ってましたね。

プティラミーゴ

 赤いティラミーゴに鮮やかな青のプテラードンが合体し、空飛ぶティラノサウルスになるというビジュアルが素晴らしい合体形態。ネーミングもメチャクチャ分かり易いですし、個人的に登場シーンは今回のベストシーンの一つでした。

 マジンガーZのジェットスクランダーを持ち出すまでもなく、飛べない戦力が飛行能力を手に入れるという展開は確実に燃えるものがありますね。

キシリュウオージェット

 プティラミーゴの単体変形かと思いきや、パキガルー&チビガルーも合体し、空飛ぶヘビー級ボクサーになるところが素晴らしい。

 やはりウイング付きのロボットは格好良いですね。戦隊ではアクションの制約もあって少ないタイプではありますが、いわゆるスーパーロボット系の定番なので、登場すると嬉しさも倍増します。

ガイソーグ

 ナダは完全にガイソーグに取り込まれてしまったという話なのですが、実はまだ完全に取り込まれていない…ってどっちなのかとツッコミを入れたくなりました(笑)。まあ、ギリギリの線を彷徨っていたというのが正しいところでしょう。

 私が予想を裏切られた(勿論、良い意味で)のは以下の4点。

 一つ目はトワの攻撃。ドッシンソウルでリュウソウグリーンが初めて強竜装するくだりもさることながら、ガイソーグの中のトワを弱らせることで、強き者を求めるガイソーグを引き剥がす作戦が秀逸。ナダ救出作戦のすこぶる理知的な展開の幕開けでした。

 二つ目はコウの行動。強き者としてガイソーグを引き寄せて自分に装着させるという荒技に出ました。裏を返せば、以前にも描かれたコウの中に潜む「強さへの渇望」が顕在化した結果とも言え、単純に戦力的に拮抗しているであろうバンバの方にガイソーグが向かわなかったのはその証左と言えるでしょう。ここは、一連の理知的な「作戦」の中で唯一行き当たりばったりのコウらしい行動でした。

 三つ目はバンバの叫び。これまでで最も熱い感情の爆発を見せたバンバ。かつてナダと行動を共にした経験が、ここに帰結しています。騎士の心を持ちながら、常に現状から逃げ続けてきたナダに対する怒りが含まれているところに、このシーンの熱さがあります。このバンバの叫びによって、ナダが本来の自分を取り戻すくだりは、実に素晴らしかったですね。アスナとトワが涙を流しているカットには、素直に感動しました。

 四つ目はやはりマイナソーですね。マイナソーにガイソーグの強大な憎しみを吸い取らせるという、実に理知的な作戦には心を揺さぶられました。何らかの「奇跡」に頼らない作劇、現状のシチュエーションと手持ちの駒で何とか対処するプロットは絶賛に値しますね。しかも、その強大な憎しみが雨となって降って来る前にマイナソーを倒さなければならない…というタイムリミットまで設けてあったのには驚きました。

 これら4点が素晴らしかったので、これまで散々不満を述べてきたガイソーグに関しても、すっかり陰陽師風に言えば「呪(しゅ)が解けた」というか、カタルシスを感じてしまいました(笑)。救われた後でも、ナダが「嫌いや」と呟くところも良かったですね。長田さんの芝居が巧いので、コウを斬った際の感情とは全く異なることが分かります。

追加戦士??

 憎しみがすっかり消えたガイソーグを、ナダは完全に制御できるようになり、エピローグにてマスクオフ状態で登場。かなーり長い尺を費やしましたが、オーソドックスな追加戦士登場譚そのものでしたね(笑)。ガイソーグのボディの造形物はFRP製ではないため、少々傷みが見え始めていますが、追加戦士として活躍する際、何か形態変化でもあるんでしょうか。このテの嚆矢であるウルザードはウルザードファイアーに変化しましたが…。

次回

 予告でチラ見せとなった新しくヒロイックな造形物のキャラクター。あれこそガイソーグver.2かと思いきや、あれはリュウソウレッドだそうで(笑)。おい、そこはガイソーグのパワーアップだろうとツッコミを入れつつ、楽しみに待ちたいと思います。



投稿者: SirMiles

【マー 🏃 SirMiles / Masafumi Fujimura / https://sirmiles.com / maruzoku】 Run、音楽、プラモ。趣味は広く浅く。生業はIT系。

