ビジュアルが奇異なので、もっとコメディ寄りなのかと思いきや、かなりウエットな質感が印象に残る一編でした。
魁利と圭一郎の交流がメインになりますが、魁利の危うさと圭一郎の強引さのコントラストが見事にWレッドたるメリットを喚起していましたね。
ヤドガー・ゴーホム
ヤドカリ怪人ということで、その基本能力は分かり易く「強制帰宅」。この能力によって引き起こされる現象は、回数こそ少ないもののビジュアル的に楽しい描写になっており、インパクトは大。この能力が今回の「攻略ポイント」になっており、圭一郎たちの奇妙な「テント生活」というシチュエーションを生むことになります。
一方でルパンコレクションによる能力は空間転移となっていて、この点だけでも充分な強敵となりました。
言動はコミカルながら、デザインは骸骨が殻から出てくるという奇怪なもので、ある意味戦隊らしくないデザインとも言えます。胴体や手足の形状は、なんとなく「ダイナマン」の進化獣っぽいですね。
帰る家がない??
今回最大のフックであり謎となったのが、魁利に「強制帰宅」が効かなかったということ。
透真と初美花はジュレに無理矢理戻されましたが、何故か同じくジュレに居を持つはずの魁利には効果がありませんでした。一応、まるで生活感のない部屋が登場したりと、その片鱗を見せていた魁利ですが、ここまで徹底的に「落ち着く場所を持たない」描写を見せつけられると、実に刺さるものがありますね。
この一連の描写は、寝食を営むジュレであっても魁利の「家」とは言えないという意味を持っているわけですが、それはやはり、「兄の居る場所こそが帰る場所だ」という強いこだわりが魁利を呪縛していると換言できそうです。しかしながら、魁利自身は兄の存在を深層では拒否しており、常にアンビバレンツな感情を抱えているので、圭一郎の言動には過敏に反応してしまうんですね。
ただ、これを魁利の「闇」だと断言するのは尚早な気がします。ここまで時間をかけて醸成されたのは、魁利がメンバーの中で最も幼いという雰囲気でしょうか。少なくとも、透真、圭一郎、つかさには放っておけない弟のような存在に映っているように思います。なので、魁利は年相応より少し下の危うさを抱えていると言った方がしっくり来そうです。
圭一郎を拒絶しつつも、結局今回を経て彼との関係はこれまで以上に密になってしまい、その抗えない波に苛立つエピローグでの後姿は、先鋭的なレッド像を確立していて、ちょっと怖くなりましたね。
お節介な兄
今回の圭一郎は、ヤドガーに対抗すべく寮の自室を引き払い、テント生活を行うという、なんとも強引で「らしい」行動を見せます。咲也がリスペクトしつつも引いているのが可笑しいですね。家財道具一式を一体どうしたのか、非常に気になるところですが、物に対するこだわりが一切なくても不自然ではありませんよね、圭一郎は。その意味では、魁利の生活感のなさとよく似ているのかも知れません。
そんな圭一郎、同様の理由でテント生活を始めた透真と初美花に遭遇し、彼らとの会話をきっかけに魁利を極度に心配してしまい、とうとうジュレにテントを持ち込むという行動に出ます。
これは正真正銘、圭一郎の強引さと正義感、そして魁利へのシンパシィの為せる業ですが、実際にこういう行動をとられると、かなり迷惑ですよね(笑)。圭一郎が子供に好かれないという設定は、魁利≒子供とした際にズバリ当てはまってしまうものであり、その根底には相手の気持ちを読まないお節介さがあるのかも知れません。
今回、また魁利はそんなお節介な圭一郎に兄の面影を見てしまい、かなり強烈な拒否反応を示しました。まあ、普通の人でも拒否してしまうでしょうが…。「魁利君に嫌われた」と思っている圭一郎ですが、実はそんな一言では片付けられない微妙すぎる関係性を構築してしまったので、これからの正体バレといった展開に面白い効果をもたらしてくれることでしょう。
なお、圭一郎のテント生活は見事に奏功し、ヤドガーの能力を無力化する盾となって攻略に貢献しました。
裏目に出る透真
今回の透真は、ストーリーを回していくための重要なきっかけを担当しました。
テント生活を思いついたが故に圭一郎と出会ってしまい、初美花の出任せを取り繕おうとして圭一郎を心配させ、魁利の危うさに同意しつつもその理由を当然答えられずに圭一郎をジュレに向かわせてしまう…。良かれと思って口にした言葉が、幾度も圭一郎を魁利に近付けてしまうのは、ちょっと可笑しいながらも透真の複雑な心境まで感じさせて良かったですね。
ノエルのファインプレー
ギャングラー殲滅一択の警察がそれを果たそうとした刹那、ノエルがお宝を見事回収!
