第30話「伝説の巨獣」

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 諸事情で一週遅れてしまいました。第31話も視聴した後なので、ドデカイオー登場編を二編視聴した前提の記事になります。

 派手な印象のゴーカイジャー編の後を受けての展開だけに、難しさもあったと思いますが、コミカルな部分を織り交ぜながらもキューブホエールを巡る攻防戦を激しいタッチで描くことにより、その勢いを維持していました。目を見張る印象的な特撮カットや、セラと操のコンビネーションの悪さ(!)など、見所は満載です。

キューブホエール

 今回のメイントピックは何と言ってもキューブホエール。大王者の資格を持つこと自体が、キューブホエールを召喚する資格を持つことにはならない...というテーゼが見事で、次回までこれがメインテーマとして貫かれます。

 この辺りのテーマ性は、ファンタジー系の戦隊ではよく見られるもので、新ガジェットの入手にハードルを設ける常套句となっています。常套句だけに、それぞれが工夫を凝らして見せ方に変化を付けているわけで、今回も当然ながら随所に工夫が見られます。

 その工夫の際たるものとしてあげられるのは、キューブホエールの神秘性でしょう。単に「ヘソを曲げている」というような矮小な設定に堕さず、ジュウオウジャーがその大いなる意志を図りかねているといった印象でまとめられています。大和の変身したジュウオウホエールに呼応するように出現したかと思いきや、自分に関わるすべての者たちを排除するような行動をとったり、海を汚す毒を一気に浄化したりと、その「神」の如き振る舞いが非常に高尚な印象です。

 それ故に、巨大戦に乱入して敵味方関係なく攻撃するような行動を見せても、「大海原の化身」たる風格で納得させられることになります。

 キューブホエールの登場カットは、ほぼCGによる処理となっていましたが、海中に現れた際の巨大感は、フレームに収まらないという演出で存分に表現されていました。海上に出現して潮を吹くというカットは、ロングで捉えて遠景に収め、巨大な体躯を強調。空を飛翔するカットでは、見上げるジュウオウホエールの上を巨大な物体が飛んでいくという、かつてのスケール無視なデンジタイガーやジャガーバルカンばりのカットが素晴らしいものとなっていました。

大和

 今回の大和は、大王者の資格を持つ者でありながらキューブホエールと意思疎通ができず、もどかしさを覚える役どころです。それでも、バングレイやデスガリアンから懸命にキューブホエールを守ろうとする姿勢を崩さないあたりは、やはり大和ならでは。ここでは、「キューブホエールの力を必要としている」のではなく、あくまで「キューブホエールを保護する」という構図になっており、このあたりもちょっとした新鮮味になっていると思います。

セラと操

 一方で、セラと操は積極的にキューブホエールと意思疎通を図ろうとします。

 セラとしては、海洋生物の親近感といったものがあるのかも知れませんね。ちょっと張り切っている感じが可愛らしく、操の面倒臭い頑張り方とは良い対比になっています。

 操は皆の役に立ちたいという思いが暴走。まずは全身をダイビング姿で包み、大張り切りして一同を引かせまくります。すぐに戦闘に突入してしまったため、彼の華麗なダイビング姿を拝むことはできませんでしたが、その出で立ちは今回のコミカルなビジュアル群における白眉とも言えるでしょう。

 その後の操は、セラの足を引っ張りまくるという活躍(?)を見せます。まずは、操の釣り糸がキューブホエールでもバングレイでもなく、セラをつり上げてしまい大顰蹙(笑)。つり上げられたセラがピチピチと痙攣しているという、何ともシュールなシーンも素晴らしいです。そして、キューブシャークでの捜索に出たセラに、キューブクロコダイルで同行するというのが次なる操の行動ですが、こちらも良いところを見せられずじまい。結局はセラに助けられるという失態を演ずることとなります。この後、海岸にたどり着くシーンでは、毒に当てられたセラのメイクがなかなか痛々しくて素晴らしい効果を上げています。初回から水濡れのシーンが多いセラですが、ここではその不健康なメイクも相俟って独特の色気が出ていたように思いました。

 今回の操の行動は、やや動機が分かり難い感じもあり、少々唐突な感すら漂っていますが、もしかするとセラのことが気になっているのでは...という感覚も少し盛り込まれているようで、ちょっと面白いことになってきましたね。ただ、「ジュウオウジャー」の展開上、あまり期待しない方が良い気もしていますが...。

バングレイとクバル

 数話ぶりにクバルが登場。ジニス打倒の協力をバングレイに申し入れられ、代わりにキューブホエール捕獲に助力するという展開になっています。デスガリアンの中では知将の雰囲気を備えるクバルですが、こうしてバングレイに弱みを握られている様子を見ると、歴戦の巨獣ハンターたるバングレイの手練振りが分かりますね。再生怪人を連発するバングレイ自体の印象はそれほど良くないのですが、クバルを手玉に取るあたりは格好良いです。

 クバルは海中に毒を撒いてキューブホエールを炙り出すという非常に汚い作戦を実行し、その為に大和の怒りを買うこととなります。バングレイはともかくとして、生命に価値を全く見出さないクバルの姿勢(恐らく毒の発案は彼)は空恐ろしく、ここに来てキャラクターの掘り下げが行われた感がありますね。

真理夫

 今回は潮髭海岸での巨大クジラ目撃事件を大和たちに伝えるという、重要な役回りを担いました。相変わらずタイムリーなコスプレで登場するあたり、コミカルさの中に予言者っぽい神秘性が感じられますよね。キューブホエールの神秘性と巧くシンクロしていて、素晴らしい存在感がありました。

それでは

 次回に続きます。