また引っ張ったらどうしようかと心配していましたが、無事デストラ退場となった激戦の一編。
結局、最後の最後までポジションが明確でないまま退場していった印象ですが、皮肉にも華々しい散り様は、今シーズンの敵役の「当て馬ポジション」をよく体現したと言えそうです。
デストラ・マッジョ
デストラとは一体何だったのでしょうか。
たまに前線に出て来てその力を見せつけ、ゴーラムを放って巨大戦をお膳立てしたり、ルパンコレクションの実験に興味を見せたり、ザミーゴと対立していたり…。これらの行動を俯瞰すると、ギャングラー連中が見せる一連の行動に存在する「隙間」を埋める役割をしていたことが分かります。
今シーズンは、快盗 VS 警察という構造が前面に押し出されているため、どうしても「倒すべき第三勢力」としてのギャングラーは描写が手薄になってしまい、その統括者たる幹部連中の魅力がかなりスポイルされるのは仕方ないとして、その密度を何とか上げるべく(あまり動かず)動き回っていたのがデストラだったと言えるでしょう。
故に、何が目的なのかさーっぱり分からない上に、それが謎にもならなかったという可哀想な役回りではありましたが、一応ドグラニオにとって最も可愛い用心棒だったという着地点を与えられました。エピローグにてドグラニオが杯を捧げるシーンは、ギャングラー側に感情移入を許す数少ない名シーンでしたね。
とりあえず今回、デストラの「中ボス」としての風格と強敵振りは存分に発揮されました。
前回は詰めの甘さから後塵を拝しましたが、今回はプライドをかなぐり捨ててゴーシュの提案を受け入れ、ビクトリーストライカーとサイレンストライカーを奪取。その能力を存分に利用してルパンレンジャー、パトレンジャー共々追い詰めていきます。
その迫力たるや素晴らしいもので、「触れることすら叶わない強敵」を巧みに実現していました。これがルパンコレクションによる付帯能力というのがポイントであり、攻略法が一点に集中することになります。後は、それをどう実現するか、両チームがどう行動してそこに向かって行くかという部分にドラマを収斂させることができるため、敵の事情のみにスポットが当たることもなく、また気合いで突破するチープな展開に堕すこともなく、非常にロジカルな上にエモーショナルな「共闘」を目撃することができました。拍手!!
巨大戦は、ほぼ年末商戦向け消化試合といった趣で、少々蛇足感が強かったのですが、まあ幹部クラスも巨大化しないことには「終われない」ですし、いつも以上にセットの精緻さやエフェクトの派手さがアップしていたので良しとしましょうか。
ノエルの謎
ゴーシュの持つ「Guéris le monde (ゲリルモンド)」なるコレクションを以前より警戒していたノエル。当コレクションに関してかなりの因縁を抱えている模様です。
今回はこのコレクションの能力を用いてゴーシュがノエルの「何か」を透視し、焦ったノエルがデストラに好機を与えてしまうという失態を犯します。
面白いのは、普段から飄々としているノエルの焦り。完全に冷静さを失っており、その乱れようをコグレさんに叱責される始末。これまた慇懃無礼、飄々と振る舞っているコグレさんが画面どアップで放つ厳しい叱責は、普通に怖かったですね。あんな感じで普段ニコニコしている人が怒ると恐ろしいという「本質」を、温水さんは短いシーンで見事な演技プランを用い表現し尽くしていました。素晴らしいです。
また以前、ノエル因縁の相手として、デストラがクローズアップされるシーンもありましたが、あれはミスリードだったようです。というより、そもそもそんな意図があったかどうかも、今のところよく分かっていません。
共闘・Wレッド!
