騎士竜戦隊リュウソウジャー 第20話「至高の芸術家」

 なかなか目立つ機会に恵まれなかったトワ、待望のメイン編。バンバとのペアによるフィーチュアでもなく、あくまで単独編とあって、トワのキャラクター性をしっかり掘り下げる一編となりました。



グリモワールマイナソー

 今回も超個性的なマイナソーが登場。パターン破りここに極まれりといった趣で、人間を元としながらもマイナソー自体はスーツすらも造形されない、ただの「スケッチブック」という凄まじさでした。

 グリモワールというモチーフは、いわゆる「魔導書」で、「ソロモンの鍵」等々のキーワードに反応する特撮ファン諸氏は一定数必ず居ると推測します。今回の、スケッチブックに描いたものが具現化するというマイナソーの設定は、正に「魔導書による召喚」が具現化したものと言えるでしょう。

 ちゃんと巨大化し、さらに巨大化しても相変わらずスケッチブックのままという潔さも凄まじいこだわりで、巨大化した途端に怪人化するといった展開にならないところに感心してしまいました。

 この巨大化スケッチブックを操る(持たせる)べく、巨大ワイズルーを具現化させるという展開もお見事!

ワイズルー

 その巨大化した姿を予告で見るにつけ、遂にワイズルー様も退場か……?! と思いきや、なんと巨大ワイズルーはマイナソーによって生み出された「巨大な分身」だったというオチが! これには驚くと共に少し安心してしまいましたね(笑)。

 相変わらず自由奔放に振る舞いながら、徐々にリュウソウジャーを陥れていく様が実に恐ろしく、端々で披露されるアドリブのコミカルさと相まって非常に魅力的な敵幹部になっています。

 マイナソー自体が意思を持って行動しているわけではないので、ワイズルーが今回の作戦主体を務めることになり、彼の狡猾さが存分に発揮されるプロットなのも良いですね。できればリュウソウジャーを閉じ込めるケージ以外の絵も色々描いて欲しかったところですけど。

メルト

 メルトの成熟振りは、バンバに匹敵するものがあります。

 今回、速さを最大の武器とするトワを、その頭脳戦でいつの間にか追い詰めるという手練っぷりを発揮。トワの弱点を瞬時に見抜き、それを指摘する様は、すでにマスターの風格すら身に付けていると言っても過言ではないでしょう。

 そんなメルトも、まんまとワイズルーの罠に嵌り、手も足も出なくなっているところが秀逸で、今回はトワに対してリアルタイムにヒントを与えることすらできないわけです。トワの「自力」が問われる追い詰め方が秀逸でしたね。

バンバ、そしてガイソーグ

 トワの物語ながら、バンバの登場は少なめ。しかしながら、ガイソーグの謎を絡めることで、バンバのキャラのインパクトをグッと高めるあたり、抜け目がないですねぇ。

 ガイソーグですが、やはりバンバとトワのマスターということなのでしょうか?

 公開中の劇場版にて、ガイソーグの正体が語られるとか語られないとか…。私は未見なので、純粋に謎を楽しむことにします(笑)。

 それにしても、バンバの煮え切らない態度を訝しむトワの表情よ!! ほとんど闇堕ちに近い睨みが恐ろしかったですね…。

トワ

 というわけで、真打たるトワです。

 冒頭のトレーニングシーンでメルトに諌められるくだりでは、最近鳴りを潜めていた「生意気さ」が前面に出ていました。これはこれでトワらしくて良かったのですが、生意気な面が鳴りを潜める代わりに、素直で優しい少年というイメージが先行し始めていたので、今回の様子は少しばかり唐突に感じられてしまいました。

 畳み掛けるようにメルトの指摘を浴びて、イライラから反抗する感じがちょうど良かったかな…とも思いますね。

 そこから後は、トワの素早さを活かしてケージから逃げまくるというシーンが連続。この一連シーンで、トワのアドバンテージがしっかり描写されているのは美点です。

 しかし、それにも限界が訪れる…というのがメルトの助言どおりなのも淀みなく、ここでようやく頭を使うことに。巨大マイナソーに剣を突き立てて鍵の絵を描き、わざと捕まるという作戦が実に見事でした。ワイズルーの自信過剰が故の詰めの甘さはいつものことながら、今回はトワの活躍なくしては本当にヤバかった…という雰囲気が良かったですね。

次回

 次回はお盆編ということでしょうか。マスターピンク様のご登場が決定しているので、俄然テンションが上がるというものです(笑)。



投稿者: SirMiles

【マー 🏃 SirMiles / Masafumi Fujimura / https://sirmiles.com / maruzoku】 Run、音楽、プラモ。趣味は広く浅く。生業はIT系。

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8件のコメント

  1. トワの成長編としては文句なしの出来なのですが、そのトワが思った以上に豆腐メンタルに加え、兄への依存度もかなり高かったという意外な展開に。グリーンが最年少や未熟な戦士を担当するのはお約束ですが、想像以上でしたね。
    スケッチブックなマイナソーの使い方も抜群でしたが、一番役に立っていたのは、省エネ(予算削減)なのではないでしょうか?スーツも必要ないし、巨大化もワイズルーそのままなので、かなり予算が浮いたのではないかと(苦笑)。
    これまでもそうでしたが、バンバは本当に隠し事が多くて。ガイソーグの出番が少ないことは常々指摘されていましたが、コメディ編であっても、ちょいちょい伏線ぽいものを潜ませていれば、もうちょっと連続性のようなものが出たのではないかと。なんとも惜しいですね。ちなみに、軽いネタバレになってしまうのですが、劇場版でも、ガイソーグの秘密らしい部分はほとんど出てないです。

