コメディ…いやコミカルな一編ではあるのですが、今シーズンらしくちょっと重めな感覚も織り交ぜ、メルトとティラミーゴの友情を掘り下げた、少しグッと来る名編に。
前回は変身解除、今回は脱出不能といった具合に、意外と危機に陥りやすいリュウソウジャー。こういう時こそ、各々ができることをやり抜くという意志が表出し、それが解決に繋がる、戦隊のプリミティヴな醍醐味に繋がるんですよね。
アラクネーマイナソー
アラクネーは蜘蛛の意匠で表現される怪物ですが、蜘蛛の要素を上半身に集中させつつも、蜘蛛そのものからは少し離れたデザインが秀逸そのもの。しかしながら、その貌のデザインはかなりのトラウマもので、学校に現れたら本当に怖いのではないでしょうか。
そのデザインの醜怪さとは裏腹に、「弱い」という属性が付与されているのが面白く、学校内に張り巡らされた「ルールの罠」の中でこそ本領発揮するタイプというのも良いですね。
能力もソースも単純そのものなので、純粋に仕掛けのみを楽しむことができるのも長所。敵味方入り乱れて怪現象に巻き込まれていくストーリーをシンプルにする効果がありました。
子供に直接被害をもたらしたマイナソーということだからか、コウとカナロの怒りのほどは凄まじく、ギガントキシリュウオーで一気呵成に決着を付ける巨大戦の迫力がインパクト大でしたね。
滝裕可里様!
「仮面ライダービルド」での複雑なキャラクターでも記憶に新しい滝さん。「ギャバン THE MOVIE」での典型的な被害者系ヒロインから、「ウルトラマンギンガS」では武闘派ヒロインに、そして「ビルド」に至っては敵味方を揺れ動くミステリアスなヒロインと、その変幻自在のヒロイン像で高い特撮ファン人気を誇りますが、今回は戦隊初出演ということで、ゲストながらも印象的なキャラクターとなりました。
カナロに求婚されるシチュエーションは、瞬時に左手薬指の指輪によって砕かれるあたり、今回はそこに面白さを求めていないことが分かります。ただ、前回を見ていれば、カナロが指輪の件を「学習」したことが分かって笑えるというポイントでもありました。
小学校の教師として、ルールの大切さを説きつつもその裏でルールが守られないことに苛立ちを感じているという、ある意味非常にリアリティのある設定が秀逸。そこからマイナソーが生み出されるという流れからして、マイナソーは生み出され放題であることが感じられて恐ろしいのです。
アラクネーの蜘蛛糸と、ルールによる束縛とが関連付けられているのも巧く、元となった人間とマイナソーの表裏一体な部分が、今回は特に強調されていたように思います。
これで滝さんは四大特撮への出演制覇となりましたが、戦隊のみ「ゲスト」なので、ここは何とか女性長官役とかでのレギュラー出演をお願いしたいですね!
メルトとティラミーゴ
この二人が今回のメイン。
ティラミーゴは日常的に散歩を楽しんでおり、そのコースの途中で色々な人と知り合っていることになっていました。この世界観は完全に不思議コメディシリーズの世界観で、「リュウソウジャー」がファンタジー戦隊であると同時に、不思議な市井のリアリティとナンセンスコメディとを内包している、ちょっとチャレンジングなシーズンになっていることが分かります。
ティラミーゴのような現実世界とは相容れないキャラクターに関しては、基本的に市井の人々との関わりがないことにされるのが常でしたが、このように積極的に関わらせることによって、新しい魅力が引き出されそうですね。
そもそもリュウソウ族自体が、その長命ぶりもあってかなり人間とは異なる感覚で描写されているため、騎士竜に関してもこうした方針が採りやすいのかも知れません。
さて、「メルトはティラミーゴに好かれていない」という設定ですが、これは前回まであまり巧く機能していない設定だったのではないかと思います。そもそもとして両者の相容れない要素の印象が弱く、コウとバンバの関係のような深みはほとんど感じられません。
しかしながら、深みはないにしろ所々でギャグとして二人の関係性を描写してきて、今回をより良い状態で迎えたことには大いに意義がありました。
協力せざるを得ない状況下、理論派と肉体派の究極の対極として両者がそれぞれの「できること」をカードとして切ることにより、自体を打開するプロセスは実に見事でしたね。ティラミーゴも乱暴さだけでなく、慎重すぎるメルトへのカウンターとしてアイディアを出すなど、その知能もしっかり描写し、人々に慕われるキャラクター性により厚みを増しました。
それにしても、作戦に悩むメルトと力ずくで打開しようとするティラミーゴの対比は楽しかったですね。クレオンの余裕っぷりと慌てっぷりのギャップがその楽しさをさらに加速させていました。
ワイズルー
今回の真のギャグ要員はワイズルーだったのかも知れません。敵味方関係なくルールの罠に突き落とすマイナソーによって、ワイズルーも被害に遭い、人知れず児童に化けて静観していたというのが素晴らしく可笑しいです。
ワイズルー変身体の子役も、実に達者な表情で印象を残しました。ワイズルー、次回で退場とかなければいいですが……。
トワ
特筆すべき点として、トワの児童への優しい声かけのシーンを挙げておきます。最年少メンバーの「お兄さん」的なヒロイズムの体現が、実に爽やかでした。
次回
次回はそのトワがメインにフィーチュアされます。また「一人残る」パターンのようですが、今回とどう変化を付けてくるか楽しみですね。
愚兄です。
今回非常に楽しく観られたのですが、やはり気になる点があるのがリュウソウジャークオリティというか(笑)。バンバとコウをおびき寄せるためとはいえマイナソーが能力の範囲外である学校の外に出てくるのはどうでしょう。マイナソー自身わかっていなかったのかと思いきやクレオンは認識していましたし。
良かった点はまずカロナの指輪への気づき。こういう毎週観ているお友達のみわかるネタはいいですね。それとワイズルー。最初子供たちが出てきたとき「夏休み中という設定なのかもしれないがそれにしても4人とは少ないな」と持ったのですが、これ以上多いとワイズルーの変身に視聴者が気が付かないのであえて少なくしたのかもしれません(深読みしすぎかもしれませんが、実際自分は視聴中すぐ気が付きました)。職員室にワイズルーがいなかったことなどちゃんと伏線張ってあったことに感心すると同時に「やられた」とも思い悔しかったです。
それにしてもこの文章を書いていてちょっと思ったのですが、「先生が決めたことは学校の外では一切効力がない」とうのは相当な皮肉ですね。
マイナソーの知能って、それほど高くないんでしょうね。ほぼ「作戦」的なものをまわしているのもクレオンとかですし。クレオンも抜け気味なので、学校の外にでてきたのも単なる勢いという感じで納得してしまいました(笑)。
カナロの指輪の件は、いつものステレオタイプな感覚よりはちょっと大人な雰囲気で良かったですね。こういうちょっと背伸びした感は大事だと思います。
先生の決めたルール、一応エスプリではありましたが、社会に出た時に大事なことも少しは含まれているので…その辺も含めて皮肉でしょうか(笑)。
最近、何故かタンクジョウ押しが多くなってきたクレオンですが、何かの伏線なんでしょうかね?
