前回に引き続いて、死者の復活&新騎士竜登場編、その後編となります。我らがマスターピンク様復活の続きとあって、後編も期待度MAXだったわけですが…。
確かにアスナとマスターピンクのくだりはは期待以上。しかしながら、他の要素にかなりやっつけ感が充満していて、ちょっと残念なエピソードになってしまいました。
ネクロマンサーマイナソー
前回ではシャドウラプター&シャインラプターの能力が関係しているのでは…と言及された死者の復活。ところが今回、その推測が誤りであると判明し、実はマイナソーの仕業だったと説明されることになります。
そして、マイナソーを生み出したのがマスターピンクであるとも!
この辺りは設定の語り口がかなり不徹底なので、衝撃を得るに至っていないのが残念。冥界の住人でもマイナソーを生み出し得るという設定自体はインパクト高めですが、そこにディテールを説明した文脈が全くないので、マスターピンクとの関係すら薄弱であり、基底の設定自体に弱さが生じています。
基本的にバトルは巨大戦のみを担当することになり、二体のラプターに倒される役割に徹することになるわけですが、アスナメインのエピソードでありながら対峙するのがコウのみというのも、何となく商業的要請の歪みが垣間見られる瞬間でした。
タンクジョウ
マイナソーを使って冥界より現世の混乱を企むタンクジョウ。このしぶとさは幹部らしくて実に良かったですね。自分の復活のためなら味方の生命など意に介さないあたりも、巨悪として充分な存在感。今更ながら、ワイズルーとはまた違った魅力を認識しました。
三度の復活となったこちらは、等身大戦がメインステージ。戦いにおける一人一人の欠点を指摘しながらはね除ける強大さも格好良く、何となく言動にマスターっぽさが感じられるのが笑えます。
カナロは「誰だお前」と一蹴される冷遇ぶりが可笑しく、気の毒な追加戦士ギャグの炸裂で良かったですね。タンクジョウ様周りには文句ないんですよね、今回。
アスナとマスターピンク
さて、問題はこちらです。
問題と言っても、アスナとマスターの会話に関しては、スクリプトも芝居も完成度はすこぶる高いですし、アスナの成長ぶりをアクションからドラマパートに至るまで描き切った作劇は素晴らしいものがありました。
特に、タンクジョウとの一戦では、危機に際してマスターピンクに託された剣を用いて怒涛の攻撃を仕掛け、皆の力を集めて放つ必殺の一撃には、見事なカタルシスが満ちていましたね。こういうバトルを待っていたと言っても過言ではない完成度の高さでした。剛健の騎士、面目躍如。
一方、沢井美優さんの信者だと一瞬看過してしまうのですが(笑)、マスターピンクの言動(アスナへの激励は除く)にはあまり説得力がないのです。
ネクロマンサーマイナソーを生み出してしまった落とし前を自らが付けるべく、「黄泉返った理由」をデパ地下云々と誤魔化し、すぐアスナにバレるというくだりがありましたが、どうやって解決するつもりだったのか、まるっきり分からないんですよね。ラプターたちの出現は偶然ですし、セトーとの邂逅も偶然。アスナたちを利用するわけでもなく…。何がしたかったのか皆目見当が付かないのは、せっかくの「弟子との奇跡的な再会」の魅力を大いに揺るがしていると思います。要は「偶然」の説明を担う狂言回しの役割プラスアルファといった感覚だったんですよね。
ラストシーンは物凄く、本当に物凄く好きな雰囲気だったんですけどね。うい母娘の「別れ」も含めて、分別ある(本来の死を理解している)しっとりとした別離を描いていて感動したんですけれども。アスナの「笑顔」のバリエーションも素晴らしかったです。ああ、もっとプロットの練り込みがあれば!!
セトー
尚久氏に乗り移っていたという設定でした。もう少しひねった展開があるのかなぁ…と思っていたら、意外にストレートでしたね。難しいことを考えず、吹越さんの芸達者ぶりを堪能するのが正解ですね(笑)。
コスモラプター
カナロもそうですが、コウに関してもそこまで深い理由を追求するまでもなく、シャインラプターの信頼を得ました。一応、犠牲にして良い命は存在しないというコウの主張に、感銘を受けたであろうことは分かりますが、やはり描写の薄さは気になるところですね。
通常ならアスナが担うであろうマイナソーとの決戦をコウが単独で担当したのは、強竜装の展開故に仕方ないとは思いますが、ちょっと作劇が分断気味。
しかしながら、ずっと異空間で繰り広げられる巨大戦はなかなかの「魅せる映像」でした。ビジュアル面では見事な成果が見られるので、もったいないですよね…。
次回
いわゆる総集編でしょうか? リュウソウルの秘密にも迫るようなので、一筋縄でいかない「総集編」に期待ですね。
愚兄です。
ネクロマンサーマイナソー、無機物からでもマイナソーは生まれるのでいまさら死者から生まれても驚きませんが、マスターピンクからマイナソーが生まれたということが物語にあまりかかわっていないというのは作劇的にかなり問題です。
マイナソーの強襲で死んでしまい伝えられなかったことがあったのであえてマイナソーの生み主になったとかやりようはいくらでもあったのではないでしょうか(これまでにアスナに「自分がリュウソウピンクでいいのか」と悩むシーンがあれば「アスナをリュウソウピンクに指名した理由」が伝えたかったことでも納得がいくのですが)。