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8件のコメント

  1. ドルイドン側はワイズルーよりガチレウスの時のほうが悪役らしさがしっかりと描かれているような気がします。クレオンにとってはパワハラが凄いのでお気の毒様って感じですが。

    そして今回のメイン、ともいえるバンバ兄さんの魂の叫び!番組当初からの無表情さはこのシーンの為なのか!!というほど熱いものを頂きました。アスナとトワの涙にはしっかりともらい泣きしてしまいました。。。

    とりあえずこれでナダもリュウソウジャー入りですかね。彼の性格からするとメンバー入りした瞬間に、やっぱりレッドがええ!みたいな何かがもう一うくらい出てきそうな気がしますが。笑

    1. この回のバンバの叫びの熱さはたまりませんね。この瞬間のために積み重ねてきた朴念仁なのかと思うと、ホントに感慨深いものがあります。

      ナダは残念ながらアイテム化してしまいましたが、マスターが色んなエクスキューズを纏って何回も出てくるので、再登場もありそうですね。

  2. ガチレウスにパワハラを受けるクレヨン。
    いつもだったら可哀想な展開なんですけど、結局クレヨンもその鬱憤を部下で晴らしてんですよね。
    今回は中間管理職の悲哀よりも平社員の悲しみを感じました(涙)
    で、問題だったガイソーグ解決編(?)ですが
    「呪が解けた」
    あたりの描写は盛り上がりましたね。
    個人的には呪いと一緒にガイソーグの能力も無くなって、ただの重いだけの鎧になってジ・エンドだと面白かったんですけど
    (それもナダらしいような)
    次回からしっかり追加戦士という事でしょうか。
    とにかくこれで妙な詰め込みすぎ感が無くなる事を期待したいですね。
    それではまた

    1. 最終的な被害者がドルン兵というのも、哀しいものがありましたね。クレオンも相当気の毒ですが、ホワイトな悪の組織というのもアレですからね(笑)。

      ガイソーグ自体が今後に生かされる展開はナシになってしまいましたが、そのあたり、なんだかなぁ…と思うんですよね。

  3. ガイソーグの鎧について落着したのは意外でした。ナダに関しては解決しても、ガイソーグそのものはもう少し引っ張ると思ったので。ま、それやっちゃうと、また余計な枝葉が増えてしまいますが。
    ナダのキャラクターは、本当に演者の長田さんの力が大きかったと思います。関西弁になったのも長田さんに合わせての変更らしいですし、嫌われたり、退場してもおかしくない闇堕ちキャラでありながら、ギリギリ憎めない線で落とし込んでいましたから。
    ただ、本当に追加戦士の王道いっちゃってるんですよねぇ・・・。カナロが薄いわけではないんですが(汗)。

    1. 確かにガイソーグ自体をこれで終わらせたのは、なんか呆気ないというか、意外な感じはありましたね。

      長田さんがキャラを作り込んだことは、確実にプラスに働きましたね。長田さんならではの「爪痕」でしたし、関西弁によってリュウソウ族に予期しない厚みが出たような気がします。実に惜しい…。

  4. 愚兄です。
    ガイボーグの鎧を引き離す方法、おっしゃる通りトワの「頭を使った戦い」が成長を感じさせます。コウの行動もヒーローチック(というより非常にコウらしい。これまでのキャラづくりが生きています)でよいのですが、怨念の浄化方法が個人的に気になりました。都合よく怨念を吸い取るマイナソーが登場しているのがちょっと都合よすぎるかなと。自分はシャインラプターの浄化能力とシャドウラプターの吸収能力で何とするんじゃないかと思っていたんですが。
    というか、本当はマーベラスが現れて「こいつには借りがある」とか言ってガイボーグの怨念を祓ってコウを助けるというのを期待していたんですがね。
    ではまた。

    1. トワがメルトに指摘されて頭を使うようになった…という雰囲気が感じられて、実に良かったですね。こういう、ビジュアル的なものでない成長は、丁寧に描かれると心に刺さります。

      怨念の浄化ですが、確実に逆算した結果あのマイナソーが考案されたものだと思います。それにしては逆算の過程が見えにくくなっていたので、私としてはそこまで気になりませんでした。

      そこでマベちゃん出てきたら、完全に反則ですね(笑)。

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