密かに人間界に来ていたジューマン・ラリーが登場。若いセラ達とは異なり、悩める壮年男性の雰囲気を醸し出すゴリラ型ジューマンに、多くの視聴者が感情移入してしまった事でしょう。
ラリーに対しては、当然ながら大和がメインで関わっていきます。その微妙な関係性を巧みに描き出す語り口には、痺れる事必至。しかも、ラリーの件はデスガリアンの件とは並行して進行しており、クライマックスで急激に交差し一気にカタルシスを生み出す構成には、唸らざるを得ません。
ガブリオ
今回のメイン怪人なのですが、冒頭で巨大戦を展開しておいて早々に一時退場するという、何とも哀れな役回り。ジュウオウジャーにもアザルドにも見つかることなく、その存在感の薄さを逆にアピールしていました。とりあえず、次回にも登場するようですが。
冒頭の巨大戦は、空中戦にて幕開け。これまでの巨大戦で感心するのは、ジュウオウキングに合体出来るキューブが三体であったとしても、ちゃんと五体が総登場して、余った二体がサポートに回る事です。今回の場合、キューブエレファントとキューブタイガーが縦横無尽に動き回り、ガブリオの編隊を次々と撃破する爽快感が素晴らしい。特にキューブエレファントの重量感をアピールする戦い振りには思わず目を見張りました。
巨大戦を冒頭に置いたのは、クライマックスのバトルにジュウオウゴリラの活躍を置こうという意図があったようですね。
ラリー
キーパーソンとなるジューマン。人間学者という肩書を有します。
半ば事故として人間界に訪れたセラ達とは異なり、人間を研究する為に自ら人間界へとやって来たラリー。結局は王者の資格が無くなってしまうという「事故」によって帰れなくなるのはセラ達と同様ですが、様々な点で相違があります。
最も大きな相違点は、出会った人間でしょう。セラ達は大和という特殊な人間に出会ったわけですが...。
ラリーは、人間学者ではありましたが、残念ながら日本の排他的な風土にまでは勉強が及ばなかったようです。ラリーの言葉にまじるスペインのようなラテン系の国に行けば、あるいは...(笑)。
というわけで、ラリーの過ちは、ジューマン態をさらけ出して衆人環視の中に飛び込んでしまった事でしょう。そのシーンには、正に「鬼」、「異人」、「マレビト」への恐れを体現する市井の人々の姿がありました。ここで視聴者は既にラリーに感情移入しているので、つい受け入れない人々へ批判の目を向けてしまうわけですが、冷静に考えれば至極正常な反応だと思います。それは、思わず発砲してしまった警官にしてもそうです。
不幸にも、ラリーはその「出会い」によって心を閉ざす事になってしまいました。大和に出会い、すったもんだのコミカルなやり取りを経るまでは。
一方、ジューマン同士ならば非常に社交的で明るい一面を見せるので、元々の性格はすこぶる陽性である事が分かります。それだけに、人間界での最初の「遭遇」が彼にとっていかに悪いインパクトを与えたのか、想像に難くありません。
さて、ラリーの造形面についてですが、本当に生きているかのような素晴らしいマスクですね。海外作品である「猿の惑星」は言わずもがな、本邦にも「宇宙猿人ゴリ」、「猿の軍団」といった作品群があり、また戦隊でも「ゲキレンジャー」にゴリー・イェンなるキャラクターが登場する等、「猿」の需要は定期的に盛り上がります。ラリーの造形は、それらの系譜の中でも最高レベルの完成度だと思います。
声はベテラン・石塚運昇さん。抑制の効いたセリフ回しと、テンションの高いシーンの使い分けが素晴らしく、ラリーの二面性を巧みに表現されていました。
大和
今回最も感心したのは、大和とラリーの関係が、アザルドに対抗する為のものでは「一切なかった」という事です。
戦隊の、ひいては特撮TVドラマの定石として、強力な敵が現れて敗北を喫し、その対抗策を探る内にキーパーソンに出会うというものがありますが、今回はキーパーソンとの出会いと関係構築が最初にあり、結果として強力な敵と偶然出会って打ち破るという流れになっていて、非常に新鮮に映りました。
そもそも大和は、ラリーの人間に対する恐怖をとにかく取り除いてやりたいという思いだけが先行しており、それはセラ達ジューマンが人間界で何とか生活していけるように世話を焼く態度と全く同じ。つまり、そこに敵の存在は全く介在していません。
結果的に大和はアザルドによって瀕死の状態となり、大和の寄り添いに少しだけ心を氷解させたラリーは、そのジューマンパワーを与える事で大和を復活させました。そして、大和はラリーのゴリラパワーを宿し、ジュウオウゴリラへと変化する事になります。繰り返しになりますが、ラリーが与えたのは戦う力ではなく、寄り添ってくれた大和の命を救う為の癒やしでした。アザルドの打倒は、ただの結果なのです。
ジュウオウゴリラ!
