快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー #41「異世界への扉」

 ギャングラーきっての「空気」と個人的には思っているデストラの急襲編。

 とにかくパワーで押してくるデストラに、どう立ち向かうかというのが主軸ですが、透真とつかさの交流を添えてくるあたりが非凡。逃走劇、脱出劇、救出劇、激突、裏切り…といった各要素が一気に押し寄せてくる贅沢三昧な一編でした。



デストラ

 パワー系幹部ですが、本話に至るまで大人しいキャラクターに甘んじており、ビジュアルとしては目立つことこの上ないのですが、ストーリー上で存在感を発揮できない典型でした。

 今回は、ドグラニオの期待に応えるべく、ギャングラーの棲む異世界に快盗と警察を誘い込んだ上で、ドグラニオの目前で処刑してみせるという作戦を採っていました。

 ほぼパワー押しでそれを着実に達成していく様は、かなりの恐ろしさ。「デンジマン」のバンリキ魔王登場編を思わせる展開でしたが、トリッキーな面がない分、デストラの強大さをアピールできていたように思います。

 ただし、この「頭を使わない」ところがデストラの弱点と言うべきか、ザミーゴという「予期しない要素」によってすべて覆されてしまうあたりが、何とも彼らしいところ。とは言え、ザミーゴが現れなければ全員異世界に送られてしまっていたでしょうから、やはり恐ろしい実力の持ち主ですよね。やっと幹部級アピールができました。

ザミーゴ

 今回のザミーゴの行動は、昔ながらの敵組織内部抗争に倣ったものであり、パーソナリティの描写が避けられてきたギャングラーにおいて、それなりのインパクトがありました。

 しかしながら、相変わらずザミーゴの行動は愉快犯めいているため、そこに深い意味を見出すことは困難です。一方で、「いけ好かない奴らが互いの足を引っ張り合っている」という構図になっているあたりは、見事に彼らのキャラ付けに成功した結果でしょう。

 さて、長く生き残るのはどちらか…!?

いきなり仲良過ぎ!!

 冒頭、ジュレでの微笑ましいひとコマが描かれ、最近のヒリつくような緊張感を一気に崩してくれました(笑)。

 圭一郎が梅干しの瓶をジュレに持ち込むシーンは、フレンチレストランという「場」と純和風の漬物とのギャップが見事な可笑しさを生んでいました。魁利もまんざらではなさそうなところが益々可笑しく、二人の距離感に大きな変化を見ることができました。

 しかし、伊藤さんの演技プランによる意図的なものだとすると凄いのですが、まだ魁利は努めて圭一郎に明るく接していたようにも見えたんですよね。

 一方、初美花と咲也の関係性はそこまで変わっていないように見えます。ただし、咲也に近付いて耳打ちするまでの距離感になったのは、咲也にとって非常に喜ばしいことでしょう(笑)。

 以上、やや強引にも思える接近でしたが、全体的に切迫感のあるストーリーの中で、一服の清涼感を得るには充分な楽しいシーン群でした。

ノエル=説明者

 今回、中間の立場にあるノエルは双方に状況を説明する役割を負っていました。自身もデストラに痛い目に遭わされており、戦いの中で無駄なく状況説明をする様子は秀逸そのものでしたね。ポジションの利用価値を分かっている感があっていいですね。

透真とつかさ

 キャスト的にも設定的にも年長組(つかさは圭一郎と同期の設定ですが)。このカップリングは、ビジュアル的にもなかなかのインパクトを持っていました。

 つかさは、透真の一面(二面?)を捉えているに過ぎないことが、今回の会話で露呈しました。圭一郎のようにグイグイ入り込まない、彼女のドライな面が垣間見られます。

 一方、透真の方は警察に接近することに危機感を感じており、当然つかさも警戒。以前、透真たち三人について調査が行われたことについても、少なからず嫌悪があったようです。

 この二人が、真っ先に異世界へと送り込まれ、強制的に二人きりになるわけで、このシチュエーションは以前の初美花&咲也とほぼ同じパターンになります。ただし、今回は男女が逆転しており、透真は快盗でありながらその正体を隠し、警察の庇護を受ける一般市民を演じざるを得ない「男性」であるところが大きなフックになっています。

 故に、つかさは孤軍奮闘を強いられ、警察らしいパワフルで実践的なアクションをかなりの分量で演じることになりました。これがまた実に素晴らしい! ファンには元々身体能力が高いことを知られていたものの、ここまで本格的なソロアクションのシーンはなかったので、今回のアクション連続は正に待望でした。実践格闘技による多数の手数を無難にこなしていく様子は凄いの一言です。

 そして透真もあくまで一般市民を装ったまま、つかさをアシストします。

 まずはタックルをかまし、つかさを失うことで魁利たちが悲しむのはやりきれないと、本音の混じった言い訳を披露。これが透真の「イイ人」たる所以ですね。

 そして、つかさの落としたチェンジャーを拾い、正確無比な射撃を披露する透真! これは正に正体バレへの第一歩。ここでは言い訳をする暇すらないというのが巧いところ。実に格好良いシーンでした。勿論、つかさはエピローグまで疑念を引っ張り、後の展開に向けた種苗を打ちました。圭一郎ではなく、やはりつかさの冷静な「気付き」が快盗の牙城を崩すのでしょうか!?

