カナロの妹・オトの登場と、モサレックスの本格的御披露目を展開。陸と海に別れたリュウソウ族という謎も散りばめ、それらがカナロ自身に魅力を付加していくという、追加戦士登場編の醍醐味が満載でした。
パーンマイナソー
パーンあるいはパンとして呼び習わされる有名なギリシャ神の一柱が元ネタ。パニックの語源としても知られ、それをそのままネーミングとしたのが、「仮面ライダーX」のパニックでしたね。
このマイナソーの能力は、人間を磁極化して反発させ合うというもの。磁石の怪人は「仮面ライダーストロンガー」の磁石団長をはじめ、「バトルフィーバー」のマグネット怪人など色々居ますが、今回の特徴は「絆が深いほど反発力が強い」というエクスキューズで、この部分が面白さを喚起しています。
「ドラえもん」のNSワッペンのように、磁極によっては強制的に反発したりくっ付いたりといったシチュエーションに可笑しさを求めるのではなく、ドラマの仕掛けとしての機能でしかないところがシンプルでいいんですよね。
後述しますが、カナロの機微を表現するのにも使われていたりして、巧いなと感じました。
クレオン
ガチレウスの登場により、クレオンの内面描写が徐々にギャグから離れてきているように感じられますが、今回も色々と見逃せない点がありましたね。
一つは、せっせとマイナソーを生み出すだけでは評価されない(作戦がないとダメな)ことに関して、自分の役割を逸脱していると思っていること。
これまでは半ば偶発的(?)に生み出されたマイナソーを幹部クラスがどうにか使うという形でしたが、ガチレウスはプランありきなんですよね。このあたりは「管理したがる上司」像に対する強烈なエスプリにも見えます。
もう一つは、オトを人質に取りつつも、ちゃんと約束を守って返そうとしたこと。
意外と律儀な側面を見せたことで、妙な好感度アップを果たしていました(笑)。ガチレウスの冷酷さや非情さとの対比として用意されたくだりではありましたが、今後のクレオンのキャラクターづくりに影響を及ぼすには充分過ぎる要素でしょう。
これからも何だか目が離せません。
カナロとオト
カナロの婚活キャラは、今回のドラマにほとんど関係ないので、早くもスルーされていました(笑)。
メインはもちろん妹のオト。田牧そらさんというキャスティングは、年齢設定的にも絶妙な「妹キャラ」ですね。前々年の小太郎と世代を同じくすることで、丁度ヒーローと視聴者の子供たちとの中間にポジショニングしています。
また、「あざとさ」のあるところが素晴らしい。カナロを手玉に取る小悪魔ぶりにはシビれますな(笑)。
小太郎は「キュウレンジャー」にて「ヒーロー側に立つ子供」として活躍しましたが、ちょっとタイプが異なるオトの今後に注目ですね。
一方のカナロですが、彼の心の壁は、彼自身のポリシーというよりも、モサレックスのポリシーから生じたものであると分かりました。追加戦士のステレオタイプに忠実に、「実はいい人」を明確にしているのが良いです。
バトルの流れの中でそれを表現するのは、正に坂本監督節。水を介してモサレックスと意思疎通ができたり、ティラミーゴの極性を反転させるべく策を講じたり(「敵の目を欺きつつ」が凄い)、オトを撃つ振りをしてモサレックスに保護させ、コウたちの絶賛を浴びたり…と無駄なシーンが一つもないといった具合。
そして、パーンマイナソーの術にかかり、当初はコウとの間に絆がないため効力がなかったものの、コウの助力によって徐々に磁力が効き始めるといった描写がお見事。ビジュアルとアクションでドラマを紡ぐという戦隊のプリミティヴな魅力が、存分に発揮されていたと思います。
コウたちの絆
まずは、全員反発力が生じて良かったとしましょう(笑)。
しかし、個々の反発力が距離となって完璧に露見するのがシビアでした。東京から一番遠いのはアスナの沖縄でしょうか。最も近いのはバンバの京都。まあ、そういうことです(笑)。
ところで坂本組らしく、素面アクションが今回も満載でしたね。変身まで引っ張るのが常套句で、今回は体術のみならず、道具を用いたアクションが非常に格好良い。特にバンバはアクロバットまで取り込んで無双ぶりを発揮し、変身後は剣戟の殺陣を意識した重厚感が素晴らしかったです。確実に「美味しいキャラ」と化しています。
モサレックス
陸と海のリュウソウ族の間に何があったのかは語られていませんが、モサレックスの抱えるネガティヴな感情は、かなり根深いものであると容易に推察できます。騎士竜の扱いでも一悶着あった陸のリュウソウ族。海のリュウソウ族に一体何をしでかしたのでしょうか(笑)。
今回モサレックスは、ひと咬みでマイナソーを撃破する無類の強さを披露。喋る騎士竜でもありますし、追加戦士の属性をしっかり継承しています。海中での描写はCG中心、キシリュウオーのバトルは(本当に)精緻なミニチュアステージといった具合に、コントラストも見事で、「ウルトラ」を通ってきた坂本監督のセンスが巧く戦隊に生かされていることに嬉しさを感じました。
次回
次回はモサレックス中心の新ロボ登場! 一応、次回を含めて追加戦士登場編が一旦落ち着くということでしょうか。どんな特撮が繰り広げられるか実に楽しみです。
新たなるヒロインは12歳!
