スター・ウォーズのビークルモデル第8弾は、これまでのいかにもスペースクラフト然としたラインナップから少し外れた、嬉しいチョイスとなりました。
いわゆる「二足歩行装甲車」とも言えるAT-STがラインナップに加わったことで、ビークルモデルのカバーするエリアが拡がったように思います。「足」の付いた兵器は、他にAT-ATが存在しますが、こちらもビークルモデル版を期待してしまいますね。
エピソード5「帝国の逆襲」や6「ジェダイの帰還」、そしてローグ・ワンにも登場するAT-STは、その「鳥足」が印象深く、やはりこの独特のシルエットを有するメカニックも、スター・ウォーズを代表するものと言えるでしょう。恐らくは、ハリー・ハウゼンの描いた恐竜がイメージソースだろうと思いますが、同様の手法(ストップモーション)で描写されたシーンは、モーションブラーの効果でかつてないリアリティ溢れるものとなり、当時の観客の度肝を抜いたと伝えられています。
スノースピーダーは、エピソード5「帝国の逆襲」に登場。その名の通り雪原上を自在に滑空し、AT-STやAT-ATに戦いを挑んだ反乱同盟軍の戦闘機です。純粋な航空戦力ではないため、ホバークラフトのような少し野暮ったいシルエットがまた魅力。パイロットと砲撃手が背中合わせになって乗り込むスタイルもユニークです。
これらが二機セットになったということは、AT-STは「帝国の逆襲」版ということですね。細部を瞬時に判別できるようなマニアではないので、あくまで推測ですけど(笑)。
キットについて
もはやビークルモデルの精度とディテール密度に関しては、わざわざ言及するまでもないと思います。実に素晴らしい。
合わせ目もほぼ気にすることはないと思いますが、AT-STは「首」にあたる部分を処理しておくと良いでしょう。とは言え、殆ど見えない部分なので気持ちの問題ですけどね(笑)。
それよりも、今回はシールが少々恨めしいのです。
AT-STにはエンブレムが付いているわけですが、シールだとどうしても浮いてしまいます。実物は写真ほどは目立ちませんが、この段差を処理することはまず不可能です。
スノースピーダーの方も、塗り分け部分を補うシールが付属してはいますが、これが一様に使い辛いので、描き文字っぽい部分だけ使用。あとはマスキング自体も困難(とにかく小さい)なので筆塗りせざるを得ませんでした。
塗装について
黒サフ、基本色、つや消しコート、ウォッシングが基本的な流れ。
AT-STの基本色はクレオスのエアクラフトグレー、スノースピーダーの方はライトグレーFS36495を使用しました。
AT-STはつや消しコート後にMr.ウェザリングカラーのマルチブラックをベタベタ塗りたくって拭き取っています。ガイアカラーのクリアブラックで予めシェーディングしておくと、狙い通りの濃淡が出るので良い感じになります。汚し方が足らないような気もしますが、個人的な好みではこのくらいが妥当でした。
スノースピーダーは、塗り分け部を殆ど筆塗りしました。リターダーを混ぜて筆目が出ないようにしましたが、やはりラッカー系だと限界がありますね。この辺はもう妥協するしかないです(笑)。
赤い部分は、エナメルを薄く溶き、スミ入れの要領で塗装しています。砲座や後部フィンは焼鉄色、一段暗いグレーはエアクラフトグレー、もう一段暗いグレーはニュートラルグレーです。窓はタミヤエナメルの黒で筆塗りしています。
各部ショット
スケールは全く違いますが、充実の二機セット。何だか可愛らしい写真ですが、実際にかなり小さいので実物も可愛らしい印象です。
脚部のディテールが凄まじいことになっており、優秀過ぎるミニチュアとして堂々の存在感を誇ります。エンブレム(しかも中途半端に余白を切り取っている)が浮いているんですよね…。
上部のハッチも開きそうな精密さ。リベットなどの極小モールドがより精密感を高めています。各砲塔は、ピンバイスか何かで開口した方が良さそうですね。
リアビュー。厳密には省略されているパーツもあったりするのですが、気になるレベルではないのが凄いところです。廃熱ファンとか溜息もの。
下部。このあたりのモールドも不足なく再現されており、パーツ分割の妙味を味わい尽くせること間違いなし。
「首」はボールジョイントで接続されており、動かすことが可能。残念ながら脚部に可動ギミックはありませんが、基本的にディスプレイモデルなので問題なし。
続いてスノースピーダー。こちらも細密モールドが満足度高し! 塗装は簡単そうですが、塗り分け部分を筆塗りしたので結構大変でした(笑)。
リアビューでは、さらなる細密ディテールを実感できます。ノズルや砲塔、ハッチにエアブレーキ。様々なパーツの実在感が嬉しいですね。
上面。スミ入れはグレーで行いましたが、モールドが深めなためか、結構強い陰影が出ています。好みで「スミ入れしない」という選択もありですね。
下面。雪原スレスレを滑空するためか、シンプルにまとめられています。真ん中のグレー部は無理してでもエアブラシ塗装にすれば良かったな…と。ちょっと汚い仕上がりになってしまいました。
サイドビュー。このスノースピーダーもかなりユニークなシルエットですね。徹底的に直線の組み合わせなのですが、何となく「丸さ」を感じられるあたりのデザイニングは素晴らしいです。
次なるビークルモデルはジェダイ・スターファイターですが、塗り分けが超難物になりそうなので、完成はいつになるやら…。