第19話「信じるのは誰」

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 ほぼ予想通り、ザワールドの「寝返り」を描いた一編。

 大和が、かつてラリーを救ったがごとく、ザワールドをも救おうとする姿には、もはや「ザワールドが人間だから」といった次元ではない強固なポリシーが感じられ、そんな大和にセラ達も最初は違和感を感じつつも、賛同していきます。

 そこには尺を食う葛藤がなく、非常にスッキリとしたストーリーが形成されており、やや物足りない感も。特に今回は放送休止を挟んでのオンエアだった為、「じらされた割には...」という感想になってしまいました。

ボウリンゲン

 ザワールドがあくまで「エクストラプレイヤー」であることを象徴していたのが、このボウリンゲン。今回のメインストーリーはザワールドの「寝返り」なのに、わざわざ別途怪人を用意してしまう辺りが特殊です。

 しかも、繰り出すゲームが「人間ボウリング」という、突出してコミカルな描写を伴うものであり、ザワールド絡みの陰惨なシーンの対極に置かれることで、雰囲気全体のバランスをとっていました。勿論、ボウリングでは人々が直接はじき飛ばされるという痛々しさがちゃんと描かれており、コミカルなだけではない「ジュウオウジャー」独特の「痛さ」が盛り込まれていて、さすがです。

 ボウリンゲンの声は、現行ジャイアンで有名な木村昴さん。ジャイアンのイメージも強いですが、様々な役柄をこなす芸達者。今回はグッとコミカルなキャラクターに振り切っていますね。

 前々回、前回と登場したトランパスと同様、ボウリンゲンもどうやら続投のようで。この辺り、ちゃんとザワールドが引っ掻き回している雰囲気を出していますよね。

大和 VS ザワールド

 前回、突如苦しみだして人間の姿に戻ったザワールド。大和はそんな彼の姿を見て、彼の苦悩や苦痛を理解すると共に、救いたいと考えるようになります。

 冒頭に書いたとおり、これはかつてラリーの心を救った行為と同種のものであり、いわば「二度目」となるわけですが、それだけに説得力があります。そして、「ラリーに関してもそうだった」のを想起させることで、その説得力がセラ達にも伝播するという、巧みな構成力を目にすることができました。劇中でも言及があったとおり、そもそもはタスクを初めとして、ジューマン達は大和との関わりの中で救われた経緯もあり、分け隔て無い大和の姿勢は一貫しているわけですね。

 そして、大和はザワールドをデスガリアンの呪縛から救い出すために、奔走することになります。驚くのは、この大和の試みが土壇場まで全くと言って良いほど成就しそうにないところです。逆に言うと、土壇場で急に功を奏することになるので、少々唐突に映ってしまうことになりました。あまりに進展しないので、このまま引っ張るのかと思いきや、いきなりザワールドが正気に戻ったので非常に驚いた次第です。

 一方、大和とザワールドの「戦闘」は、常にザワールドが優勢であり、ここはキャラクターの優劣を崩さない姿勢が見て取れます。巨大戦における隙を狙い、直接コクピットから引きずり下ろすという大胆な奇策を以てして、やっとザワールドとの対峙の場を確保する辺り、ギリギリの駆け引きがスリリング。

 結果的に、大和の必死の訴えがザワールドの深層に届き、ザワールドは本来の姿である門藤操の姿に戻りました。この時、大和が訴えかけたのは「信じている」ということ。門藤操という人間が「本当は戦いたくない」と思っていることを、大和は根拠なく本能的に信じられると言うわけです。

ジニスか大和か

 恐らく操の生い立ちに関して、ジニスに付け入られる隙があったのでしょう。ジニスは操のことを「理解している」と嘯き、まんまと洗脳してしまったという経緯が語られました。

 大和が用いたのは、ジニスの「理解」がザワールドの「破壊」行為に繋がっているという指摘で、その「破壊」自体に対する嫌悪を喚起するという手法でした。現実には、この程度で洗脳が解けることはほぼないと言えますが、それだけに、魂が共振するような領域を垣間見せたとも言えます。

 しかしながら、やはり唐突ではありましたね。もう一話ほど引っ張っても良かったかも知れません。やはり今回、土壇場まで進展がなさ過ぎたんですよね。

パンダ!?

 唐突と言えば、キューブクマが突如金色のパンダに変化。販促バリバリでちょっと興ざめしてしまいました。ただ、逆転劇としては巧く機能していたように思います。

門藤操

 何となくですが、「ゴーカイジャー」の追加戦士である伊狩鎧に雰囲気が重なりますね。めちゃくちゃ体脂肪率が低そうだな...というのがファースト・インプレッションです(笑)。

次回

 現在、仕事が忙しくて、なかなか記事が書けないんですよね...。正直なところ、かなりインパクトのある話じゃないとモチベーションが上がらないわけです。

 というわけで、次回はそんなインパクトある話を期待します(笑)。