第26話「大切な日を守りたい」

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 シンプルでいい話でしたね。バングレイの奇襲と再生怪人には早くも食傷気味ではありますが、まあ夏枯れ対策の一つとして「リサイクル」は良い選択なのかも知れません。

 大和のいい人っぷりをさらに躍進させる筋運びでもあり、最後の最後に鳥男が再登場したということは、近々大和の身に何か起こる可能性があります。丁度折り返し地点に差し掛かっていますし...。

バングレイ

 デスガリアンに波乱をもたらす男というよりは、まだ真意を隠したまま自由に振る舞っているという印象が強いバングレイ。そのバングレイが喚起したクバルの異変に心配を隠せないナリアと、あくまで事態を静観しているジニスが良いコントラストです。特に異分子の存在をゲームの活性化要因として歓迎しているジニスの余裕は、悪の大ボスとして素直に格好良いものとなっています。申し訳ないことに、デスガリアンという組織自体にキャラクターの魅力というものをあまり感じていなかったのですが、ここに来てその魅力が徐々に滲み出始めましたね。

 今回のバングレイですが、大和にご執心。前々回、大和の母親の記憶を実体化させ、その母親を斬るという行為で大和を苦しめたものの、逆につながりの大切さと強固さを認識させてしまいました。今回は、記憶から実体化させたものではなく、現実に大和と繋がっている人物を斬るという残虐非道な行為で、今度こそ彼の精神を崩壊させようというわけです。

 結婚式の妨害という、ごく小さい規模の事件を幹部怪人が担うある種の矛盾を、個人的な興味のレベルに落とし込むことで整合に導くあたり、構成の巧みさが感じられますね。もっとも、こういう手法を用いずとも、事件の規模の小ささは70〜80年代では割と違和感なく、というより一般的なお約束として許容されていましたから、なかなか大変な時代になったものですね...。

大和の旧友・ダイチ

 肉親の描写を発端として、次々と明らかになる大和の過去。今回は、大和と大学時代を共に過ごした友人が登場します。

 彼の名は林ダイチといい、大和の学生時代を最も近くで見ていた人物の一人です。「ジュウオウジャー」では極力裏をかかない方針なのか、ダイチが大和の真面目さや社交性、行動力を純粋に買っている様子が描かれており、敵に利用されて大和を精神的に追い詰めるといったことすらありません。真に「妻と共にバングレイに襲われる」という一点のみが大和を苦しめるという徹底振りで、そのシンプルさ故に切迫感も凄いことになっていました。

 大和と共に大学時代の思い出を語りあう様子は実に微笑ましく、不遇な幼少期を乗り越えて大学生活を懸命に楽しんでいたんだなあ...と感慨を覚えました。若干強引に周囲を巻き込みつつ活発に動いている様は、正に現在の大和に連なるものと言えるでしょう。

 バングレイの襲撃を察知した大和が、ジュウオウイーグルとなってダイチの目前に現れる場面は、興奮必至、白眉となるシーン。ここでダイチがジュウオウイーグルの正体に気付くというのも、お約束ながら実に良いくだりで、素直に楽しむことができました。やはり、オーソドックスな筋運びにはそれだけ多くの聴衆を燃えさせてきた実績があるわけですね。

 ちなみに、このダイチに対する操の反応が、また実に面倒臭さに溢れていて素晴らしい。大和に操以外の友達が居て当然なのですが、それを分かった上でショックを受けるという、何とも「らしさ」に溢れた反応で楽しませてくれました。

結婚式!

 ダイチの結婚式ですが、勿論見所はジュウオウジャーの正装(?)。正式に招待された大和以外は、完全に押しかけ参加なのですが、衣装が結構凝っていて面白いです。

 派手過ぎるレオと、落ち着いた雰囲気と民族衣装のエッセンスを取り入れたタスクのスーツが、大和と操のオーソドックスな正装と違って実に個性的でした。それにしても操は一体どんな暮らしをしているのか...。すぐに様々な衣装を持ち出してくるあたりが笑えます。

 そんな中でも、やはりセラとアムが目立つのは戦隊ならではですね(笑)。セラはキャラクターカラーのブルーを基調としたドレス。海洋生物の優雅さをイメージしたような、ひだをあしらった流麗さが美しくも、膝上の大胆なワンピースが鮮烈でした。アムは可愛らしさを強調したホワイトのドレス。ネコ科を思わせるフワッとしたシルエットが彼女のキャラクター性を強調しています。こちらもスカートが膝上でカットされている上、大胆にデコルテを強調するというフェミニンな魅力が炸裂していました。

 この結婚式(の見物)を一番楽しんでいたのは、実はセラかも知れません。結婚というワードに一際興味津々な様子を見せ、ドレスに身を包んだ際のはしゃぎ気味な表情は、普段のちょっとクールな彼女とは一線を画す可愛らしさ。二階席で飛び跳ねているアムの方がやや冷静な感すらありました。レオに「何、乙女みてえなこと言ってんだよ」と言われたセラが、「乙女よ!」と怒りのみぞおちパンチを打ち込むシーンは爆笑モノで、セラの本当の姿を垣間見たようで嬉しかったですね。何となく、セラ役の柳さんの雰囲気がセラの設定を良い意味で崩し始めているような気がします。これは良い傾向ですよね。

鳥男、そしてラリー

 こんな感じで、バングレイは悪辣、対する大和たちの思いは熱く、そして結婚式関連の描写は終始和やか、といった具合に、オーソドックスに楽しいシーンを積み重ねる回として仕上がったわけですが、エピローグで突如鳥男が登場。しかも、ラリーと「再会」し、名前が「バド」と判明するなど、本当に突然、重要なシーンを入れてくる隙のなさ! 再生怪人譚だからといって油断はできません...。

 バドはラリーに対して丁寧な言葉遣いをしており、二人が旧知の仲であることを伺わせます。これは面白くなって参りました!

次回

 バドとラリーの件はひとまずお預けでしょうか。次回は恒例ニセモノ編。どんな仕掛けが飛び出すか楽しみです。クバル関連の動きもありそうで、こちらにも注目ですね。