圭一郎氏のキャラクター性をさらに深める一編。
いや、深まったというよりは「やっぱりそうだよね」と思わせる方向に、より斬り込んだというべきか。とにかく楽しく切ないエピソードになりました。
不器用なヒーローが、女性と巧く接することのできない様子は、頻々と描かれてきた経緯がありますけど、今回はカリカチュアライズされつつも、情感に訴える作劇になっていて、一風変わった雰囲気を存分に味わうことができるようになっていました。
ネロー・キルナー
名前が直截「寝ろ、起きるな」と申しているギャングラーの怪人。名前もさることながら、夢の能力を持つことをビジュアルで主張しているバクモチーフも秀逸です。
このネローに限らず、最近のゲスト怪人はルパンコレクションによって得られた能力よりも、元々持っている特殊能力の方がクローズアップされる傾向が多くあり、従来の怪人と系統があまり変わらないよなー…と思いつつ、ストーリーが進むにつれて、そんなことはどうでも良くなっている自分がいます(笑)。
このネロー、地味だと揶揄されながらもパトレンジャー3人+初美花を夢の世界に陥れることに成功しており、なかなかの手練であることが示されます。初美花がいなければ、警察戦隊は崩壊していたかも知れません(ただし、快盗が倒せばそれで済んだかも)。
不器用な男
これは高倉健さんの名刺代わりともいうべき形容句であり、圭一郎のキャラクター造形に、その時代感覚が引用されているとしても、おかしくはないわけです。
赤来末那というジュレの常連客と音楽の趣味が合致し、頻繁に会話するようになったようですが、常連という語とゲストとしての扱いがやや齟齬を来しており、もう少しそのプロセスについての描写が欲しかったところです。
一方、末那は豪邸に住み、しかも家族の影が全くなく、いきなりオーストリアに留学することが決定しているなど、非常にミステリアスな雰囲気を持っており、私なんかは幽霊譚かと勘違いしてしまうほどの儚さに魅了されたのですが、1話限りのゲストだとすると勿体なさ過ぎますね。
クライマックスの逆転劇では、末那の弾くピアノ(圭一郎の貸したレコードを一瞬で耳コピしている!!)と、初美花の歌うメロディ(こちらも一回聴いただけで覚えている!!)が幻想的に絡み合い、圭一郎の魂に火を灯すという、燃えるシーンを創出。夢の中での平和を満喫する所轄の巡査姿から、瞬時に使命感を燃やす特殊部隊のエリートへと表情を変える素晴らしさは、彼の不器用さの裏返しともとれて実に熱かったですね。
さすがは元アイドル!
まず、夢の中で咲也が初美花の写真集にサインをねだるシーンが。それ、数年前までリアルな(?)光景ですから(笑)。「写真集なんて出してません」という初美花が滑稽に見えるあたり、狙っているとしか思えません。写真集の中身自体は、それまでの撮影におけるショット集のような感じでしたが、結構完成度が高く「さすが」といったところですね。
そして、今回の極め付き。
圭一郎のレコードの一曲目、そして今回のサブタイトルでもある「秘めた想い」をアカペラで歌い始めるシーン。
これは、夢に取り込まれた圭一郎に使命(初美花の中では末那を見送りに行くこと)を思い出させるために取った手段だったわけですが、夢と現実を行き来するシーンの組み立て方が抜群で、個人的に「ゴーグルファイブ」における絵本からの桃園ミキ脱出劇を凌駕した! と思える素晴らしさでした。
とにかく、初美花の歌が巧い。歌い上げ系ではなく、清楚でプレーンな発声法による歌唱なので、少女性をも醸し出しており、制服姿との親和性も抜群でした。さすがです!
しかし、何故初美花だけは夢に溺れることなく正気を保っていたのでしょうか。恐らく、制服姿は彼女にとって大きな後悔を喚起するものであり、瞬間的に目的意識を取り戻しているのではないかと思います。もし、詩穂ちんが夢にいきなり現れていたら危なかったかも知れませんね。
地味にアピールしまくっているつかさ
夢の中では、つかさがぬいぐるみに埋もれていました。初美花にあんまり見せたくなかったであろう姿を見せまくっていましたが…(笑)。
別れは切なく…
夢攻撃で力を半減させられつつも、怒りのパトレンU号でネローを倒した圭一郎たち。巨大戦が開始され、しかもグッドストライカーが警察側についたことで、初美花も空港に見送りに行けないのでは…と心配していましたが、何とか間に合う時間ではあったようです。
ここで、圭一郎は不器用ながらもちゃんと見送りに行くものと思っていたのですが、何と空港には現れず。末那自身もそれは分かっていたようで、あの短時間の間に圭一郎の人となりを充分に理解していたとあって、健気で切ない限り。ホント、勿体ないので再会エピソードが欲しいですね。
圭一郎曰く、「二つのことはできない」とのこと。今はギャングラー殲滅が優先。ということは、快盗逮捕はついでなのか…??。
優れた洞察力!