魁利と圭一郎、互いにデストラを倒すベストな方法として、互いに利用し合うことを企図します。
ここでは、それまで渋々ヒルトップ管理官や咲也たちの提案に従ってきた圭一郎が、自発的に快盗を利用する方針を打ち出すという、大きな変化が見られます。勿論、快盗の正体を知っているわけではないので、これまで何度か戦い、何度か協力し、何度か主張をぶつけ合った結果としての「答え」になります。
非常に長い時間をかけて、ようやく辿り着いた共闘の形は、これまでのようにどちらかが一方的に利用される立場に甘んじることなく、極めて前進的であり、今後の構造に大きな影響を及ぼす動きとなりました。
これまでも、コレクション回収が勝利への鍵とされることがあったものの、あくまで警察はギャングラー殲滅が第一義であり、「仕方なく」コレクションを回収させるという側面が強く出ていました。
ところが今回は、その正攻法が通じないと知るや、魁利は圭一郎の次の一手を予測(あるいは誘導)し、ルパンマグナム逆発射で自らの身体をバリア破壊に用いるという、ある意味パトレンジャー的なパワー型の攻めに転じます。
一方、圭一郎はそんなルパンレッドの動きから真意を探り、今度は自らデストラの金庫を開けに行ったのです。しかも、「押収」ではなく「代理回収」! デストラを倒すためとは言え、そこまで踏み込んだ圭一郎の勇姿には、感涙を禁じ得ません。
そして、両者は完全にセリフがシンクロするほど、目線の先を同じくしていることが重ねて描かれます。これが両者の和解を示すのではないことは明らかですが、「敵」から「ライバル」に感覚が変化したと言えば、最も通りが良いのではないでしょうか。ここに正体バレが加わることで、より複雑な機微を期待できそうです。いやはや、凄いところにまとめて来た感がありますね。
次回
次回は、先代パトレン2号の帰還!
残念ながらそれにまつわる配信エピソードは未見なのですが、かなり面白いことになりそうなので期待しています!
今回で最終回じゃないの?というほどの内容でしたね。
デストラに対する対抗手段は怪盗と警察がお互いに積み重ねてきた経験から導き出した答えで、信用・利用するからこそ臨機応変に動けるWレッドのシンクロ率、めっちゃヤバすぎでした!
巨大化戦も、座席が入れ替わるとか、ビーグル取っ替え引っ替え、とか、ここまでやったらドグラニオ倒すときはどう表現するの?と思ってしまうぐらい個人的には贅沢なシチュエーションでした。
そしてラストシーンのドグラニオ。前回「俺が手元に置いていなけりゃ・・・」という台詞がありましたが、デストラこそがドグラニオにとって「忠義の士」だったのではないでしょうか。
思わず感情移入してしまいました。
次回は、もう一人のパトレン2号。さん。彼のストーリーは見れないので良く分かりませんが、TTFCさん、何とかなりませんか。笑
近年は12月に最終編っぽい盛り上がりを持ってくる傾向がありますよね。今回も見事な盛り上がりでした。
ホント、ドグラニオの時はどうするんでしょうね。ちょっとインフレ気味な感もあるので心配になってきました(笑)。
デストラの忠臣的な落とし処には私も感激しました。それだけに勿体ない…。
幹部の退場劇ですが、強さの割りに内面が描かれないままの退場となりましたね。
対立(&共闘)する2つの戦隊がメインなので、言われる通りしょうがないのかも知れませんが、やはり悪の美学というか、滅びの美学も見てみたいと言うのが正直な思いです。
(まあ、欲張りというのは判ってるんですけど 汗)
一方、エピローグにてドグラニオが杯を捧げるシーンはドグラニオへの想いが感じられるとともに、いつの間にか倒されて寂しくなった組織の姿を映し出しているようで、考えさせられるラストでしたね。
そんな悪側に対し、Wレッドの描き方は素晴らしいの一言です。
もう、タイムレンジャーでは考えられない位(おいっ)それだけにバレた時の事が今から楽しみです。
あと、ゴーシュの持つゲリルモンドに焦るノエルですが、これは持っていた相手というより、ゲリルモンドそれ自体に対しての因縁なんでしょうか。
プリキュアも次回作が発表されましたし、もうすぐ次の戦隊名も明らかになるでしょうが、ラストに向かっていくルパパトも最後まで応援したいと思います。
それではまた