次回

 次回はデストラとの一大決戦。派手な画面が観られることを期待しています。

 



投稿者: SirMiles

【マー 🏃 SirMiles / Masafumi Fujimura / https://sirmiles.com / maruzoku】 Run、音楽、プラモ。趣味は広く浅く。生業はIT系。

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8件のコメント

  1. これまでのバディ回(圭一郎&魁利、圭一郎&初美花、咲也&透真、咲也&初美花)に比べると非常に緊張感があったように感じられました。二人ともクールキャラだ
    からでしょうか。冒頭で圭一郎&魁利、咲也&初美花の距離が縮んでいる場面との対比がいい感じです。
    ルパンX状態で海に落とされたノエルが何事もなかったように登場したことに軽い違和感というか驚き。ライダーだったら絶対に生身で落とされていますね。

    ところで今年は新年に戦隊VSシリーズ、劇場公開しなかったので打ち切りかと思ったらVシネ枠で続くのですね。しかし、ルパレンVSパトレンVSキュウレンというのはなんともとっちらかっているというかB級感あふれるタイトルですな(嫌いじゃないです)。

    1. 今回の組み合わせの緊張感、実に良かったですよね。クールキャラ同士って、通常の戦隊では絶対に有り得ない組み合わせなので、VSならではですね。

      平成ライダー以外のヒーローって、水落ちした後も普通に濡れない状態で登場していたり(笑)。ノエルの件もさすが「戦隊」と思いました。

      Vシネはシチュエーション的に三つ巴になるところがあるんですかね?

  2. 透真とつかさ先輩、美男美女はやはり絵になりますね。

    今までこの二人の組み合わせがなかったことがもったいない、と思うくらい素敵でした。

    そしてつかさ先輩のアクション!かなり練習されたのでしょう。正直、目を奪われてしまいました。

    動ける女優さん、って需要が高いと思うので戦隊以降も拝見できる機会が増えていく予感がするのは嬉しい限りです。

    ストーリーも41話まで来て、残り話数からしても今回の透真の射撃シーンが怪盗バレの一端であることは十分に考えられますが、パトレン3人がルパン3人の正体を知った時、また3人の覚悟と決意を知った時、警察という立場でどういった思いを馳せるのか考えると・・・こういう妄想しすぎなところがダメなんでしょうね。

    スーパー戦隊は童心に帰って素直にドキドキワクワクしながら見るのが一番楽しいはずですから。

    1. 突出した美男美女ペアはいいですね。ビジュアルだけでも充分楽しめる回でした。

      奥山さんのアクションセンスは、かなり高いものと思われます。工藤さんの柔軟性溢れる開脚とかも凄いのですが、フィジカルなパワーを感じさせるところに奥山さんの良さがありますね。

      戦隊は童心に返るのも大事ですが、古くはバイオマンあたりからハイブロウ化しているので、妄想しながら心配しながらというのも充分楽しいかと思います(笑)。

  3. ここに来て急にキャラ立ちしてきたデストラ。敵側の描きこみには、毎年もっと尺を・・・と思ってしまうのですが、追加戦士がお約束な昨今ではなんとも・・・(汗)。
    咲也の「おまえ人望ないんだよ!」という台詞が妙にツボだったのですが、初期ではデストラの舎弟らしきギャングラーもいたのに・・・。ああ、もっと尺が(以下略)。
    透真がパトレンを警戒する動機が変化しているようにも思えます。当初は単純に正体バレを警戒していたのでしょうが、魁利や初美花がそれなりに彼らと仲良くなってしまった今では、バレた先の悲劇に対しての恐れがあるように見えます。そして透真自身も、パトレンジャーたちにそれなりの親しみを持ってしまっているのではないでしょうか。
    つかさには未だにチャラ男だと思われているらしい透真。ルパパトは、このように過去のエピソードを積極的に引用している会話が多いですよね(透真にとっては黒歴史ばかりですが)。一年を通しての連続ドラマなので、当たり前と言えば当たり前なのですが、最初から観ているファンからすると、結構うれしいですね。

    1. 敵キャラの描き込みは、何となく諦めてしまった感もある戦隊シリーズ…。ゴーバス辺りの素面幹部ですら、キャストの魅力で何とかアピールしていた感じですよね。

      ああ、石橋雅史先生や曽我町子陛下、賀川雪絵姐様のような幹部軍団が懐かしい…。

      透真の感じ方については、正にそのとおりだと思います。バレた先の心配の方に比重があるのは、今回のセリフからも感じられますよね。

  4. こういう組織の場合、下克上を狙う内部抗争が起きやすいんですけど、ドグラニオがトップを譲ると公言してるため、構成員の目が完全に外(人間界?)を向いていて起きない状態になってますね。
    普通はザミーゴが何かを起こすかと期待できるんですが、こいつは完全に愉快犯だからねぇ(苦笑)
    ただ、ここまで怪人がやられてくると、そろそろドグラニオの動きも期待したいところですが、デストラとの戦いの後になるのか?次週の戦いに注目したいです。
    そして、そのデストラですが、小細工が効かないパワー一辺倒の戦い、いいですね。
    最後はもちろん裏切りでダメージを負った状態で闘い、退場を願ってます(これこれ)

    余談ですが、先週、ネットのニュースでサンジ役の声優が死亡と出たもんで、キュウレンジャーどうなるんだ~って思ったら、韓国のサンジ役の人だったんですね(あ~ビックリした)
    それではまた

    1. 超強力なボス(という印象も薄めですが)としてのドグラニオが引退寸前というシチュエーション、非常に面白いのに巧く回っていない感じでしょうか。

      今シーズンは特にヒーローサイドの関係と動きが面白すぎるので、ギャングラーは完全に第三者になってしまいましたね…。

      デストラが裏切りで退場するのは、昭和っぽくていいですね(笑)。私もその辺を期待してます!

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