第28話「帰ってきた宇宙海賊」

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 「スーパー戦隊シリーズ通算1999回記念」!

 昨年度は忍者繋がりでカクレンジャーやハリケンジャー、そして驚きのジライヤといったゲストで賑わいましたが、今年度はスーパー戦隊シリーズ1999回~2000回の記念すべき時を迎えるとあって、やはり「こいつらしかいない!」ということで、ゴーカイジャーの再来というお祭り編を観られる機会に恵まれました。

 単なる豪華先輩ゲストサービス編かと思いきや、なんと「ジュウオウジャー」本編の重大なトピックに関わってくるという、予想外の展開が待っていました。

海賊戦隊ゴーカイジャー

 数ある戦隊シリーズの中にあって、最も「正義」という大義名分から遠いポリシーを掲げている戦隊。そして、歴代戦隊への二段変身が可能であるという、反則技を持つ戦隊。「ゴーカイジャー」のストーリー面での特徴としては、作品同士の繋がりが殆どない戦隊作品群を、一つの世界観にまとめてしまったということが言えると思います。

 長年の戦隊ファンからすると、二週に一回くらい先輩ゲストが出てくるという、感涙モノのシリーズでもありました。さすがに開始当初は賛否両論あったようですが、各戦隊のオリジナリティを最大限リスペクトする作風が広く受け入れられ、今ではスーパー戦隊を象徴するシリーズの一つとして認知されています。何度も言及していますが、私個人が「生きてて良かった」と思うシーンのいくつかは、この「ゴーカイジャー」の中にあります(笑)。

 今回はゴーカイレッドことキャプテン・マーベラスと、ゴーカイシルバーこと伊狩鎧のみがキャストとしてクレジット(他のメンバーは声の出演扱い)されましたが、ある意味この二人こそが「ゴーカイジャー」のアイコン(宇宙海賊代表と戦隊マニアの地球人代表)とも言え、最小限の出演で「宇宙海賊の帰還」を印象付ける辺り、見事というほかありません。

 勿論、クライマックスにおける両戦隊の激突では、ゴーカイシルバーを除く五人全員が登場。ヒーロー同士が「誤解から衝突してしまう」というパターンは扱いによっては陳腐になってしまう恐れがありますが、ゴーカイジャーの場合はそもそも目的意識が全く異なる戦隊ですから、このようなバトルを自然に描けるという利点がありますね。

 そのバトルでは、それぞれが豪快チェンジを駆使して立ち回るのは勿論のこと、武器の交換やハカセのちょっと情けないトリッキーに戦い方など、ちゃんとオリジナルを尊重していました。また、登場時のBGMがゴーカイジャーのメインテーマになっていたのも鳥肌モノでしたね。

 マーベラスの豪快チェンジは、動物モチーフのレッドに統一し、それぞれの特徴的なアクションを披露。他の四人は、「ゴーバスターズ」以降の戦隊ヒーローへの豪快チェンジを披露するという、巧い構成。最後の最後、マーベラスはレッドホークにチェンジし、大和と空中戦を繰り広げるといった具合に、「見たい」シーンを的確に映像化するセンスが素晴らし過ぎます。

 ちなみに、ゴーカイイエローの市道真央さんは近年声優業が多忙。当時よりもルカの声がちょっと声が可愛くなっていた(地声に近くなった)のは微笑ましかったです。当時はかなりルカの声を「作っていた」らしいですからね。

バングレイ

 今回も、やはり怪人リサイクルしまくりな回なのですが、ようやく「巨獣ハンター」として地球にやって来た彼の目的が明らかになりました。

 彼の目的はズバリ、キューブホエール。バングレイは新ガジェットに絡んでくるキャラクターだったわけです。新幹部として登場したにしては、デスガリアンとの関わりが薄すぎるし、そもそもここのところデスガリアン自体の出番が少ない。さらに大和に興味を持って酷い目に遭わせようとするなど、一体何がしたいのか分かり難いキャラクター(ともすれば単なる再生怪人製造機...)になっていましたが、ここまで引っ張る正当な理由があったわけですね。理由というのは勿論、今回と次回の豪華ゲスト編にタイミングを合わせることです!

