恐るべきことに、平成最後の夏にゴッドマーズのプラモデルが発売されました。
スーパーミニプラで盛り上がる懐かしロボコンテンツのキット化に追随したのは明らかですが、所謂「中の人」が元スーパーミニプラの設計開発に携わっていた方だと知って余計に驚きました。
「六神合体ゴッドマーズ」は直撃世代の私にとって、色々と思い入れのあるコンテンツ。DX超合金を幸運にも買ってもらったり、当時のプラモを作ったり、再販プラモを作ったり…。最近はサントラを買い直したりしました。
当時のキットとしてはベストメカコレクションの1/440と、デラックスキットの1/300がありました。デラックスキットの方は合体ギミックを備えていたものの、ウラヌスとタイタンが省略されていたりと、結構残念な仕様。ただし、スフィンクスのギミックに関してはDX超合金より優れた部分もあり、後の超合金魂でも参考にされていたりします。
作品の方は、語り出すときりがないので割愛致します(笑)。
キットについて
突然の登場で世間(?)を大いに騒がせたMODEROIDのゴッドマーズ。今度はガイヤーの収納が省略され、またも完全なる六神合体とはならなかったわけですが、現在入手出来るゴッドマーズの立体物の中では、個人的に最高峰ではないかと思います。合体前後のスタイルは非常に良く、イメージを見事に再現しています。
合体ギミックは大胆な差し替え方式になり、ガイヤー以外の五神ロボは可動もかなり省略されているなど、いわゆるアクションフィギュアを所望する向きには、かなり不満の残るものかも知れません。なのでギミックの世界では、超合金魂版こそが究極と言えるでしょう。
しかし「模型」として見た場合、省略の美と申しましょうか、あるべき「姿」を追求したパーツ構成とギミックを備えたMODEROID版には、唸らざるを得ないわけです。その省略の美によって、スタイルの完成度は超合金魂版を軽く凌駕しています。
多色パーツによる色分けや、ポイントを押さえたシールによるカラーリング補完、一部塗装済みのフェイスパーツなど、スーパーミニプラの設計思想を引用しつつ、大型キットとしての満足感をも確保する素晴らしさは、箱を開けた瞬間から約束されています。
一部パーツの合いの悪さや、塗装済みパーツの塗装精度に個体差が出ているといった問題点もありますが、そんなのは些細なことだと笑い飛ばせるほどの迫力に圧倒されましたね。
改修箇所について
「改修」とは言えない規模で、ほぼ、組み立て時の問題を解消する工作をしたのみです。
接着前提、後ハメ加工は随所に。ウラヌスとタイタンの拳パーツは、かなりタイトな組み付けなのでプラ棒で後から接続できるようにしました。目立つ部分では、マーズフラッシュ(剣)の穴が塞がっていたので開けています。
可動部でキツい部分は、組み付けの際にグリスを塗布すれば全く問題ありません。
塗装について
目立つ部分は基本的に合わせ目を消しました。これは結構大変でしたね。凹んでいる部分や塗装でブラックアウトする箇所は、消さずに放置しています。
ガイアカラーの黒サフ、場所によってはEx-ホワイトも下地とし、その上に基本色を吹いています。非常に色数が多いので細かい部分は覚えていませんが、以下基本色を列挙します(すべてGSIクレオスのMr.カラー)。
赤はモンザレッド、緑はデイトナグリーン、黄色はイエローFS13538、黒はミッドナイトブルーとしました。スフィンクスのヘッドはコバルトブルー、ボディはメタリックブルーです。ラーの青いボディはフタロシアニンブルーです。
スミ入れはグレーとブラックを使い分けています。シェーディングは例によってガイアカラーのクリアブラックで。
仕上げのコートはガイアカラーのEx-つや消しクリアーにMr.カラーのフラットベース・なめらかスムースを投入したものとしました。メタリックカラーの上をコートしても質感がスポイルされないので好きです。
各ロボの目などには、Mr.メタリックカラーGXの各色を使用し、ガイアカラーの蛍光色を上塗りして、ブラックライトで光るようにしました。
ガイヤー
DX超合金世代ならば「ゴッドガイヤー」ですね。残念ながら明神礁は付属しません(笑)。
サイズはかなり小さいのですが、スタイルは抜群。塗り分けも簡単です。足(靴)が大きめなのは、自立しやすさを意図しているものと思われます。
数多のネジ穴が空いていた超合金魂版に比べ、後ろ姿は極めてスッキリ。気になる方は肩の穴をパテで埋めた方が良いかも。
塗装派にとって、フェイス部の塗り分けは楽しい作業になるでしょう。上半身の黒いラインは省略されているので、塗ってやると印象が締まって見えます。胸部の窓はクリアパーツ。裏の接続ピンを切り飛ばし、ミラーフィニッシュを貼ってみました。
