第47話「最後のゲーム」

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 今度こそ本当に最終編!

 ジニス自らが仕掛ける「最後のゲーム」、大和が遂に果たす父との和解、ジューマンたちに迫られる選択...。

 すべての要素がガッチリとまとまり、あとは最終話を迎えるのみといった局面でバシッと終わるという、最終編前編のお手本のようなエピソードでした。

 相変わらずデスガリアン勢の扱いの軽さは凄まじいものがありますが、何もかもがジニス次第という収束の仕方は、これはこれでありだと思いました。

最後のゲーム

 その名の通り弓矢の形状をしたサジタリアーク。なんと、そんなサジタリアークが、ケーブルの付いた矢を地球に放つという、面白いビジュアルを披露してくれました。大地に突き刺さったその矢には、ケーブルを通じてジニスの細胞を注ぎ込むという機能があり、注がれたジニス細胞は地球を徐々に破壊していくのです。これ自体が、本当にジニスの仕掛けた最後のゲームかどうかはまだ断定できませんが、いずれにせよ、ジニス本人が乗り出したブラッドゲームであることには違いないわけです。

 一方で、その矢とケーブル自体は非常に堅牢でありながらも、ジュウオウジャーの力を侮ることなく防衛線を張っているのが面白いところ。ナリアに命じて量産型ギフトを配備し、ジュウオウジャーの足止めを図っています。

 「量産型」とされてはいるものの、さすがに最終編ともなると、ジュウオウジャーもギフトを次々と難なく破壊していきます。以前のギフト戦を知っていれば、その見事な成長振りが感じられるようになっています。物量には苦戦していましたが、「現場」に辿り着けないという焦燥感のみが強調されており、ギフトの戦力に対する危機感は露ほども感じられないのがとても良いですね。

 大和の合流後は、ナリア率いるギフトの一団と対峙することになりますが、なんと大和たちはナリアをスルーして巨大戦に移行! サジタリアークの矢を直接攻略しようと奮闘し始めます。ここで凄いのは、自ら巨大化してジュウオウジャーを阻止しようとするナリアを、トリッキーな戦法で瞬時に倒してしまうことです。もはやジュウオウジャーの勢いは止まらないといった雰囲気だけを重視し、幹部キャラのナリアですら軽くあしらう! さすがに驚きました。公式サイト等を拝見する限り、まだ退場ではなかったようですが、何となく妙な感情を残していたレオまでが「容赦しない」と切捨ててしまうあたり、本当に潔いと思います。

大和と景幸

 今回のメイントピックは二つあり、その一つが大和のドラマです。

 シリーズ当初より、父との関係の悪さを匂わせてきた大和。最終クールでは、いよいよその父親本人が登場し、二人の間に何があり、どう関係がこじれてしまったのか明らかになりました。前回では、バドの命を救ったことにより、妻の臨終の場に居合わせることができなかったという、オーソドックスながら実に悲壮な過去が振り返られ、事実を知った大和に混乱とやるせなさを残しました。

 今回は、母の墓参りに親子が偶然居合わせるというシーンを設えて、二人の関係に決着を付けています。

 まず大和は、自分の身を案じてくれる景幸に反発。景幸の持つ手向け花を叩き落とすという、彼のトータルイメージからはやや遠い行為が、場面の緊張感を高めます。非常に子供っぽい行動ではありますが、大和の中を流れる景幸との時間は、母の死に際から止まったままなのではないでしょうか。それを感じさせるに充分なシーンだったと思います。

 そして、親の立場からするとギクリとさせてくれるやり取りが繰り広げられます。景幸は、言葉は少なくとも、夫婦は充分分かり合えていたと主張。しかし大和は、幼い自分には言葉でしか伝わらなかったのだと反論します。...ああ、これは本当にその通りだな、と。父に理解が及ばなかった大和は、いくら母が父の立場を説明しようとしても、既に聞く耳を持てなかったのでしょう。やはり、本人の言葉の説得力に勝るものはないということです。そのテーゼは、最愛の母が最期に言い聞かせた「大和は一人ではない」という言葉の意味を、大和自身が理解できていなかった...というプロットに強く表れていました。

