続いて、MP-10コンボイのビークルモードを紹介。
MP-1は、旧トイのアップデートをする上でバイナルテックの機構を持ち込み、様々なパーツ移動を駆使してトランスフォームをまとめていました。この機構は非常に優秀で、このMP-10もかなりの部分でそれを参考にした形跡があります。
MP-1は現在の目で見ても、ビークルモードの完成度がかなり高いと思いますが、今回のMP-10のビークルモードは、それを更にブラッシュアップし、しかもシンプルに再構成しているので、より完成度が高くなっています。特に、脇腹から背中にかけて畳まれているパーツのロック機構が非常に優秀で、ビークルモードの面一感を高めています。
手順がシンプルになった代わりに、クリアランスがタイトになった部分も見受けられますが、その部分は絶妙な設計になっていて、手順を誤らなければ全く支障のないレベルでまとめられています。逆にそのクリアランスのタイトさが、ビークルモードのまとまりを高めているとも言えます。
MP-1をお持ちの方は、比較してみると色々と発見があります。今回、手順がかなり取捨選択されていて、別途必要な手順が足されている感じになっており、更に旧トイの良い部分も取り入れられていたりして、面白いです。
まずは腕部の変形から。MP-1では手首を引っ込めて収納していましたが、今回は基部ごとパーツをひっくり返すというギミックになっています。
さらに、肘部からビークルモードのステップを展開させます。これ、旧トイの腕部の再現なんですよね。厳密にはビークルモードにおける上下位置が異なりますが、旧トイの下腕部の長さと肘の形状がビークルモードの逆算であるとすれば、それを再現する事でビークルモードの完成度が上がるわけです。
続いて脚部の変形です。
スネ前面のパネルを内側に回転させます。これにより、キャブ時に完全な平面となり、コンテナとの一体感が高まるわけです。これはMP-1になかったギミック。
そのまま膝裏のボタンを押しつつ縮めます。
膝横のタンクを上部に動かし、腰にロックさせます。さらに、足首部分を真ん中に寄せ、ロックします。MP-10唯一の欠点がここで、脚部のロックは容易に外れてしまいます。コンテナを接続すれば、ロック自体あまり意味がなくなるのですが、キャブだけを鑑賞する場合には、この部分が微妙にストレスとなります。
腰から下を180度回転させます。MP-1から導入されたこの機構により、コンボイのロボットモードの解釈は一変したと言っても過言ではないでしょう。
つま先を閉じ、後部タイヤを隠しているパネルを、前面に展開させ、タイヤを露出させます。MP-1にはなかった「タイヤを隠す」というギミックにより、ロボットモードがよりアニメのイメージに接近したものになっているのは、言うまでもありません。つま先の閉じ方は、ただ閉じるだけになり、MP-1と比べ、かなりシンプルになっています。
続いて、上半身の変形に戻ります。胸部パネルを開放。
胸部パネルを開ける事で腹部のロックが外れ、腰部のジョイントアームを動かせるようになります。秀逸な機構により、定位置にカッチリとロックされます。
脇腹を展開するとタイヤハウスになっているという機構は、MP-1を踏襲。しかしながら、よりシンプルな機構に整理され、更にビークルモードの前左右部の基部を兼ねる事で、ビークルモードの一体感を助けています。
タイヤハウスを180度回転させます。
マトリクス収納部の蓋を開けます。
そのまま、マトリクス収納部を下に下ろしていきます。MP-1では、基本機構こそ同一ですが、マトリクス収納部の箱状部品が回転して再収納される等、非常に複雑なギミックが集中していました。今回は、それらがかなり整理されてシンプルになっています。
頭部を基部ごと180度回転させて収納します。この回転、MP-1と逆になっているのが面白い処。レーザーライフルを収納したままの変形が意識されています。
胸部パネルを閉じると、旧トイの雰囲気へと一気に近づきます。
続いて、旧トイ、MP-1と同様に、腕部を収納していきます。ここのクリアランスが結構タイトなので、動く方向を意識しながら変形させていきます。少々強引でも破損する事はありませんが。
クリアランスがタイト故に、ロック前は意外に隙間が出来たりします。このMP-10が凄いのは、背中に折りたたまれていたロック用部品。左右に展開しているロック用部品を閉じると…。
このようになります。更に、ライトやバンパーのサイドをたたむと…。
このように、カッチリとロックされます。ミラーを展開し、エグゾーストパイプを押し下げて完成です。
何と今回、ビークルモードにスパイクを搭乗させる事ができます。搭乗時はちょっと違和感がありますが…。
前部パネルを閉じると、良い感じにスパイクが見えます。ダイアクロン世代にとって、これは嬉しい(笑)!
