いよいよ最終決戦!
…というお決まりの盛り上がり方ではなく、状況を二転三転させる事で危機感を煽るいう手法で、観る者を引き込んでいきます。
こういった手法では、大体正義側が追い詰められていく話になるのですが、ディセプティコン側における状況の変転も見事に活写していて、非常に見応えがあります。特にスタースクリームの立ち回りによって、メガトロンの狡猾さと優秀な頭脳が遺憾なく描かれるのは、見事です。
一方、最終編ならではの展開も。それが特に現れているのは、オプティマスのチームがどのようにして結成に至ったかというプロセスを描く、過去編の挿入。これまでのエピソードで断片的に出された情報を総合すれば、大体の想像がつくような内容でしたが、それでも映像化された際の説得力は抜群であり、「なるほど」と膝を叩くようなシーンも。
シリーズ自体は、残念ながら4シーズン目が企画されながら中止となったようなので、語られない要素をかなり残したまま終了という事になりそうですが、とりあえずオプティマスのチームの過去だけでもはっきりしたのは収穫です。
あと、ロボットアニメの定番である主役ロボットのパワーアップ。これが、いわゆるアメリカ版トランスフォーマーシリーズで導入されるのは、非常に珍しい事だと思います。マイクロン三部作も含めた日本制作シリーズでは、大抵他のロボットと合体したり、強化パーツで巨大になったりと、定番中の定番として扱われますが、アメリカ版を見渡すと、シーズン毎に姿が変わるビーストシリーズのような例はあっても、日本のロボットアニメ的に明確なパワーアップは皆無です。
今回のオプティマスのパワーアップは、見た目こそ強化合体っぽく見えますが、実際に本編を観ると、パワーアップパーツ自体は人間の手によるもので、しかも今回に限って言えば、オプティマスは飛行を楽しんだだけ(!)。この辺りの見せ方は、既にパターン化したロボットアニメとは違う新鮮さを与えてくれます。
思えば、G1初期も、リアルロボット全盛の当時としては相当異質なロボットアニメであり、ビーストも、当時は珍しかったCGアニメーションが毎週テレビで見られるという、一種のカルチャーショックでした。
この「アニメイテッド」も、そのカートゥーンっぽさ全開のキャラクターデザインによって、新鮮なロボットアニメとして映りました。シリーズもいよいよ次回を残すのみ。しかし、未放映エピソードはDVDにてフォローされるとの事で、まだ楽しみは残っています。
今回の展開を、続きの方へまとめてみました。
冒頭は、ジャズに見守られ、プロールがサイバーニンジャの訓練をしている様子から。
例の「念じて成し遂げる」訓練であり、「ムーーーーー」というプロールの怪しげな唸り声が響いてきます。
オイル缶を念じて浮遊させるプロールでしたが、そこにバンブルビーとアイアンハイドが帰ってきて、オメガスプリームが月に居る事を突き止めたと言います。
前回、サイバトロン星にてフォートレスマキシマスの砲撃をトランスワープでかわしたオメガスプリーム。そのトランスワープの行き先は、何と地球と目と鼻の先にある月だったというわけです(ただし、日本語版「アニメイテッド」では、舞台が地球であるかどうか、明確でない)。
つまり、メガトロンはオメガスプリームのトランスワープシステムを、既に自由に操れる段階にあり、明確に地球を攻撃目標に定めていたという事。
そのメガトロンの元で、ショックウェーブは、アーシーから最終アクセスコードを引き出そうと作業していました。
このショックウェーブも相当優秀な人材です。スパイとしてだけではなく、技術的にも卓越していて、オートボットの科学技術陣でも困難だった、アーシーの記憶復元に成功してしまうのですから。
目覚めたアーシーは、「教育用ロボット・RC-687040」と名乗ります。アニメイテッドでは、このようにコードが「本名」として設定されているらしく、以前、バンブルビー達がセンチネルによって名付けられた事からも、元々呼び名とコードは別個に存在するようです。
なお、アーシーは目覚めたものの、教育用ロボットだった頃の時代までの記憶しか復元出来ていない様子。ショックウェーブが本当に欲しいのは、その後、情報員として活動していた際の記憶です。
ショックウェーブが記憶の復元に「失敗」していても、メガトロンはショックウェーブを責め立てたり、無理に急がせたりしません。ショックウェーブが、メガトロンの大のお気に入りである事は確かでしょう。
スタースクリームは、それを利用して好機を得ようとします。彼はラグナッツのメガトロンへの忠誠心を煽り、ショックウェーブへの対抗心を喚起させ、二人を乱闘状態に。
スタースクリームは、その隙に「自分のやりたい事」をやろうと、首だけでゴロゴロ転がり、別の部屋へ。
素晴らしいのはこのスタースクリームの狡猾さ!