さすがに超合金魂版のようなアクションはできないものの、かなりのアクションポーズが可能です。この写真は無難なポーズですが。
印象的な飛行ポーズがバッチリ決まります。これは本当に凄い。
スフィンクス
デザイン的に最も割を食っている胴体ロボですが、その個性的なシルエットは物凄く印象に残りやすく、台形の頭のインパクトは凄まじいものがあります。
このドーンという感じのシルエットがたまりませんね。厳密に言うと、左右の腰の張り出しは合体後に出現するのですが、あまり気にならなかったり。
後ろ姿は物凄くシンプルです。塗装のポイントとしては、腕の白く丸いモールドでしょうか。ここを塗るとメカっぽさが増します。
顔のカラー設定はあってないようなもので、劇中でもカットによってコロコロ変わります。とりあえず砂漠の立像から出現するカットをマスターにしてみました。
ゴッドマーズ用の可動部があるため、他の五神ロボよりは動く印象。スフィンクスは劇中で動いている場面が少ないですけど。
印象的な飛行ポーズは完璧に決まります。いやぁ、これは素晴らしいスフィンクスです。
ウラヌス
1/300では省略されたウラヌス! これを待っていました。氷山から現れる白いロボットというイメージマッチングが最高です。何となく可愛らしいデザインが大好きな3号ロボ。
曲面主体の上半身と角張った下半身、そして靴の曲面が見事な組み合わせ。天才・村上克司氏のベストデザインの一つと言えるのではないでしょうか。
後ろ姿は少々劇中設定とは異なっており、歴代の立体物が意識されているようです。
個人的に大好きな丸い頭部。実に麗しい。
腕部と脚部は棒状なので、アクションには自ずと限界があります。それでも、こんなに格好良いウラヌスが目の前にあるだけで充分幸せ(笑)。
例によって飛行ポーズは完璧です。そもそも、この飛行ポーズを主眼に置いて設計されているそうで、手首の角度は正に狙ってますよね。
タイタン
そしてこちらも1/300では省略されたタイタン! ウラヌスの「丸」に対し、徹底的に「四角」でデザインされた、見事にシンプルで格好良いロボです。
立方体と直方体のブロックを積み上げたような独特のシルエットに、唯一胸部のみ張り出す形状を与えた天才の所業。深海から緑色のロボットが出現する劇中でのインパクトも凄いものがありました。
所謂「箱ロボ」の王道。丸いモールドを白で塗装すると、より劇中の印象に近付きます。
頭部も徹底的に四角いです。劇中、鼻筋は白だったり緑だったりしますが、こちらも合体前のカットを参考にして塗装しました。
可動部はウラヌスと同様。劇中では直立不動のまま胸部から光線を発射してばかりのイメージが(笑)。
こちらも素晴らしく飛行ポーズを決めることが可能。胸部のイエローは別パーツなので、ラピーテープなどを貼っても面白いかも知れません。
シン
多角柱を組み合わせた黒いロボ。出現元である「アンコールワット」というワードをこれで知った当時の子供も多いのでは。足ロボなので常にスタイルが犠牲になってきましたが、今回は差し替えの恩恵を最も享受、素晴らしいスタイルを誇ります。
力強くドシッとしつつも、どこかエレガントな印象を与えるシン。多角柱の配置が実に麗しいです。
後ろ姿はやはりシンプル。ゴッドマーズ用の可動部が背部にあり、少しメカニカルな印象を与えるのが面白いところです。
頭部は同じ村上克司氏の手による「コンポボーイ」の意匠を引用した雰囲気。後ハメが困難な構造だったので、塗装+マスキングをしつつ組んでいきました。
ウラヌスやタイタンとほぼ同じ可動部。腕ロボのような腰の回転がない代わりに、股関節に回転軸が存在します。
やはりシンも飛行ポーズはバッチリ。足首に可動部があるので、細かい表情を付けることができます。
ラー
イースター島から飛来するロボ。当時は超常現象ブーム(その影響からかゴッドマーズ初期は超能力の描写が細かいです)。ムー大陸に結びつけられたイースター島のミステリアスな雰囲気にピッタリな、遺跡風のスタイリングが抜群の存在感です。
角丸四角形を各部に配したデザインがハイセンス。色分けはすべてパーツ分割で表現されていて、塗装のしやすさも抜群でした。黄色と紺をメインカラーとするロボットは珍しく、鮮烈なインパクトがあります。
シンと同様の背部。こちらはエッジが丸められているので、柔和な印象を持ちます。
独特な形状を持つ頭部。ラーだけメインカラーに配慮して目が青いんですよね。やはり後ハメ不能な形状だったので、工程を重ねて合わせ目を消しました。
アクション性は勿論シンと同様。いわゆる「ハの字立ち」が容易に可能なので、少ない可動部には殆ど不満を感じないですね。
飛行ポーズ、相当練られていると思います。スタンドが6つあるならば、是非とも飛行ポーズで並べたいところ。
六神合体!
