今回も「コメディかと思ったら違った」シリーズ。
ゲストにひょっこりはん氏が登場、新撮のダンスシーンに新録の歌、電脳空間の巨大戦といった要素に豪華さを感じることができます。ストーリー自体は、安心感を得られるオーソドックスな怪物退治譚の体裁なので、厳しい残暑に肩の力を抜いて見られる一編でしたね。
グリム・リーパーマイナソー
恥ずかしながら「グリム・リーパー」が死神を表す英語だとは存じ上げませんでした。「Death」の方が頻出ですよね。二音節あるため、初めてネーミングに中点が登場するマイナソーとなりました。
通常の誕生プロセスを経ずに、半ば事故的に発生したマイナソーとあって、その能力も特殊。電子化された状態でWebに潜んで無数の分身を生み出し、クレオンのダンス動画を通じて拡散された分身が人々の魂を奪い取るという、なんとも恐ろしいグリッドマン案件な怪物でした。
面白いのは、分身が可逆的であるということで、拡散したらおしまいではなく、拡散手段がなくなったら本体に戻ってくるという設定です。まあ、最終的に倒されるための口実ではあるのですが、妙な説得力がありました。これは正に映像の力だったと思います。コスモラプターの空間を超越する能力も、予定調和的な匂いよりも必然性を感じられるような、巧い活かされ方でした。Web空間を可視化した浮遊感溢れる挑戦的な映像美にも唸らされましたね。
クレオンが偶発的に生み出したマイナソーが、ワイズルーに利用され尽くすという流れは、今回もクレオンの悲哀(というより不満)を浮き彫りにしていました。クレオンのささやかな「反逆」によって倒されるきっかけが生まれたのは、何とも皮肉かつ楽しい流れでしたね。
クレオンとアニキン
某超メジャーYouTuberの名前を拝借したと思しき人物がアニキン。演ずるはひょっこりはん氏! 出てくるだけでインパクトがありますね。
このアニキン、キャスティングから受ける印象に反してギャグシーンがわずかということで、逆に演者としての資質が問われる雰囲気でしたが、予想を遥かに超える「シリアスもあり」な巧者で驚きました。
クレオンと意気投合する人間が出現したことで、かなりクレオンのポジションも変化してきましたね。このアニキンなる人物、ネガティヴな感情を持ち合わせることなく、純粋なエンターテインメント主義でクレオンとの共同作業を行っており、勿論クレオン側もアニキンを利用しようとして近付いたわけではないため、非常に興味深い起点を創り上げていました。ここが今回の白眉の一つでしたね。
そして、期待どおりの完成度でダンス動画を拡散させることに成功したクレオンは、それを利用した(そして貶めた)ワイズルーに密かな反逆を起こし、動画を削除してしまいました。
最近はワイズルーとのコンビも板に付いていたクレオンでしたが、実は裏で相当不満が溜まっていたようですね(笑)。今後が俄然楽しみになりました。
今回の被害者
レギュラー陣では、うい、オト、ティラミーゴの三人が魂を抜かれてしまいました。
ういは自分の動画の不人気を挽回すべく、コウ、メルト、アスナの三人に踊ってもらい、それを撮影していましたが、メルトがミスを連発して機嫌を悪くするという流れにより、意気消沈。ういは市井の代表者として良いキャラクターではあるんですが、なんとなく幼児性が先行してとっつきにくいキャラクターなんですよね。
今回はその幼児性が庇護される者の象徴として描かれたようで、尚久の深い愛情と心配がコウたちに語られるシーンは、胸に迫るものがありました。
オトちゃんは、前回のような活躍場面には乏しかったものの、カナロを心配するというキャラクターの基盤の上で、カナロのデリカシーのなさに不満を抱くという要素を追加。「難しい年頃」と漏らすカナロに総ツッコミを入れさせる行動が見事でしたね。
そしてティラミーゴが上記の二人の列に加わったのが、今回のプロットの巧さですね。オトの救出を最優先したいであろうカナロも、まずはティラミーゴの魂を元に戻すことが最短最善の策であると理解して懸命になっているところが実に理知的で清々しいです。最悪の状況に諦めず対処を積み重ねていくヒーロー像は、正に戦隊の原点回帰といったところですね。
無事救出された後は、反省したメルト、そしてトワや渋々参加のバンバ(表情が楽しい!)を含めてダンス動画の撮影再開。それがそのままエンディングになるという構成も見事でしたね。
次回
いかにも「新章」といった趣の予告でしたが、さてさてどうなりますか。中途半端なガイソーグも出てきますよ(笑)。とりあえず「7人目」が変身するキャラなのか否か、興味津々ですね。
初期にも一本あったのですが、こういう作戦とリュウソウルを組み合わせたお話は、おっしゃる通り、原点たるスパイアクション的趣があって、実に好みでした。
前回はリュウソウルの万能性がちょっと気になったのですが、今回はドルイドン側も十分にパワーアップしていたので、互角のやりとりになっていましたね。結局のところクレオンの反逆がなければ、詰んでいたところでした。
動画配信がキーになっているところで、周囲に恵まれている、ういと、恵まれていないクレオンの対比のようにも見えたのですが、クレオンにとっては少し切ない終わり方になってしまいましたね。もう転職したほうがいいんじゃないかな。
某ラジオに緑川さんと白石さんがゲスト出演されていて、アフレコ時の裏話等を語られていました。例えば、タンクジョウ様のポイントカード。脚本では「200ポイントあげます!」だけだったらしいのですが、ジョージさんがアドリブで「一杯になったら、何をくれるんだ?」と返してきたり、緑川さんの「ゼロ」発言は、脚本では「美しい数字」というところを、やはりアドリブで変更したそうです。
ガジェット連発にならざるを得ないシリーズでは、パワーバランスに問題が出てきますけど、リュウソウル単体がそこまで強いわけではないので、絶妙なバランスになっていますね。たまに破綻してますけど…。
クレオン、ここまでブラック職場のエスプリキャラになるとは…ですね。可哀想ですが、面白いのでこれからも楽しみです。
声優さんたちの遊びが飛び交うということは、現場の雰囲気がかなり良いということなので、嬉しいですね!