 バングレイが絡むことで、マーベラスが「お宝」を奪取するような行動をとっても、あまり「悪役」に見えない効果を生んでいます。戦隊同士が一対一で一つのものを奪い合う構図だと、やや殺伐としてしまいますからね。やっとバングレイの意義が見えてきた気がします。

大王者の資格

 これ、音で聴くと「ダイオージャの資格」に聞こえて困りました(笑)。「クローーース・トライアーーーーングル!」という古川登志夫さんの叫び声が聞こえてきそうで...。

 冗談はさておき、リンクキューブの中に隠されていたという、まさかの「灯台下暗し」状態で眠っていた大王者の資格。ケタスなる始まりのジュウオウジャーが地球のパワーを得る際に具体化したもので、この大王者の資格をコアとしてリンクキューブを作り、六面に王者の資格をセットする「鍵穴」を設えたという設定です。このケタスの声はチョーさんが担当しており、すべてのガジェットの音声は開発者たるケタスの音声だったことが分かります。チョーさんが声を当てているとあってか、ケタスのメッセージを伝える立体映像は、威厳がありつつもコミカルなくすぐりが挿入されていて非常に楽しかったですね。

 ケタスの語るジューランドの歴史は、博学なタスクでさえ知らないものでした。歴史が伝わっていないということ自体が仕掛けになっている可能性もありますよね。また、太古にケタスが戦った凶悪な怪物は、子細に画面を確認するとキューブホエールが空の彼方に突き飛ばしたように見えたので、また舞い戻って山場を作る可能性も考えられます。

 色々な謎や伏線は残るにせよ、パワーアップ編、重要ガジェット編、中盤の設定編、お祭り編といった多要素を絡めて重要なエピソードに仕立て上げる職人技には感服しました。特にお祭り編という最も扱いづらい要素を自然に、しかもゴーカイジャーでなければならないと断言できるレベルで絡ませてくるのには驚きを禁じ得ませんね。

マーベラス、ナビィ、鎧

 冒頭(どころか、その前のどうぶつかくれんぼから)マーベラスは出ずっぱり。当時よりも迫力を増した声質が、まず後輩達を圧倒していました。当時よりも「悪さ」が増していると言っても良いくらいドスが利いていて、やっぱりマーベラスはこうでないと! と感心した次第です。タスクですら知らない大王者の資格の在処を知っているという、情報網の確かさがツッコミどころですが、まあ冥界にも理解者(結城凱とか)が居るような人物ですからね。いいんですよ(笑)。

 大王者の資格を手にしてからは、常にジュウオウジャーを手玉に取るような言動で翻弄し、くすぐる(!)という手段で奪還の機会を作ったアムを睨み付けるなど、レッドヒーローらしからぬ振る舞いを連発。「VSギャバン」の時のちょっとしおらしい表情といったものが嘘のように消滅していて、宇宙海賊としても更に狡猾に成長したものと思われます。

 ナビィは相変わらずといったところ。よく喋って状況を説明してくれるので、有難い存在です。操に変わったオウムと認識され、真理夫さんが偶然オウムのコスプレをしているといった流れに「何か起きる」という予感を匂わせている辺り、なかなかキレのある構成です。

 鎧は、なんと各戦隊ヒーローのところを回って、レンジャーキーを貸してもらうという役回りで登場。サプライズゲストとして、子供トッキュウジャーが登場(ただし後ろ姿のみ)! 子供トッキュウジャーを前に土下座して頼み込む姿が、実に実に可笑しいこと請け合いです。にしても、毎回使いっ走りを任されていて大変ですね...。レンジャーキーが自在に貸し借り可能という、便利すぎる設定なのも笑えてしまいます。鎧のお調子者振りは、このトッキュウジャーとのシーンでも垣間見られますが、やはりエンディングで一人だけ細かい動きをしていて落ち着きがない様子こそ白眉でしょう。一度周囲に合わせて決めポーズをとっておきながら、すぐにまた動き始めるという芸達者振りが素晴らしいです。次回の活躍も楽しみですね。

スーパー戦隊ヒーローゲッター 2016

 エンディングは、「ゴーカイジャー」のエンディングの新バージョンが流れるという、記念回に相応しいサービスで興奮必至。「ゴレンジャー」から「カーレンジャー」までの20作品が歌われ、次回でちょうど40作品まで完走する計算になります。ここまでやってくれるのかと嬉しくなりましたね。

次回

 次回は戦隊通算2000回! 物凄い数字ですよね。マーベラスと大和がどう共闘するのか、あるいはしないのか、その辺りも実に楽しみですね。