第31話「巨獣立つとき」

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 ゴーカイジャーのお祭り編を含めた四話連続のキューブホエール登場編、今回で一応の完結となります。ドデカイオー登場というクライマックスに向け、一気呵成に突き進むアクションとドラマのつるべ打ちが満足な読後感を残します。

 前回は、セラの足を操が引っ張りまくるという構図がコミカルに描かれましたが、今回はそのコンビに少しばかり発展が見られて嬉しいところ。ドデカイオーの強烈な力も鮮烈そのもので、お手本のようなパワーアップ回に仕上がっていたのではないかと思います。

大和

 今回はキューブホエールとの意思疎通がテーマなので、ドラマの中心に居るのは勿論大和なのですが、何となく前回に続いてセラと操の登場シーンの方が多いので、大和に関しては非常にオーソドックスと言うか、実に真っ直ぐな感じに描かれています。

 徹頭徹尾、キューブホエールをバングレイやデスガリアンの手から守り抜くというのが大和のテーマであり、「キューブホエールを守れなくて、この星が守れるか」という気合いの言葉が、彼のポリシーのすべてを物語っています。そして、そのポリシーはそのままケタスの姿に重なり、キューブホエールのシンパシーを呼び醒ますことに繋がります。このあたりのテンポ良い繋がり方が実に良いですね。なかなか仲間になってくれないと悩むのではなく、一つの生命としてキューブホエールを守るという選択が実に大和らしく、常に直線的なので、見ている側としても安定したムードに浸れます。

セラと操

 冒頭のこの二人は、前回冒された毒によって身動きが取れないという設定。多少の怪我はあっても、病に伏せるという描写がごく少ない今シーズンだけに、今回の二人の状態はなかなかの衝撃を伴っていました。

 ここでタスクの思わぬ特技が登場。毒消しを調合し、セラと操に与えるという活躍を見せます。嗅覚に優れるタスクが、誰もが臭いという反応を示す薬を調合するという苦難。調合そのもののシーンこそ描かれてませんが、タスクの思いが伝わる良いシーンでしたね。

 回復するまでのゆっくりとした時間の中で、セラと操は少々の語らいを。ここでセラは、操の空回り気味ながらもがむしゃらな面に関して、「嫌いじゃない」と言います。これには操も実に嬉しそうに反応し、二人の距離が一気に縮まったように見えました。セラも強くなりたいという思いを常に抱いて努力を続けており、皆の役に立ちたいと常に考えている操とは相通ずるものがあったようです。少しだけ大人なやり取りがあると、俄然ドラマに厚みが増してきますよね。初期戦隊に顕著だった「粋な会話」がたまに復活すると嬉しくなります。この会話の充実振りからすると、セラと操が今回のメインなのかも知れませんね。

 そして前回は、空回りが常に悪い方へと出てしまいましたが、今回はセラとの距離が少し縮まったことで、やや冷静さを備えたように見える操。セラの的確なリード(!)もあってか、コンビネーションは抜群の効果を発揮していました。正にいいコンビ。これからの発展に期待できるかも!?

ギフトカスタム

 今回は、キューブホエールを奪取すべく、ジニスがギフトカスタムを繰り出すという展開になりました。ギフト自体、その強力無比な破壊力と戦闘力で強烈な印象を残しているわけで、その強化版の登場ということになると、その切迫感はなかなかのものとなりました。実際、経験もパワーアップも重ねているはずの巨大戦でジュウオウジャーが劣勢になっている姿を見せられると、ギフトシリーズがいかに優れた兵器であるかが分かります。

 ただ、ジニスの意図としては、ギフトカスタムによるキューブホエールの拿捕自体は必須ではなかったと見え、データの収集さえできれば良かったらしく、やや緊張感には欠けるきらいも。私がジニスの言動にあまり魅力を感じないのはこのあたりが原因で、いつも先回りをしているような余裕を見せてはいますが、その前段が(そして後段も)いつも失敗しているので、何となく強がりを言っているか、あるいは何も考えてないような印象になるんですよね。井上和彦さんの声は物凄く格好良いんですが...。

ドデカイオー

 大和にケタスの思いが重なることで(ケタスの魂が大和に宿ったわけではないのが重要なポイント)、始祖の神たるキューブホエールが「神の槍」を与える...そんな風に見えたカイオースピアの授受。ここには、個々の繋がりから生命の在り方を問う「ジュウオウジャー」において、繋がりがもたらした奇跡とも換言し得る神秘性が内包されています。「神の槍」だけにバングレイへの攻撃は容赦なく、その爽快感たるや凄まじいものがありましたね。

 さらに、カイオースピアが文字通り「鍵」となり、キューブホエールを起動させ、さらにドデカイオーへの単体変形に至る流れは、奇跡のつるべ打ちという感覚で描かれ、神々しさすら漂っていました。ギフトカスタムが手も足も出ず破壊される様子には言いようのないカタルシスがありました。

次回

 大がかりなパワーアップ編も一段落し、ややコメディ寄りの予告編にホッとするのも確か(笑)。各々の内面を抉るような内容っぽいので、色々と過激な演出を期待してしまいますね。