口だけ達者な状態でも、十分状況を打開する能力があるわけです。ただ、今も昔もスタースクリームの欠点は「スケールが小さい事」と「ツメが甘い事」。いつも目論見が達成される寸前に、メガトロンによって「この愚か者が!」となってしまうのでした。
一方、地球では、月にオメガスプリームが居るという情報を聞き、ラチェットが、オメガスプリームとアーシーを助けに行こうと提案します。オプティマスにウルトラマグナスのハンマーを使えと言うラチェット。
ウルトラマグナスのハンマーは、メガトロンに対抗し得る強力な武器だということが、この時点で判明します。実際にウルトラマグナスが使用するシーンが幾つかありましたが、あまり印象が強くないので、ちょっとピンと来ない感はあります。
ここでウルトラマグナスのハンマーを見つめるオプティマスに、かつての思い出が去来します。
ここで過去編にスイッチ。
実習生時代のオプティマスとセンチネルは、エリータ1の事件についてウルトラマグナスより叱責されていました。
有機生命体の存在する「命の星」にオプティマス、センチネル、エリータの三人で入り、エリータがブラックアラクニアになってしまった、あの事件です。
センチネルは、エリータを助けようと引き返すつもりが、オプティマスに止められたと証言。オプティマスは弁解する事なく、潔く事件の全ての責任をとって、オートボット大学から追放される事になります。
ウルトラマグナスより、「君には期待していたのに残念だ」と告げられるオプティマス。学生時代より、かなり優秀な人物だったようですね。「アニメイテッド」のオプティマスは、他のシリーズのようなオートボットの頂点に立つ「総司令官」ではありませんが、いずれはそうなる可能性のある人材だったという事でしょう。
ここで現代編に戻ります。
この出来事を思い出していたオプティマスは、ハンマーを手にする資格はないと答えます。代わりにロケットブースターで飛行可能になる事で、メガトロンと張り合えるのでは考えます。その案は、早速サムダック博士によって実現される事になるのですが…。
今も昔も、ディセプティコンのアドバンテージが飛行能力である事は、いい事です。
そして、月の偵察に、バンブルビーが選出されます。
最初はプロールが月へ偵察に行くと言っていたのですが、ジャズがサイバーニンジャの訓練をすべきだと反対し、結果的にバンブルビーが暗黙のうちに適役として選出されたわけです。バンブルビーは不満気でしたが、とりあえずスペースブリッジで出発します。
一方、月では、スタースクリームがクローンのボディにプロトフォームをセットし、復活を遂げました。
クローンといえば、「イケメンズ」もスタースクリームのクローンとして誕生したわけですが、彼らにプロトフォームが使われたという描写はなかったので、プロトフォームの使用により、何らかの有利な作用が得られるのかも知れません。
なお、スタースクリームのクローンはかなりの数用意されていたようですが、メガトロンがやって来ると、スタースクリームのクローンボディを次々に破壊してしまいます。メガトロンは、「やることが小さすぎる」とスタースクリームを評し、もっとデカいクローンを作ると言います。
メガトロンの視線の先にあったのは、オメガスプリーム。そして、既に両端にそのクローンと思われる巨大な体躯の一部が見えています。つまり、デカいクローンとは、オメガスプリームのクローンです。
その頃、訓練を続けていたプロールは、サイバーニンジャの術により、オールスパークの欠片を生成するまでに至っていました。
プロールは、「この惑星では、オールスパークは、本当に私達の周りにあるのであるな」と呟きます。このセリフの本当の意味は明確ではありませんが、サイバーニンジャの術は、微粒子となって浮遊しているオールスパークを、一点に集めて欠片の大きさにまで集約する事が出来るのではないでしょうか。
さらにその頃、月にてバンブルビーは、盗聴器を仕掛けようと奔走していました。しかし、それは失敗に終わってしまいます。
そこでスゴスゴと帰らないのが、成長したバンブルビーの凄い処。代わりに船内に侵入し、アーシーの通信機能をオンにする事で、メガトロン達の会話を傍受しようと試みたのです。
この試みは見事成功。バンブルビーとアイアンハイドは、やや不明瞭ながらも、メガトロン達の会話を傍受する事が出来ました。メガトロンは会話の中で何かを作ると言っていましたが、これは勿論オメガスプリームのクローンを作る事に言及しています。しかし、バンブルビー達には理解出来るはずもなく。
その後、オプティマスのロケットブースターが完成を見ます。
オートボットには、ある程度の飛行が可能なプロールや、特別仕様のセーフガード二人を除き、自在に飛行出来るメンバーが居ません。オプティマスにしても、飛行経験はないわけで、彼のような猛者でさえ、やや不安を抱いているのがいいですね。
不安を振り払い、遂に翔びたつオプティマスプライム!
