最終章突入の雰囲気もバッチリな導入編。
初美花と咲也のもどかしい接近、ノエル最大の危機といった要素が無理なく無駄なく配置され、クライマックスへの期待を俄然高めてくれます。
またゲスト怪人が登場せず、ゴーシュとザミーゴが前線でヒーローたちを苦しめる展開も終盤っぽくて見事でした。
ゴーシュ VS パトレンジャー
前回、二人が企んでいたのは「利害の一致」の結果としての、「ザミーゴ改造」でした。
ゴーシュはマッドドクターの一面を持っており、ザミーゴの金庫を嬉々として増設。とにかくオペをしたくてしょうがないという設定が、ここに来て強調されることとなり、それがノエルの拉致にも繋がってきます。
単なる巨大化要員に堕さず特徴を表出させる手法は、「ダイナマン」でカー将軍の命を賭した忠義を描いたり、「チェンジマン」でギョダーイを寝返らせて逆転のチャンスを作ったりと、初期戦隊から試みられてきたものです。最終盤にて一気にコマを進める感覚は、昭和の戦隊っぽい雰囲気ですよね。
そして、コレクションの能力にも精通しているゴーシュに対し、パトレンジャーは手も足も出ないという描写が強烈。いかにも幹部らしい戦い振りには心が躍りましたね。
しかし、このバトルの最後、ノエルが我が身を賭してパトレンジャーの救済に走るシーンには、もうちょっと何かが欲しかったところです。
ノエルが異世界の住人の末裔であると告白するシーンのインパクトが薄く、さらにゴーシュが傍観している中での長いセリフの応酬が、かなり緊張感をスポイルしてしまいました。圭一郎が涙目になって素晴らしい芝居を見せてくれていたので、惜しかったですね。パトレンジャーに「やり尽くした」感が薄かったのも、ノエルの犠牲を呼ぶ根拠の弱さに繋がってしまいました。
ザミーゴ VS ルパンレンジャー
今回、警察と快盗を別々の敵キャラに分担させたのは大正解でした。ザミーゴは東雲悟の件でパトレンジャーの仇敵でもあるのですが、やはりここはより因縁深いルパンレンジャーの担当でしょう。
金庫を改造によって増設されたザミーゴは、身体の液状化能力を身につけ、スーパールパンレッドの先読み能力に対処。確実に攻撃が当たっているにも関わらず、無効化されてしまう絶望的な状況が危機感を煽ります。
このバトルでは、ルパンレンジャーが三者三様に成長した戦い振りを見せつけます。何しろ、ザミーゴの氷結攻撃をすべて回避して攻撃を当てているのですから。つまり、ザミーゴは改造されていなければルパンレンジャーには勝てていないわけで、快盗の執念ここに極まれりといった感があるんですよね。
特に、直前に咲也との一件がある初美花は、「早く終わらせる」ことに執念を燃やしている(つまり快盗でない自分として咲也に会いたいと望んでいる)ので、その熱量はかなりのものがありました。
そして、当然ながらザミーゴ攻略の鍵はコレクション奪取にあります。ところが、遊び半分のザミーゴはまたも退散し、そのチャンスは消滅。ご都合主義を感じさせない性格設定が巧く活きていますね。
初美花と咲也
今回のメインストリームは無論このお二人。
ジュレの三人が快盗ではないと信じている咲也は、自ら初美花に探りを入れるべく、デートに誘ったのでした。巧いのは、咲也の初美花に対する気持ちに基づいたバイアスがかかっていないところで、ちゃんと手順を踏んで話を聞き出そうとしているんですよね。この辺り、感情が先行しているとはいえ、咲也が警察官として優秀であることを示しており、最若手のパトレン2号もその成長振りが遺憾なく描かれたわけです。
一方、初美花は恐らく、純粋に咲也の誘いに喜んだのではないかと思われます。一応、相談に乗ってもらったお礼と言っていましたが、そのような言が出てくること自体、言い訳していることになるわけで、ようやく二人の関係性にも変化の兆しが見えてきました。
しかしながら、これは終盤戦の一翼。使命に対して過剰なまでにストイックなWレッドのメンタル面を補完するものとして、この二人が存在するのは間違いないでしょう。つまり、本当の最終局面がどうなるかはさておき、その前段階で確実に苦悩を背負わされるパターンを担うわけです。そう考えると、基本的に陽性な二人は実に絶妙なカップリングですよね。
なお、今回は途中でギャングラー襲撃の報が入ったため、咲也は何も聞き出せず、状況変化のないまま離脱することになりました。その後、初美花はその沸き上がる後ろめたさによって、咲也の居る現場には近寄れないと言い始めます。いつも信じてくれるのは咲也、いつも騙しているのは初美花。この構図が初美花を苦しめます。最終章の苦悩を初美花に求めるあたり、なかなか強烈な作劇だと言えるのではないでしょうか。
次回
ドグラニオも含めて全レギュラーが一堂に会し、ノエルの公開処刑が行われるという、「レインボーマン」最終話のような展開(?)。正体バレも待ったなしの中、どう話が進んでいくのか、楽しみで仕方ないですね!