今シーズンはギャングラーに感情移入させない意図がありそうな気がしますね。古の…特にデンジマン〜ライブマン辺りの内部抗争劇が懐かしいですね(笑)。
ただ、ギャングラーの黄昏という雰囲気は正に一つのギャングの終焉といった感じが出ていていいですね。
毎年のことですが、次回作の情報が出始めると寂しくなります。
今回含む一連の話では中々良いキャラになったと思います、デストラ。それだけに繰り返しになりますが、もったいなかったなぁ・・・となってしまいますね。
ヒーロー物の悪側といえば、内部抗争がお約束ではありますが、ルパパトは言ってみればヒーロー側の内紛がテーマになっているので、ギャングラーでのそういう展開は、あえて避けられたのかもしません。
静かな場面でしたが、両戦隊の出撃準備のシーンがすごく良かったです。無言の闘志と言うか・・・。戦闘シーンも毎度のことですが、実に練られていて、圧倒されます。
それにしても、幹部の退場は例年クリスマス決戦になることが多いのですが、今回はその名のとおり、ノエルの物語で締めになるかもしれませんね。
何かの記事で読んだのですが、近年素面の敵幹部が少なくなっている理由として、スーツの製造技術が向上していることと、達者な声優さんが増えたことがあるらしいです。確かに、一から役者さんを探すより、最初からイメージ通りのキャラクターが創れるならそれに越したことはありませんし。「ダイナマン」のダークナイトは、アニメ的な美形悪役を出そうとした時、二次元と違って誰もが納得する美形を用意するのが困難だったため、ああいう悪の戦隊ヒーローのようなデザインになったそうです。
ちなみに、私のお気に入りの敵幹部、女性幹部に限定するなら、「ターボレンジャー」の流れ暴魔キリカですね。流れ暴魔は、設定自体良かったですし、キリカも後半は完全にヒロインでしたし。当時、小学生ぐらいだったと思うのですが、「何か」に目覚めてしまったキャラクターでした(汗)。
最後の最後で急激に掘り下げられたデストラ、確かにいいキャラになりました。本当に勿体なかったですよね。
両チームの出撃準備のシーン、私設と公設で差別化もちゃんとされていて本当に格好良かったですね。VSならではの良さが前面に出ていて贅沢でした。
クリスマスがノエルの物語になるというのは実に素晴らしい予想です! 確かにそれが一番しっくり来そうですね。
素面幹部、そういう事情があるんですね。でも、やっぱり寂しい(笑)。キリカの森下さんはダイレンジャーのクジャクでも更に人気になりましたし、この辺で高畑淳子様にもう一丁お願いしたいですな(笑)。
今回はなりふりかまっていられなくなった者同士の死闘でしたね。
パトレンジャーにとっての第一は「ギャングラー殲滅」ではなく「市民の平和を守る」ことであるので、デストラによって壊された街は視聴者が見る以上に衝撃でしたでしょう。
6話の時と同じく、自身の使命を強く認識したときは、快盗への執着を捨てられる。それが圭一郎であって、「快盗を利用する」というのは決して驚くことではないでしょう。
カイリも自身の強化アイテムが全く効果がなく、さらにはそれを奪われてしまいました。もはや快盗としての力だけではどうしようもできない状況です。何よりもカイリは「市民の平和を守る」という使命を背負った圭一郎の強さを誰よりも目の当たりにしています。
それが今回の互いを利用しあうという結論でしょう。
一方デストラもなりふりかまわずです。そのあまりにも強大な力は両戦隊の力を足し算しただけでは到底かなわないほどです。
それではなにが勝負の決め手になったのかは、「快盗」と「警察」の境を越えた頭脳戦でしょう。単純に力を合わせるのではなく、お互いを出し抜くという形のルパパトだからこそなりたつ戦いだなと思いました。
個人的に熱くなったのは
圭一郎の横にトウマとうみかが
カイリの横につかさとサクヤが
普段ならば絶対にあり得ない立ち位置てす。
次回は久しぶりに快盗と警察がぶつかりあうのも楽しみです。
正に仰るとおり「なりふり構わず」が凄い緊張感を生み出していましたね。
デストラの破壊シーンは一瞬で、しかも後からそれに続く描写がなかったのはアレでしたが、物凄い衝撃ではありました。
立ち位置のお話ですが、組み合わせの妙がこれまた画面に緊張感を生んでいましたね。巨大戦でのカップリングもツボでしたが(笑)。
ここで一気に共闘路線に堕さないのも今シーズンの良いとこ。次回も楽しみですね!