これでタンクジョウジュニアとか、タンクジョウのいとことか兄弟が出て来たら面白いんですけど(まあ、無いでしょうね)
しかし、ティラミーゴ。
街の中を歩いていても全然違和感がないですね(笑)
あと、既婚者が続いたので、子持ちの未亡人とか夫と別れた女性に惹かれるも、元夫が出てきて最後には元の鞘に収まるとか見て見たいです。
(時間帯的に無理・・・ですよねぇ)
学校の中でならルールの制約で最強とか面白かったですが、今回の戦闘が終了しても、多分この先生の悩みは続くんでしょうね・・・
それではまた
タンクジョウ様を連呼しているの、ちょっと気になりますよね。私は何かの伏線だと睨んでいますが、どうなんでしょうね??
ティラミーゴの違和感のなさは、今シーズンの美点だと思います。そういう世界観をちゃんと作れているところが凄いですよね。
それから…カナロをドロ沼展開に引きずり込むのはマズいでしょう(笑)。少しは見てみたい気もしますが…。
滝先生には、是非また登場していただいて、相変わらず声を張り上げているところが観たいような、観たくないような。
ティラミーゴの日常風景に関しては、まあ、あまり深く考えないのが吉でしょう。
子供と小学校が舞台で、メインテーマがルールということで、正しく教育番組としてのヒーロー作品を久々に見た感じがします。ロクデナシの大人やちゃんと怒れる大人もいましたし。あのおっさんにはちょっとフォローがほしかったところですが(汗)。
こういうカオス回には野暮ですが、猛暑でダラダラするコウたちが、とてもヒーロー、騎士には見えないところがなんとも・・・(苦笑)。カナロも勝手に学校のプールに入っていたりして、完全に不法侵入ですよね。ワイズルーもいつのまにか捕まっていたり。開始当初は無個性の怪人について危惧したりしましたが、使いようなんだなぁと、感心することが多くなりましたね。
ティラミーゴかせ溶け込んでいる風景は、ギャグのつもりが世界観までガッチリ表現していた感じでしたね。確かに深く考える余地を拒否していました。
あの大人、まあ私も大人として気持ちが分かるのですが、子供番組では完全にダメな人ですよね。ちょっと救い難い感覚なので、フォローがあると良かったですね。
猛暑の騎士たちの体たらくは、ハツラツと散歩しているティラミーゴとの対比ですごく面白かったですね。今年の夏の暑さも半端ではないので、我々もダラダラする日を作らなれければ…(笑)。
ティラ散歩、土手のシーンなんかは「金〇先生」的な映像展開がされていくのかと思いましたが私の思い過ぎのようでした。
バットは空振りするが尻尾でホームランを打つ、これも良くあるパターンで違和感なしでした。
で、今回のマイナソーですが女教師から生まれた「ルール重視」なマイナソー。そのキャラクターはどこか弱弱しく感じて、決してヒステリックに「ルール違反!」と叫んでいるようには感じませんでした。滝さん扮する先生が子供たちに注意しているテンションをそのまま引き継いでいるリアリティは上手くあったと思います。
弱弱しい感じだからこそ職員室から引っ張り出すのも容易くて、反撃しやすい、と思ったら大量のマイナソーの元が先生の体から出て行って、一気にあれだけ出ていったら死ぬんじゃないか・・・とチョットだけ不安に感じました。
途中でクレオンが空を見上げた時に上から誰かに覗かれたようなシーンがあった気がするんですが、あれは誰なんでしょう。。。タンクジョウ様ではないと思いますが・・・
「金○先生」だと、ティラミーゴが胴上げされなければなりませんが(笑)。そういうシーンも見てみたい…かも。
滝さんがヒステリックでない、ちょっと悩み過ぎな先生を巧く表現されたことで、今回のマイナソーとの繋がりが自然でしたね。元になった人間や器物に左右される「仕掛け」がここのところ実に巧く機能していると思います。
クレオンのシーン、記憶に残っていないのですが、映像的なギャグとかではなくて、思わせぶりなシーンだったのでしょうか。とすると、タンクジョウ様の可能性も…??