コンテナ単体は、このように支柱を下ろす事で自立が可能。なお、コンテナをコンバットデッキに展開させる際、下部中央のアウトリガーが自動的に展開し、コンバットデッキの甲板を支えるようになっています。これはT.H.S.版のギミックを導入したものですね。←訂正。アウトリガーを手動で展開すると、自動で接地に適した長さに延展します。
コンテナを接続して、ビークルモード完成。旧トイでは、コンテナがもっと長いイメージこそありますが、このMP-10のキャブとコンテナのバランスも丁度いい感じです。
歴代コンボイ・トイのコンテナには、司令塔のアームを逃がす為の穴がありますが、今回は蓋が開閉するようになっており、よりビークルモードの完成度を上げています。
左右の蓋はこのように内側に折りたためます。ただし、かなり固いので注意。
司令塔のアームがこの穴に来るよう、調整し、コンテナを閉じます。
ヘッドクォーターモード完成。ダイアクロン時代のプレイバリューの一端が、連綿と継承されています。本編には登場しないギミックなのに、何気に有名なんですよね。
コンテナのリアビュー。実車ディテールが適度に配置され、かなりリアルな雰囲気です。
勿論、後部の展開が可能。MP-1とは異なり、スロープを引き出す機構になっており、この辺りにもT.H.S.版のギミック踏襲が見られます。コンテナに関しては、かなりの部分でT.H.S.版が意識されているのではないでしょうか。
ローラー発進!
ローラー自体は、実に手堅い作り。T.H.S.版のようなタイヤの連動ギミック等はありませんが、存在感は抜群です。
後部のパネルの一部を展開させると、ジョイントが現れます。
ジョイントにレーザーライフルを接続可能。勿論、スパイクも搭乗可能です。
さらに、後部を展開。
収納されている大型のジョイントを回転させます。
すると、コンテナ牽引モードに。
このように、コンテナを牽引させる事が可能。これは、ダイアクロン時代にもなかった新しいプレイバリューです。当初はドラッグを牽引車として付属させる案もあったようですが、私はローラーで正解だったと思いますよ。確かに、ドラッグが牽引するシーンを再現してみたい気もしますけどね。
というわけで、MP-10コンボイを紹介いたしました。
総じて、今回のMP-10は、非常に遊びやすく、思わず何度もガシガシと動かしたくなります。思うに、MPグリムロックあたりからこの傾向はあるようで、実写映画シリーズのフィードバックは確実にあると思います。本来は、MPロディマスコンボイも例外ではなく、設計思想的には、ガシガシ動かして遊ぶ仕様でしょう。
マスターピースシリーズは、ギミックてんこ盛りによって、トランスフォーマー上級者を購入者として選ぶアイテムでしたが、ここに来て、やや敷居を下げてきたような気がします。ただし、単価は上昇傾向ですが…。
いずれにせよ、今後は統一サイズ展開が視野にあるようなので、再び期待出来るシリーズになりそうです。ウルトラマグナス発売もかなり濃厚ですし、メガトロンのVer.2にも期待したい処。そして、ガルバトロンも!