第2話「この星をなめるなよ」

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 前回が壮大なアバンタイトルだと捉えれば、実質的な本編は今回より開始となります(公式サイトの受け売り)。

 人間界で暮らし始めたジューマン達のユーモラスな行動が全編に亘って強調される一方、タスクの生真面目なキャラクター性や、大和の本作におけるポジショニングの確認といった要素をガッチリと押さえ、物語の基盤を見事に作り上げていました。

 本作ならではの、手間をかけたビジュアルの応酬も凄い事になっていて、一年間このテンションで継続するのかと、一瞬戦慄を覚えましたね。

大和のポジション

 今作における大和の第一の役割は、異世界の住人達が人間界で生活出来るようにする為の世話役。今回はその辺りがコミカルに描かれます。

 タスクは別として、セラ達は実に自由奔放。思いのままに飲食したり木登りしたりとやりたい放題。セラに至っては噴水で水浴びし始めるという凄まじいシーンが登場しました。演者の柳さん、実に楽しそうな表情で堂々と水に入っていましたが、撮影時期を考えると全く以て凄い根性ですよね...。戦隊やライダーにおける「水の洗礼」は、大抵危機的シーンの凄惨さを強調するものになるので、今回のように楽しいシーンを彩るのは珍しいと思います。

 これらの行動は、彼等ジューマン達の自由闊達な生活振りを活写しつつ、人間界では異質である事も存分に描いていました。そして、そんな彼等をなだめたり、真理夫の処へ連れて行ったり、食事を話題にしたりといった具合に、さながら「飼い主」っぽい振る舞いをするのが大和です。

 「飼い主」と称したのは、思い通りにならないセラ達にリード(?)を付けて真理夫のアトリエ(?)に連行(?)するシーンがあったからですが、そのシーンはいわば方便であり、大和とセラ達の間に「飼い主」と「ペット」のような主従関係があるわけではありません。

 ただ、ジューマンを動物扱いする事によって笑いが生じるのは、現時点では確かなことであり、彼等の関係性が(例えば追加戦士の登場によって)安定期に入るまでは、そのような視点で描かれていても何ら問題はないと思います。しかし、そのままではやはりマズいので、大和とタスクの関係を逆転させて描く事により、バランスをとっていました。

タスク

 今回のメインはタスクですが、他の面々のドタバタが非常に目立っていて尺も長く割いてあったので、出番としては実の処少なめとなっています。

 しかしながら、セラ達に「餌付け」した大和に対し「世話になるつもりはない」と答え、ジューランドへの帰還に必要な王者の資格探しを優先させるという行動と、そこに絡んでくる大和との関係の描写は実に丁寧で、メインキャラクターたる資格は充分でした。

 タスクは慎重派としての面と頑固な面、そして少々斜に構えた雰囲気を備えたキャラクターとして描写されました。恐らくはどんどん懐柔されていくのだと思いますが(ゲーム紹介のミニコーナーで既に片鱗が見える・笑)。今回は世話を焼きまくる人間=大和の対極に位置させる事で、大和のキャラクター性を浮き彫りにする役割をも担っていたと言えます。

 大和は、やはり他のジューマン達と同様、「象に渡すリンゴ」という象徴的なカットをフィーチュアする事で「餌付け」を印象付けました。タスクが少しの躊躇を挟みつつも手を差し出すカットには、「和解」の二文字こそはっきりと見えてきますが、やはり少々のユーモアが盛り込まれている感もあって良いですよね。

 しかし、「餌付け」で終わらないのがタスク。大和に王者の資格を「貸し与える」という構図に持って行く事で、タスクは大和に対して少しばかり優位に立つのです。勿論、王者の資格は大和が鳥男に与えられたものなので、元々大和の所有物だと言えますが、ここではジューランドへの扉を開くジューマン達の宝物というエクスキューズの方が重要となります。

 ジューマンに借りた王者の資格を以て、ジュウオウジャーの一員となる大和。人間界でジューマンが生活出来るよう世話を焼く一方、ジューマンの力を借りて人間界を守る...つまり、持ちつ持たれつの関係性を築いたわけです。

 ところで「タスク」の発音は、「スク」ではなく「タスク」(太字にアクセント)なんですねー。

鮮烈なるジューマン描写

 話題は前後しますが、気を抜くとジューマン態に戻ってしまったり、尻尾が印象的な役割を果たす等、魅力的で鮮烈な描写が満載のセラ達。

 そのユーモアたっぷりのシーン設計は、不思議コメディシリーズのエッセンスをも感じさせるお手並みで、ごくごくナチュラルに見せる手腕で確実な笑いを生んでいる辺り見事なものです。

 気を抜くと「正体」を表すという描写は、ウルトラシリーズのコメディ話で散見されるものでもあり、いわゆる東映のバトル系ドラマではかなり珍しいと思います。それだけに、戦隊で展開されると新鮮なギャグになっていますよね。

 そして、人間態とジューマン態の切替カットでは、両演者が極力動きまで合わせて違和感をなくし、同一人物である事をほぼ完璧に担保しています。立石さんや柳さんは結構背の高いモデル体型なので、カットによっては身長が縮んだりしてますが(笑)、その辺りも巧くごまかしていると思います。特にレオとアムは互いの仕草のトレスが高次元で成立しているので、芝居の一つ一つに見応えを感じます。

鮮烈なる真理夫

 ジューマン達のユーモラスな「正体隠し」の描写は、やがて露見する事を予定しているとは思いますが、最も彼等に近い第三者である真理夫が「動物コスプレ」の第一人者(?)であるという設定を用い、真理夫の「勘違い」を利用した正体隠しの延長を図っているのは、実に巧い処です。

 寺島さんの他ではあまり見られないぶっ飛んだ「なりきり」の芝居が、真理夫の「変人」振りに絶妙なリアリティを付加しており、キャスティングの的確さには脱帽ですね。いわゆる後見人の立場に立つキャラクターですので、いずれは大和達に「ジュウオウジャー、かくあるべきか」を問う時が来ると思われますが、このまま最終回まで突っ走ってくれてもいいんですよ(笑)。

巨大戦

 ここまで書いてきて、今回の敵怪人であるハルバゴイについて書くのを忘れていたのに気付きました(笑)。なんだか印象が薄いんですよね。「デンジマン」のダートラーに似ているとは思いましたが。

 さて巨大戦ですが、今回も123でジュウオウキング合体するのかと思いきや、まさかの154。5体が「先着三匹」で様々な合体フォームを形成出来るんですね。面白いです。腹部と脚部担当は決まっていると思われるので、123、154、124、153の四通りが登場可能という事ですかね?

 154は、123とは結構印象が異なるフォームになっていて、しかも足技メインという特徴付けを、ポージングによって成立させているという見事なシーン設計。123だけでなく、45も俄然欲しくなってくるという、宣伝効果も抜群な描写になっていました。

次回

 次回のメインはアム。順調に各キャラクターの掘り下げが行われています。既にそのエキセントリックな(=分かり易い)描写で突出したキャラクター性を付与されているジューマン達なので、その内面、メンタル面にフォーカスされるのは当然の事でしょう。

 今シーズン、例によって両ヒロインとも魅力的なので、まずは第一弾を楽しみましょうか。