タンクジョウ周りはおっしゃるとおりかなり良かったです。しかし、ドルン兵を生贄にしてタンクジョウを甦らそうとしているクレオンはよく考えるとかなり怖いですね。
個人的にういの扱いがかわいそうだなと思いました。母親が蘇ったという今回の事件の当事者であるにもかかわらずリュウソウジャーからは説明一切なし。嬉しそうに料理を習っていたのに振り返ったらいなくなっているなんて。
それとちょっと疑問に持ったのですが、セトーは死んでも冥界に行かず遺跡に魂が留まっていたのですかね?死んだ後のことなんてわからないので「そういうこともある」でもいいのですが、リュウソウジャーの作劇見ているとそこまで考えていない(悪い言い方をすると「適当」)気がして仕方がありません。
懸念していたことが一気に押し寄せてきた感じでしたね(笑)。
マスターピンクを中心に話が回っているはずなのに、ロールとしては狂言回しの域を出ず、それでもアスナとの関係性には見応えを感じるという、なんとも惜しさ爆発なエピでした…。
ういは確かに尺不足もあって可哀想でしたが、ういもああ見えて大人なのかも知れないという、綺麗な余韻はあったかと思います。この方向性が活かされるかどうか
期待薄ですけど。
セトーの件は、理屈の面ではやはりスルーされるのではないでしょうか(笑)。
マスターピンクからマイナソーが生まれたっていう設定は別にいいんですけど、それなら弱っていくマスターピンクのシーンがああてもよかったんじゃないの?って思いました。
それがないからセリフだけで、あんまり説得力がないのかも。
あと、苦しみもだえる(ん?)沢井美優さんの姿が見たかった(こらーっ)ってのもありますが。
まあ、それは置いといて、自分もタンクジョウ様復活の為に、平気でドルン兵を生贄にするクレヨンに恐ろしさを感じましたね。
自分の欲望(願い)のためなら平気で命を弄ぶ姿を見て、あんなにコミカルでもやはり悪だったと感じさせられたんじゃないでしょうか。
とにかくいい話なんですけど、少し詰め込みすぎた感じのした前後編でした。
それではまた
ああ、マスターピンクが弱っていく描写はなかったですね。死者なので弱りようがなかった可能性もありますが…。私も正直なところ苦悶する沢井さんを拝みたかったです(笑)。
クレオンは子供の残酷な面を拡大したようなキャラになりましたね。その点、ラッキューロよりも徹底している感じがします。このまま悪役として散っていくんですかねぇ!?
詰め込み過ぎというご意見には全くの同意です。全体的に急ぎ足なんですよね、今シーズンは…。
マイナソーって、クレオンの力(緑色の液体?)から生まれているのではないのでしょうか?
生物、無機物関係なくそこだけは統一されていると思ったのですが、さすがに死者であるマスターピンクにクレオンが力を与えることは出来ないですよね。
マイナソーの生まれ方があやふやになっている気がすることが、ものすごーく残念だったと思います。
ピンク師弟やうい母娘の感動・感涙シーンですべて良しと思っているなら、大きいお友達も小さいお友達もバカにしている作りかと・・・うん、やっぱり明確に不満です。
セトーとマスターピンクの繋がりについても謎のままで終わってしまいました。これも今後に進展はなさそうですよね。
まぁ、今回は色々と不満ばかり述べてしまいましたが、今後の展開に期待します。
マスターピンクの思念のみでマイナソーを生み出したとすると、クレオンの立場は…。しかも、死者ではありながらリュウソウ族がマイナソーを自在に生み出せることになってしまうんですよね。この辺の曖昧さが没入感をスポイルしてますね。
感動ポイントは巧く処理されているので、余計に粗が目立ってしまうのも大いにマイナス。色々と雑なのが本当に残念ですね。前シーズンが理屈に関しては凄まじく丁寧だっただけに。
マイナソーが生まれた理由としては、マスターピンクの心残りというか、無念の想いが生み出した~という風に個人的には解釈していたのですが、確かに明確な回答は無かったですね。
タンクジョウ様は、本当に魅力的になっていて、今回の蘇りエピソードが最初から予定されていた展開なら、彼に関してはバッチリはまったエピソードでした。
コスモラプターの強竜装はそれこそ黄金聖衣のようなビジュアルが素晴らしく、これからの活躍が期待されるところですが、確かに、アスナ編とコスモラプター編は分けたほうがよかったのかも。
等身大戦と巨大戦を平行して描けるというところは、今作の売りのひとつなのでしょうが、そうなると必然的にロボ戦はコウが担当することになってしまうので、絵的にレッドがいない、という状況になってしまうんですよねぇ・・・。キシリュウオーを中心に装備を変えるというギミックに関しては良いものだと思うのですが・・・。
私もマイナソーの出現に関するエクスキューズは、その辺りを考えていたのですが、あまり好意的に解釈できる余地がなかったのはななんとも…。
タンクジョウ様の復活は、織り込み済みと言わんばかりのはまり方でしたね。大教授ビアス様も楽しそうに吹き替えておられたように思います。
等身大戦と巨大戦が同時進行というと、私はバトルフィーバーを思い出すんですが、時に単独でロボを操縦するジャパンの格好良さには、まだ拮抗できていないように思います。最近はウルトラでも特撮と本編をワンカメラで収めるようなカットがありますし、リュウソウジャーもさらに挑戦的なシーンを生み出して欲しいですね。