彼の本質が快盗であることを強く印象付けた瞬間ですね。
サイブレード
今回のルパンコレクションは、ゲキチョッパーの専用武器サイブレードでした。「手刀」「必殺剣(久津ケン)」といったキーワードが公式サイトに並んでいましたが、見た目もそのままでしたね。
次回
次回は最終兵器系ガジェットの登場編でしょうか。基本的に「地上の話」なので、宇宙が匂わされているのは楽しみなところです。ノエルのパワーアップも鮮烈!
魁利は実際にジュレに住んでいるにもかかわらず強制帰宅されなかったことを考えるとあくまでも精神的な「帰る場所」に送られるということでしょうか。だとすると透真と初美花は1日ぐらい野宿しても結局ジュレに送られてしまったのではないかと。対して圭一郎は17話の末那のエピソードでもわかるようにプライベートが感じられないほどの仕事人間。おそらく必要最低限の家財道具以外すべて処分し(もともと持っていない?)部屋も引き払っているのでヤドガーの攻撃が効かなかったのではないでしょうか。ある意味魁利と同じぐらい悲しい男ですね(笑)
透真と初美花が戦闘に参加しませんでしたよね。それが曖昧さを担保していて巧いところです。私も二人の場合はジュレに送還だったと思いますね。
圭一郎と魁利の生活感が近似している点については、本文にて述べたとおりです。Wレッドの妙な共通点が楽しいですね。
しかし、圭一郎の部屋のナンバーが110なのには笑ってしまいましたね。
金庫の番号が語呂合わせだったり、こういう小ネタはあると思わずニヤリとしてしまいます。
それにしても、強制的に帰宅させる能力って、ある意味最強かも(う~む)
で、テントを背負ったパトレン1号ですが、攻撃を背中のテントで防ぐあたり、亀仙人っぽい感じで、今回はヤドカリ対亀だったのかも(違)
でもそうすると、ヤドガー・ゴーホムの攻撃って、テントで防げるくらいの攻撃力しかないのか?って、思いました(笑)
それではまた
部屋番号が110でしたか! 気がつきませんでした(笑)。芸コマとはこのことですね。
あのテント、確かにエラく丈夫でしたね。あれだけ銃撃(?)にさらされたのに、焦げ一つありませんでした。仰るとおり、逆にヤドガーの攻撃力が劇的に低かったのかも知れませんが…。
余談からですが、先日「キュウレンジャーVSスペーススクワッド」をレンタルして見ました。過去のヒールキャラが4人も復活!って楽しくないはずがない、と思ってみましたが・・・良い意味でメレは変わらずメレでした。カメレオングリーンに対する先輩風が決まってましたよ。泣
あと「ダウンタウンなう」の番組内BGMで「Chase You Up!パトレンジャー」が使われていて、他局の番組なのに?って驚きました。番組スタッフの中にファンでもいるんですかね。笑
閑話休題
今回は切ないシーンが多かった話でした。
透真や圭一郎の魁利に対する思い。
魁利が圭一郎に兄の面影を重ねてしまったことからくる圭一郎に対する態度。
思ってること全部を素直に口にできたらどれほど楽なんだろう。って感じでした。
そんな中、今回のツボは天地人さんが書かれた通り、圭一郎の部屋番号「110」でしたね。さすが警察!って感じですがまさかの警察寮?
でも、パトレン3人が住んでいるところはバラバラみたいに見えるので、これは借り上げ社宅??