 やっと本音を言った大和。そんな大和の本音を聞いて、ようやく自分の非に気付いて詫びる景幸。頑固な似た者同士と笑う母の魂。ここに、やっと家族が一つになり、帰れる家が成立しました。実に感慨深い「解決」を見せてくれましたね。しかも、このスタティックな一連のシーンが、一方のダイナミックなバトルと同時進行していたというコントラストの素晴らしさ。一流のストーリーテリングを見ました。

ラリーの秘策

 ジューマンパワーの限界を迎え、ジュウオウバードとして戦うこと自体が自殺行為となってしまったバド。そんなバドをラリーは制止します。ラリーには、リンクキューブを用いて地球を安全な空間に隔離してしまうという奇策があり、バドに協力を要請。セラ、レオ、タスク、アム、ラリーの五人をジューランドに帰還させ、リンクキューブを発動させたあと、人間界に残ったバドが大和、操と共に事後処理を行うという筋書きでした。しかし、そうなればジューランドと人間界の繋がりは永久に絶たれてしまうというのです。

 まさかの断絶による終結か!? と、その意外な展開に息を飲みましたが、そこに感動を求めなかったのが、シリーズの強固なる精神!

 ジューランドに帰りたい思いも否定できないセラたちですが、勿論、この状況をこのまま放って帰ってしまうことにも納得できません。ここで迷っている彼らの姿にリアリティがあります。

 しかし、ここで大和が合流。帰れる家を取り戻した大和は、セラたちを「家に帰す」のではなく、「いつでも帰れる家を守る」ことを主張し、あくまで「繋がりは絶たない」方法を選択します。アムが大和と景幸の関係修復を願って背中を押し、それが巡り巡ってジューマンたちにも「いつでも帰れる家」をもたらす。この構造は、そのまま景幸とバド、そして大和の繋がりと対比されうるものです。繋がりを否定したらそこで終わりだ、などといったネガティヴなテーゼこそ示されませんが、それに近い主張は存分に横溢しており、その切迫感が直後の怒濤のテンションを生んでました。

サジタリアーク攻略!

 巨大戦への移行については既に記しましたが、サジタリアークの矢とケーブルの堅牢さは如何ともし難く、打撃などの直接攻撃で破壊するのは無理。ここで奇跡が起こってそれを破壊する力が発揮される...といった安易な展開をよしとしないことに、まずは賛辞を送りたいです。正に「押してダメなら引いてみな」。破壊できなければ、引っ張って引きずり下ろせという素晴らしい思考。最終合体の超巨大ロボが、懸命に全身を揺らしてケーブルを引っ張る姿に燃えると共に、視聴する我々の手にも自然に力がこもります。この劇中とのシンクロ振りには驚くこと必至!

 そして、サジタリアークが揺さぶられると、初めて狼狽するジニスのカットがインサートされ、ジニスにとって尋常ではない事態になってきたことが表現されるあたり、巧いです。そして、サジタリアークが山中に引きずり落とされて破壊され、歓喜に沸くセラたちの描写を経て、やや冷静に状況を見つめていた大和が見たものは...生きていたジニス!

 ここでもやはりジニス様は余裕をかましており、最強の存在たるポジションを保っています。直前のうろたえ方とのギャップがなんともはや(笑)。まあ、そこは仕方ないですかね...。

 アザルド戦に勝るとも劣らない大爆破シーンを最後に、最終話へと繋いで今回は終了。

最終回!!

 遂に次回は「ジュウオウジャー」最終回。

 次回予告では、真理夫の祈りのカットが印象深く映りました。土壇場でも終着点がどう描かれるのか読めないのは嬉しいですよね。戦隊は通例、最終回後にさらなる展開が用意されますけど、テレビシリーズでの区切りは未だ特別なものです。サブタイトルもまさかのエンディングからの引用で、テーマ性の提示も完璧だと感じました。待ちきれないですね!