本文でも書かれていましたが、咲也がただ、感情に流されていないというところが素晴らしい表現でした。しかし、咲也としても初美花たちが快盗であると、ほぼ理解しているのではないでしょうか。圭一郎の推理は説得力があるものでしたし。それこそ心では納得できないというか。
ザミーゴとルパンレンジャーはいい勝負になってきていますが、それでもザミーゴの冷凍攻撃はかなりやっかいに見えます。やはり一人が防御に専念するというのは、コレクションを奪うというのが大前提のルパンレンジャーとしては相当不利になるのでは。
こうしてみると、ギャングラー怪人って、幹部はもちろん、通常の怪人たちもかなり強敵だったのかもしれませんね。もちろんコレクション込みではありますが、それプラス個々の特殊能力というのもありましたから。
次回からは本当にクライマックス。正体がバレないまま終了というのもアリと思っていた時期もありましたが、やはり避けられない展開なのでしょうか・・・?
咲也の描写は本当に素晴らしかったですね。
私も、ジュレの三人が快盗であると、咲也は分かっていつつ納得できていないのだと思います。なので、より感情移入できますよね。
正体バレは多分織り込む前提ではないかと思います。どういう展開なのか、すごく気になりますね。
今回の話ですが、怪人はともかく幹部クラスになると、両戦隊が一緒でないと厳しいって事ですかね。
もし、ゴーシュかザミーゴのどちらと、ルパン&パトレンジャーが対決していたら勝ったんじゃないか、そう感じながら見てました。
一方、悪の側ですが、ギャングラーという組織自体が、もうどうでもいい感じになってる気が(汗)
どうにもドグラニオの考えがあまり出てこないせいか(しかもザミーゴには無視されてるし)幹部が勝手にやってるようにしか見えないんですよ。
実際、その通りなんでしょうけど(おいおい)
次週は正体バレになるのか、楽しみですね。
それではまた
幹部級は両チームの共同でないと…というのは、今シーズンでは妥当な決着の付け方でしょうね。盛り上がりを考えても、自然な流れだと思います。
ドグラニオは珍種中の珍種になりましたね。内紛も何もなく、ただ黄昏のボスっていう…。引退間近という設定がここまで活きてくるとは、想定外でした(笑)。
咲也と初美花のデートのやりとり、工藤さんは表情を作るのが本当に上手くなったと思います。
番組開始当初は笑顔が可愛い娘、だったのに今では大人っぽい表情にグッときてしまいます。
ザミーゴのここへきてのレベルアップやゴーシュの3つ目のコレクション登場など各々の強さを遺憾なく引き立てていて、ルパパトどうなるんだよー!って感じに溢れました。
そして異世界に連れ去られたノエル。普通ならどうやって異世界に助けに行くのだろう?って感じですが、次回予告で久々にコグレさんが写っていましたのでひょっとして・・・?
そしてマスクに手をかける(っぽい)3人の姿。いよいよその時が!?
もう、待ったなしですね。
工藤さんは表情の引き出しが元々多くて巧いなと思っていたのですが、ここに来て「大人」を感じさせる辺りが、また巧いですね。絶対ファンが増えますね(笑)。
ある意味、最も危機から遠かった男が、最大の危機に陥るというシチュエーションに燃えたところで、コグレさんがコミカルに締めてくれるというのも、アリと言えばアリですね。正体バレか否か…と共に楽しみです!