ネローの毒牙にかかったのがパトレンジャー3人の他にルパンイエローしか居なかったにもかかわらず、夢の中に初美花が現れたことで、圭一郎は疑念を抱きます。疑いが晴れた筈のジュレのメンバーが、やはり快盗なのではないか…と。
番外編的なエピソードに、こういう引っかかりを入れてくるから油断ならないのです。
ルパンコレクション
色こそ違いますが、形はほぼ「マスクマン」のレッドマスクが持つマスキーブレードそのものです。
「末那」という名前、レッドマスクことタケルの恋人であるイアル姫を演じた浅見美那さんに重なります。そして、結ばれないレッドとイアル姫の悲恋…。マスキーブレードをモチーフに持ってきた意味を、何となくですが感じさせます。
次回
グッドストライカー争奪戦! これまで両者の味方を何となく続けて来たところに、ようやく斬り込まれるとあって期待大です。「秘密」ってなんでしょうねぇ??
ネットでの考察ですが、初美花が夢に取り込まれなかったのは、これまでに親友を助け出すという夢を実際に何度も見てきたから今更・・・。というものがあったのですが、そうだとすると、かなり切ないことに・・・。
鈍感で不器用な主人公というのは、それこそラノベ界隈で掃いて捨てるほどいるわけですが、誠実に向き合うのが戦隊ヒーローというか、朝加圭一郎という男ですね。あえて見送りに行かないというのも彼なりの誠実さの表れと自分は解釈しました。
また、そういう圭一郎だからこそ、マヤさんも惹かれたのでしょうし。
工藤遥さんの写真集を探してみようと思ったのは私だけではあるまい。いきなり値段上がってたりして・・・。写真集と言えば、ダイレンジャーのリンが劇中で写真集を出すという話がありましたねぇ。
ネットの考察、深いですね。ちょっと救いのない感もありますが…。
圭一郎のキャラは、既に狙い以上になっているのではないかと思います。転がり始めると制御するのが大変なのも常ですが、圭一郎はレッドキャラとしての基盤がしっかりしている印象なので、大丈夫でしょうね。
リンの写真集の話、懐かしいですね(笑)。ああいった悪ノリ話って、あの辺から激しくなっているように思います。
いやぁ~、圭一郎はカッコいい!
ルパパトは「二人のレッド」が売りの一つでしょうが見始めたころは、柔のルパンレッド、剛のパトレン1号、というイメージを勝手に持ってしまいました。
今の時代、スマートに物事をこなせるほうがカッコいい、と思われがちかもしれませんが、不器用すぎる男もまたカッコいい!!と改めて感じました。
なんか久しぶりに「朴念仁」という言葉がピッタリな男に出会った気がします。
・・・当然「褒め言葉」ですよ。笑
ラストの初美花の存在を再確認するあたり、お間抜けではない所も見せていますし。。。
結果、今回は圭一郎しか褒めてませんね。汗
次回のアルバムで今回の初美花の歌が工藤さん歌唱で収録されるらしいので、購入してじっくり聞こうと思いますw
圭一郎を褒めちぎるのは、この際仕方ないと思います(笑)。あんなに色々な面で格好良さを放出しているキャラクターは、近年では珍しいですよね。
朴念仁と言えば、それこそ元々は銭形警部がそういう造形だったわけで、正にルパンVS警察という題材にピッタリですよ。
アルバムの話は、私もチラッと拝見しました。さすがに最近は音盤を買っていないんですけど、どうしようかな…。
夢の中で制服姿となった初美花ですが、これは誰の趣味なんでしょうか、夢の中なんでスタッフがやりたい放題した結果だったりして(笑)
まあ、多くの方が夢見た事(おいっ)でしょうから、良かったですね~
赤来末那さん役の近藤里沙さんは、オーデションで決められたそうですが、まさにピッタリでしたね。
あと写真集ですが、思わず片付けてあった特撮ヒロインベストセレクションと東映特撮ヒロイン写真集ピンクを出してきて見てしまいました(おいっ)
咲也、サインをもらいたい気持ち分かるぞ(汗)やっぱり特撮ヒロインはいいですね(おいおい)
今回は圭一郎の話がメインで、いい話なんですが、写真集を見てしまったら、いろんなヒロインを思い出してしまい、それどころじゃなくなってしまいました(自爆)
それではまた
初美花の制服姿は、男性ファンの総意でしょう(笑)。ヤンジャンか何かで、つかさとのグラビアがあるらしいですよ!!
近藤里沙さんって、まだ10代だったんですね…。大人っぽい雰囲気だったので、意外でした。やっぱり再登場して欲しいです。
そして、素晴らしい写真集をお持ちだこと! 私は「スーパーヒロイン画報」くらいしか持っておらず…。