    んで、この時期になりますと、私は真夏の甲子園という戦場へ赴かなければならないので、しばらくコメントは出来なくなってしまいます。再会は月末のころになるでしょうか。それまで暫しのお暇を。
    かならーずここへー帰ってくるとー 手を振る人に笑顔で答えー

    1. グリーンのトータルイメージを見事に見せてくれましたね。

      正直なところ、ミドレンジャーはここまで少年っぽくないし、クローバーキングは科学者ですし、デンジグリーンはクールキャラなので、明日香健二の年齢設定が独り歩きしている感はありますけど…。

      劇場版でもガイソーグの謎はほとんど判明しないとのこと、ありがとうございます。
      これでしばらく、適当な謎に付き合えそうです(笑)。

      甲子園、大変ですね! 今年の夏も半端なく厳しいので、どうかご自愛下さいませ(?)。そして必ずイスカンダルから(以下略

  2. 普通ならスケッチブックに手足があるマイナソーが出てくるんですけど、そのまんまでしたね(笑)
    で、これが意外と手強いのはお約束ですが、正面きっての力強さよりこういう能力を活用したピンチの描写が最近続いてますね。
    もしかすると、ガイソーグの力強さを描写するための前振りだったりして・・・
    まあ、これでワイズルーも倒されましたし(違)今後は出てきても再生怪人らしく簡単にやられてください(こらーっ)
    で、次回は待ちに待ったマスターピンク再登場(嬉)
    いいんです、何でも出てくれれば(おいおい)

    >竜門 剛さん
    しばらくコメントが読めないのは寂しいですが、あなたがNАSАへ転任してる間は、二代目竜門剛さんがしっかりこのサイトを守ってくれるでしょう(それ、サンバルカン)
    ・・・え~と、失礼しました。
    冗談はともかく、また戻ってきて、感想を読めるのを待ってます。
    今は~さらばと~言わせないでくれ~♪今はさらばと言わせないで~
    それではまた

    1. 普通なら、カップラーメンに手足が…という具合ですもんね。見事なまでに裏切られました。勿論良い意味で。

      再生怪人と言えば、次回がそんな展開ですよね。ディアゴスティーニのライダーDVDに手を出してしまいまして、トカゲロンの回をつい最近見返すことになりましたが、倒されたはずの怪人がゾロゾロ出てくると興奮してしまいます。

      マスターピンク、楽しみですね。ちなみに私、沢井さんのTwitterフォローして癒されてます(笑)。

  3. つい先日トワ編をフィーチャーしてほしいなどと言った先から今回の話。なんか個人的にビミョーな思いを含めて見てしまいました。汗

    本編ではついに変身シーンの「ワッセイワッセイ」が無くなってしまいました。放送開始から約半年ということを考えれば、貴重な尺を使って良く続けてくれたと思います。今後もたまには見れたら嬉しいですね。

    今回のマイナソーは宝箱に続く、無機物第2弾。しかしながら話の展開によっては便利に使えるということが強みであると思います。まぁ、その辺は既存のキャラクターたちが上手く立ち回っているからなんでしょうが。笑

    さて、私も竜門さんと同じくして暫くの間、甲子園の壁に阻まれます。次回の放送日をしっかりとチェックして見落とさないようにするとともに、SNS等でのネタバレに動揺しないように頑張ります。

    1. 本当にナイスなタイミングでしたね(笑)。私もちょっと複雑な気分で視聴しました。ちょっとキャラの立った感があって、良かったなーと。

      無機物系マイナソーは元が石というパターン含めて、かなりバリエーションの振り幅が大きくていいですね。こういう王道崩しの手法はもっと歓迎されて良いと思います。

      甲子園の壁、結構皆様大変なんですね…。放送日がハチャメチャになるという話は竜門さんに以前伺っているので、どうかお見逃しのないように!

  4. 愚兄です。
    うーん、なんとなくモヤモヤします。これはあくまで自分の感じ方なのですが、メルトの「頭を使え」というセリフとガイゾーグの「速さだけだ」というセリフ、それとトワの戦い方が微妙にイコールじゃないような。メルトは「もっと自分の特技を生かせ」、ガイゾーグは「才能に頼っているだけ」と言っているのに対しトワの戦い方は確かに頭を使っていましたがトンチに近いような…(本来こういう戦い方はメルトの分野なのじゃないかと)。それに一個鍵を描いたら四個出てきたり、鍵が出たとしても檻の鍵である保証がない点とか頭使っているようでいて行き当たりばったり。しかも都合がいい…。うーん、やっぱりモヤモヤする。
    良かった点はやっぱりワイズルー。ワイズルーとクレオンは言動や外観の割にやっていることはかなりえげつないキャラだったのですが、ここ最近コミカル方向に振れていて個人的にはこちらの方が良いと思います。
    次回、ここ何週かクレオンがひっぱってきた待望のタンクジョウ再登場。なにか伏線はあるのでしょうか。

    1. あー、仰ることよーく分かります。確かにトンチっぽかったですよね、頭脳戦というよりは。

      私も鍵が複数生じるシーンには予定調和を感じてしまいました。正に詰めの甘さはご指摘どおりだと思います。まあ、とりあえず魔導書なので、描いたものよりも思い浮かべたもの(都合の良いもの)が出現するのかも…と解釈できなくはないですけど。

      ワイズルーのキャラはかなり良いので、このまま引っ張って欲しいところですね。クレオンとのコンビもかなり良くなっていると思うので。

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