いやぁ~、今から10 years after を楽しみにしましょう。
オープニングバトルでコウが変身しないでドルン兵を倒していましたが、成長の証ですかね。ちょっと意外、と思ってしまいました。
磁力による反発において双方飛ばされるのではなく片方だけ、というのが上手い設定でしたね。普通は双方同じ力で反発されるはずなのですが、それでは画面から誰もいなくなっていしまうという配慮なんでしょう。
また、カップルの男性、母娘の母、と飛ばされる側が弱いというわけでもなさそうで。
しかしリュウソウジャー面々の飛ばされた位置がコウとの距離感、には気づきませんでした。笑
ガチレウスは悪の幹部としては良いキャラだと思うのに、番組的にはワイズルーの方がストーリー展開が軽快に思えるのは痛し痒し的な所だと思います。
今のところ二人が一緒にいる機会がないですが、どこかで悪の内部のゴタゴタも見てみたい気がするんですよね。
よくよく思い出すと、「オーレンジャー」と同じパターンなんですよね。追加戦士と少女がセットで登場するという。あちらは妹ではありませんでしたが…。
変身前にバトルを繰り広げるのは、坂本監督の常套句なので、その先入観であまり驚きませんでしたが、確かに「意外」というのも的を射てますね。割とスーツアクションの比重を高くしているところがありますから。
ガチレウスは重厚系なので、ストーリー自体も少し重さを感じますね。クレオンが酷使されることで敵側の雰囲気も少し重苦しいですし、ワイズルーにも早々にお出まし願いたいところです。
新ヒロイン確かに10年後が楽しみですが、5年後位に戦隊レギュラーで出てきてもいいかもしれませんね。
で、クレヨンですが何かキャラがいい味を出してきてますね。
さすがにあのナンパで引っかかったとは思えませんが、最後まで生き残りそうな予感が(笑)
ちなみに磁力というと、やっぱり鋼鉄ジーグを連想してしまいます(汗)
今回海の一族がでてきましたが、陸海と続けばやはり次は空でしょうか。
それではまた。
いわゆる「子役」の再登場って、戦隊だと結構少ないので思いつかないですが、初期だと「ゴーグルファイブ」でコンボイのリーダーだった達也くんが、「バイオマン」ではドクターマンの息子という重要な役回りで登場したのは印象深いです。
クレオンは何となく今後のキーキャラクターになりそうな気もします。裏切ったり、成長して帝王を名乗ったり…?? 楽しみではありますね。
海陸空とくれば、私はゴッドシグマですな!!
カナロがシスコンのお兄ちゃん、という実にテンプレでした。だがそれが良い。
あらためて考えてみると、アニメ等ではお約束のこういう兄キャラ、戦隊では非常に珍しいですよね。まず、兄妹でのレギュラーが少ないですし、恋愛ネタはご法度に近いので、お兄ちゃん力を発揮する展開が皆無になってしまうのでしょう。
登場前のインタビューで、カナロの婚活は、あくまで使命であって、カナロ自身が女好きなワケではない、というのがありましたが、オトもただただ結婚に憧れているだけみたいで、小悪魔的ではありますが、意外と変な男に引っかかりそうで、カナロではないですが、ひじょ~~に心配です。
磁力を使って、絆を可視化するという、実に特撮らしい演出がすばらしかったですね。被害者に親子が含まれているところも、戦隊ぽくて、確か脚本はベテランの荒川さんだったと思うのですが、荒川&坂本コンビには、絶対的な安心感があります。
随分とかたくななモサレックス。総理大臣回といい、こじらせている印象しかないリュウソウ族ですが、こんな時こそ、長老の出番だと思うのですが!?
テンプレですが、仰るとおり素晴らしく良いです(笑)。
特撮のような実写だと生々しくなるので避けられてきた感はありますね。今回は長命種族だとかでファンタジーの色合いが濃いので、アリだと判断されたのかも知れません。
婚活が使命という設定は、後々活きてくるのでしょうけど、まだまだ全くと言って良いほど使命感が感じられないのはご愛敬(笑)。オトはカナロ以上に地上に関して疎そうなので、面白い展開が待っているのではないかと思います。
ここらで長老の出番…そうですね! あらゆる職業に分して出没していそうなので、もう少し出番を増やして欲しいところです。