今回ゲスト出演のアニキンことひょっこりはんですが、なんか某戦隊に出てきた髭男爵を思い出しました。
これでひょっこりはんも名実ともに一発屋の仲間入りですね(おいっ)
ちょっと落ち着いた感じの今回ですが、相変わらず不遇なクレヨン(涙)
勝利寸前のワイズルーが、クレヨンに裏切られてやられる未来しか浮かんでこない気が・・・
それではまた
ゴセイジャーですね(笑)。しかも彼の場合はレギュラーでしたからね。相方は全く露出がないですね…。
土壇場で敵同士の足の引っ張り合いがあるのは、初期戦隊の常套句でしたが、今の時代にそれをやるには、クレオンが裏切りに至るプロセスをじっくり描く必要があるわけで、それを今はちゃんとやっていると(笑)。まさに、そういうことですね。
番組冒頭で海に帰らないオトちゃんを心配したカナロに対して怒る表情は妹っぽいのに、魂を抜かれた表情は大人びて見えて女優としての凄さを感じてしまいました。
クレオンの自己主張には驚きで、タンクジョウやガチレウスのようなコワモテの上司に対しては何も言えない感じでも、ワイズルーのような怒鳴らない上司、には反抗的な態度も取れるんだな、と。
番組の流れから入ったエンディングダンスでは9人全員で踊るシーンもあって楽しさ満載でした。たまにはこんな終わり方も良いですねぇ。。。
オトちゃんの表情の引き出しには驚かされましたね。実年齢は中学生ですし「子役」からの変化著しい時期でもあって、色々な新しい魅力を発揮してくれそうです。
今回の動画削除は、ワイズルーならばとりあえず「お咎めなし」という読みがあったのかも知れませんね。仰る通り、他の二人だと怒鳴るどころか殺されかねませんから(笑)。
エンディングは俄然賑やかになって良かったですね。本編からのシームレスな流れも実に素晴らしかったです。
愚兄です。
タイミング外れの感想で失礼いたします。
うーん、ういのポジションの中途半端さを感じたエピソードです。戦隊の人間界での居場所提供という点では尚久さんとういはジュウオウジャーのマリオおじさんと大和に近いのですが、大和にはジューマンに人間の常識を教えるという「役割」があったのに対し、ういは竜装族が意外に常識人だということもあり、特に「役割」が無いんですよね。キツイ言い方をすると尚久さんだけでいいんじゃないかと。
動画配信という点でも思い出したように描かれるのが中途半端。動画のためなら人を人とも思わないとか、動画を撮りに行った先々でマイナソーに遭遇してしまうとか(勇者特急マイトガインの吉永サリーですね)やりようはあるとおもうんですけどね。
クレオンの動画はかなり気に入りました。敵側の歌でいいなと持ったのはトッキュウジャーのグリッタ嬢の歌と棺桶の歌(でいいのかな)以来です。
ワイズルーは最終話まで生き残るのか、それともクレオンとの確執が伏線で途中退場してしまうのか。楽しみです。ではまた。
私も本文中にて言及しましたが、ういのポジションは制作側も想定以上に化けなかったのではないかと思えますね。シリアスもギャグも、コモンセンスの部分もリュウソウジャー内部で完結している上、市井の人間代表としては特殊な性格設定が災いして、なんとなく使うのが難しい雰囲気なんですよね。
クレオンの歌は白石さんの歌唱力もあって良かったですね。私の悪歌ベストは「不思議ソング」と「死ね死ね団の歌」です(笑)。