鮮烈なるジャングルの王者登場!
ジュウオウイーグルのマスクを上にスライドさせてジュウオウゴリラになるギミックは、全く予備知識がなかったのでかなり驚きました。一方で上半身だけ異様にマッチョになるのは、ちょっとユーモラス。スーツ自体の体型を変化させるのは、戦隊ではタブーに近いものだったので、こちらも驚きました。「ダイナマン」のダイナパンチ直前の力こぶくらいしか、前例がないのでは?
アザルドは、幹部級なのにジュウオウゴリラの猛攻(正に猛攻)に手も足も出ぬまま爆砕してしまい、こちらも衝撃でした。まあ、公式サイトにはまだ登場怪人に名を連ねていないので、レギュラーの座を降りたわけではないでしょう。
次回
このジュウオウゴリラの活躍の裏で、ラリーは人知れず姿を消しています。予告では老いたラリーらしき人物が映っていましたが...。
1クール目半ばで既に怒濤の展開を見せる「ジュウオウジャー」、片時も目を離せません。
おまけ
ミニプラ・ジュウオウキングを製作中。キューブイーグルだけ完成しました。
quake
スーツの体型が変わると言えば、マジレンジャーのマッスルグリーンもその内ですか。
それにしても、ラリーからジュウマンパワーをもらう時の声だけを聞いていたら、
「十万パワーも貰えば、さぞ強くなる事だろう」と納得してしまいました。
優人
ラリー役の声優である石塚さんですが、スーパー戦隊では見ない珍しい人だなと思っていたら、フラッシュマンのラー・デウスの声もやられていたのですね。今回はその時とはちがい、とても明るい役どころでした。そしてジュウオウゴリラは、どうしてもマジグリーンを連想してしまいすね・・・。
ブログの最後にミニプラの写真がありましたが、今年の夏にスーパーミニプラという新しいブランドができるそうです。第一弾は、戦闘メカザブングル。私はザブングルのアニメを見たことないのでよく知らないのですが、今までのブログを見てると、管理人さんは非常に好きそうなもののように思えました。第2弾はイデ○ンとの噂が・・・。
http://www.bandai.co.jp/candy/products/2016/4549660008965000.html
天地人
ア~アァ~ッという事で、今回はジャングルの王者ターちゃん(違)じゃなくて、ラリー編でしたね。
いきなりパワーアップ物をやるとは思ってもいませんでしたが、ムキムキスーツのインパクトはいろんな意味で衝撃的でした。
アザルドは、やけにあっさりした最後だったので、間違いなく復活するでしょうね。
それではまた
SirMilesからquakeさんへの返信
ああ…忘れてました。マジグリーン。
ありがとうございます。
SirMilesから優人さんへの返信
今シーズンでは、ラー・デウスとサー・カウラーが共演している事になりますね。
スーパーミニプラは、勿論予約済みです!
SirMilesから天地人さんへの返信
私もターちゃんしか連想出来ませんでした(笑)。
竜門 剛
いきなりしゃべるゴリラが現れたら、誰でも驚きますよね・・・。タスクが、自分たちも大和を警戒したと言っていたことが、妙に説得力がありました。
マスクを変形させるギミックは、私もびっくりしましたが、演出も相まって実にカッコいいシーンでした。あれは再現できるフィギュアを出しましょう、Bンダイさん!
ジャングルの王者と言えば、我々の世代では、やっぱりターちゃん。サブタイトルがパロディでは?という予想は、どうやら早々に外れたようですが、もし当たっていたとしたら、何故か集英社押しなネタばっかりですね。
SirMilesから竜門 剛さんへの返信
集英社押し…確かにそうですね(笑)。それにしても、言動にリアリティを感じさせるような細かいセリフ回しが秀逸ですよね。