ってことは咲也もつかさ先輩も部屋番号は。。。いくらなんでもそれはまさか、ですよね。汗
全合体も慣れてきた感じですが、一番初めは圭一郎が五月蠅すぎて「席代わります」って移されていたのに今回は踏みとどまった。これも圭一郎の成長でしょうか。
あと、戦闘シーンの主題歌BGMがオーケストラバージョン?にグレードアップしていましたね。そのうち題名のない音楽会で取り上げられたりするのでしょうか。
キュウレンVSスペスクはBlu-rayを買いました(笑)。宇宙刑事に関連するものは、なるべく買うようにしています。
本編では割と存在感の薄かったハミィが、しっかり目立っていて嬉しかったですね。
圭一郎は寮生活で全く問題ない人ですが、咲也とつかさはそうでもなさそうなので、きっと住んでいる場所が違うのではないかと思います。間取りを違うように見えましたし。
「題名」はハネケン先生〜マエストロ・佐渡裕さんの頃はかなり見てましたが、今は全然見てないです…。
帰る場所のないというのは「快盗」という立場から見た場合、むしろ正しいのではと思ってます。
ジュレはあくまでも「拠点」、トウマとうみかは快盗としての「仕事仲間」であって「家族」や「友人」のようなプライベートを共有する関係ではない。
これこそが本来あるべき「快盗」の姿であると思います。
必要があれば、仲間も自分も平然と犠牲にする行動を取る。「強制帰宅ビーム」にカイリだけ効かなかったのもその延長であって、それ自体は別に問題ないと思います。
カイリにとって問題なのは決してゆらぐことのないはずの「快盗」としてのアイデンティティーを圭一郎だけには揺さぶられてしまっているということなのでしょう。
振り替えればはじめてのダブルレッドの対決から始まって、圭一郎の影響を多く受けてしまってるカイリは「快盗」として本来取るべき行動を取らない部分が多くありました。
6話では奪い返せるはずのコレクションを圭一郎に託す形になり、7話では助け合わないはずのうみかをかばってしまいetcetc….
「圭ちゃん」というあだ名で呼び、距離を縮めてしまったのも今思えば、「快盗」としてはあるまじき行為なのだと思います。
カイリのお兄さんの幻影を撃った時点でお兄さんのコンプレックスは解消されてるはずだと思いますし、強制帰宅ビームに自分だけ効かなかったのも心のなかで割りきることはできていたと思います。
となるとカイリにとって圭一郎は「利用する相手」はもちろん「兄の幻影」をも越えた存在になってるのだと思います。それが「友人」という言葉なのでしょう。唯一圭一郎にだけは自分の弱味を自らさらけ出してしまう、そんな自分への葛藤なのだと思います。
カイリが本当に圭一郎を嫌ったのなら、表向きだけ圭一郎に調子を合わせてしまえばすむことですし、カイリならできるはずです。でもそれをすることができなくなってしまうことが圭一郎に対する気持ちなのでしょう。
カイリが快盗として戻れないところまで進んでしまった以上、「時間が解決する」というのは通用せず、「たとえ相手に嫌われたとしても、無理矢理にでも連れ戻す」という荒療治がカイリにとっての一番なのだと思います。そうなると今回の圭一郎の行動は最適なのではないかなと思います。
そういうことですね。アルセーヌから認められた魁利こそが快盗の真髄であることが明確になったわけです。
兄に対するコンプレックスは、私はまだまだ解消できていないような気がします。幻影を撃ち抜いたのは「克服」ではなく「挑戦」に見えましたし、今回の動揺は圭一郎に対してというより「兄の影」に対する動揺でしたから。
しずれにせよ、仰るとおり圭一郎との距離は縮まりすぎてしまったので、魁利にとってはマズい状況、圭一郎にとっては正しい方向性という感覚になりましたね。なかなか絶妙な匙加減で見応えがありますね。
前回はシリアスと思っていたらギャグで、今回はその反対・・・。ルパパト侮れん。
魁利に強制帰宅ビームが効かなかった理由。自分としては、魁利がそもそも生きて帰ることを考えていない。それだけの覚悟を持っていると解釈しましたが、サブタイトルから考えると、仰るとおり、兄の存在がそれだけ大きいという方が正しいかもしれません。
圭一郎の部屋は、確か寮だとジムさんが言っていたような気がするんですが・・・。だとしたら、家財その他は預かってもらっていたんじゃないでしょうか。一部の家具は備え付けかも。
魁利には嫌われたと思っている圭一郎ですが、嫌いじゃないからこそ、魁利にとっては辛いんですよねぇ・・・。こういうおせっかいな大人というのは、ある意味、昭和レッド的ですよね。迷惑ではありますが、古参からすると実に落ち着くという・・・(苦笑)。
予告がフェイクになっているパターンが多いんですよね。さすがは快盗の名を冠する番組です(笑)。
強制帰宅は理由が明確になっていないので、解釈を色々できるのが悩ましいところですね。確かに「生きて帰る」よりも大事なことが魁利にはあるという理由も納得できます。
007で行方不明になったボンドの部屋を上司が引き払ってしまうくだりがありましたけど、あの時は全部容赦なく処分したと言ってましたね。私は家財道具一式も貸与品だという解釈をとりたいです。
子役ゲストの懐にズカズカ入ってくるのは、昭和ヒーローの定番ですね(笑)。私も安心します。