基本的に、各ロボとも頭部と腕部は取り外し、脛部の「ガワ」を取り外してゴッドマーズ用の可動パーツに被せるという工程になります。大胆な差し替え変形ですが、外側のパーツはほとんど合体前後で共通しているので、「変形している」というイメージが巧く保たれており、満足度が高いです。
まずは合体前に揃い踏み。素晴らしいバランスです。
合体用パーツに差し替えると、昔の「カスタム超合金」のようなスタイルに。
では、六神合体!
各画像はクリックで拡大できます。
ガイヤーは収納できませんが、スフィンクスの胸部カバーを取り外すと、ガイヤーがモールドされており、塗り分けることで合体イメージを再現できます。
印象的な手足ロボの同時変形。
ゴッドマーズ
東映スパイダーマンのレオパルドンに匹敵する「動かないロボ」として有名になってしまったゴッドマーズですが、改めて全話見返してみると、結構動いているんですよね。当時はサンライズ系のロボットが激しく動いている印象なので、相対的に「動かない」というイメージがついてしまったのかも知れません。むしろガイヤーを除く五神ロボの方が動いていないです(笑)。
当キット、当然ながら合体後がメインで推されているので、ゴッドマーズのスタイルは他の立体物を軽く凌駕しています。現在、この低価格でこれだけのものが入手できる喜びは計り知れません。
合体直後のあおりイメージで撮ったので、ちょっと斜めってますが…。シンプルさと適度なモールドによる止揚が美しいスタイリング。随所にDX超合金版のイメージが引用されているのも世代的に「刺さる」感じですね。
頭部にはクリアパーツが使用されており、内部にガイヤーの顔がモールドされています。実カラーで塗り分けるより、シルバーで塗装した方が映えると思います。
今となってはシンプル過ぎる感もある後ろ姿。「背負い物」が全くないロボットは珍しくなりましたね。
真横から見ると、非常にスリムです。
肩の可動ギミックが素晴らしく、例の飛行ポーズを合体後も難なくこなせます。
アクション性が物凄く高いわけではないですが、このデザインでこれだけ動くのか! という驚きを充分に感じることができます。
マーズフラッシュ!
何故か当時の立体物はことごとく「六神剣」なる完全な別デザインの剣が付属しており、マーズフラッシュの立体物が登場したのは随分経ってから。
ファイナルゴッドマーズ・パターン1。ウラヌスの頭部を接続する孔に直接肩の軸を挿せば、劇中に近いポージングが可能!
ファイナルゴッドマーズ・パターン2。真っ向両断の両手持ちポーズが可能という驚異!!
マーズフラッシュはMr.メタルカラー・アルミを使用してみました。細い孔はデザインナイフで容易に開けられます。また、グリップ部の成形色はグリーンなので、ミディアムブルーを塗って劇中準拠に。
肩の基部を回転させると、正面に両手持ちで構えることも!
こんなに素晴らしいゴッドマーズが手に入るとは…。本当に感激しました。トライダーG7とかダイオージャとかも是非お願いしたいですね。
自分もゴッドマーズはドンピシャの世代で、超合金も買ってもらいました。当時はまだ、純粋無垢な少年だったので、キャラクター人気があんなに盛り上がっていたとは夢にも思いませんでしたが(苦笑)。
何年か前にローカル局で再放送をしていたのであらためて全話観たのですが、確かに動きそうにないデザインですよね(汗)。同時期の太陽の使者版の鉄人とは対照的に線も多いし。
最近のアニメファンはスパロボで知ったという人がほとんどでしょうね。ゲームでも原作再現(?)でほとんど動かないことは有名です(笑)。
マーグ人気については、私も後から知りました。とにかく凄かったらしいですね。確かに本編を見返すと、マーグが「そういうキャラ」の集大成にして後の原形であることがよーく分かります(笑)。
「動かない」というイメージは、やっぱりスパロボで醸成されたものなんでしょうか。当時も「動かない」と評されていたらしいという話を聞きはするのですが、本編見るとそうでもないので…。