一旦飛んでしまえば、という事か、「素晴らしい!最高だ!」とロケットブースターを賞賛し、楽しそうに気持ち良く飛んでいます。
ここでオプティマスは、再び過去を思い出します。
過去編に移行…。ウルトラマグナスは、「君は特別な存在だと思っていたよ、オプティマス。君を失うのは我々にとっても損失だ」といい、オプティマスをドックへと案内しています。ウルトラマグナスは、エリートガードへの道をオプティマスに示す事は出来ないまでも、彼に船を用意したと言います。
そして、オプティマスに「船長になれ」と言うウルトラマグナス。
この時、ウルトラマグナスはオプティマスを「オプティマスプライム」と呼んでいる事から、プライムとはチームリーダーに与えられる呼称である事が分かるのですが、日本語版ではプライムの呼称がオプティマスにしか与えられていない為、「分かっている人」にしか分からないのが残念…。
オプティマスは自分に与えられた船が新造船だと思っていたようですが、実際に与えられた船を見て、些か面食らってしまいます。
見るからに「オンボロ船」であり、唖然とするオプティマス。
これがラチェットとの出会いになります。
艦底から身を滑らせて出てくる辺り、いかにも整備士っぽい雰囲気。
既に、センチネルによってエリートガードのアカデミーを退学になった、アイアンハイドとバンブルビーも配属されていました。
要するに、ラチェットを除いて、センチネルの「被害者」の集団なんですよね(笑)。
なお、「オンボロ船」はオメガスプリームであるからして、ウルトラマグナスがこの船をオプティマスに託したという事実には、色々な含みがありそうです。オメガスプリームと縁の深いラチェットを配属したのも、現在の状況を予見しての事かも知れませんね、もしかすると。
オプティマスが思い出の中に居ると、現れたのはスリップストリーム。ここで出てくるとは思いも寄らず。彼女はオプティマスをスタースクリームと誤認し、狙撃します。
ロケットブースターに全飛行能力を委ねるオプティマスは、制御を失い、落下して河の中へ消えてしまいます。
同じ頃、遂に情報員としてのアーシーの再起動に成功したショックウェーブは、情報長官ロングアームとして、アーシーの報告を聞いていました。
姿と立場を巧みに使い分ける様子が秀逸すぎます。これには思わず唸らされました。ちゃんと色が戻っているのもポイント。ロングアームの姿をもう見る事はないと思っていたので、嬉しいですね。
アーシーは、オメガ計画の最終アクセスコードを持っていると答えます。それはそのまま、会話を傍受していたバンブルビーとアイアンハイドにも聞こえ、二人は戦慄を覚えるのでした。その瞬間、通信は途絶えます。ショックウェーブは、アーシーにつながれたコードを引き抜いてしまったのでした。
一方で、河に落ちたオプティマスは無事でした。
オプティマスは、オメガスプリームの最終アクセスコードを、メガトロンが入手したとの報告を、バンブルビー達より受けます。しかし、オプティマスはまだ月へ赴くのは尚早だとします。
さて、シーンが地球と月と、そして過去編とで目まぐるしく往復し、文章等では分かり難いですが、とりあえず時系列通りに進めます。
月では、オメガスプリームのクローンにプロトフォームを挿入し、最終アクセスコード投入を待つだけとなりました。
オメガスプリームに似た青系のロボットといえば、G1では「ガデプ」(あるいは「ガデポ」)ですが、今回のクローンは、それを踏襲している雰囲気があります。
オメガに新しい教師が必要であるという名目で、最終アクセスコードを渡すように言うロングアーム。しかし、アーシーは目前のメガトロンを見て事態を把握し、受け渡しを固辞します。
もしかすると、メガトロンさえ目の前に居なければ、アーシーは素直に最終アクセスコードを渡したかも知れません。しかし結局、ロングアームはショックウェーブへと戻り、強制的に最終アクセスコードをメガトロンに転送させようとします。力を信条とするディセプティコンならではのシーンであり、満足度が高いです。
順調に最終アクセスコードを入手せんとするメガトロンでしたが、ここでスタースクリームの邪魔が!
しかし、さらにラグナッツが割って入り、結局ラグナッツが最終アクセスコードを受け取る事になります。
メガトロン自身が最終アクセスコードを入手出来ず、しくじったと笑うスタースクリーム。ところが、メガトロンは一番忠実な部下が動かすクローンならば、自分の味方だと自信を見せるのでした。
セリフにやや説明不足な点があり、少々状況が分かり難い面があって残念ですが、要するにメガトロン自身がオメガスプリームのクローンを動かさずとも、ショックウェーブかラグナッツが動かす事になれば、それで十分だったという事です。メガトロンは、自分のカリスマ性に絶対の自信があったというわけです。スタースクリームさえ警戒していれば、それで良かったんですね。さすがはメガトロンです。
苦境に立ったスタースクリームは、オールスパークの欠片がなければ、オメガスプリームのクローンも起動しないと言うのですが、メガトロンは三体分のオールスパークの欠片を、オメガスプリームのチャンバーから既に入手していました。メガトロンへの抗弁のネタが尽きたスタースクリーム、哀れにも再びバラバラにされてしまいます。
「イケメン台無しぃ~」と言ってますから、不死身のスタースクリームはまだまだ健在といった処でしょうか。
地球では、まだオプティマスがハンマーを使う資格はないと言い張っており、プロールによって「運命は自分で切り開くものである」と諭されます。
このプロールの言葉を受け、オプティマスはまた過去を思い出すのでした。
ここで過去編へ。
今度は、オプティマスのチームが活動を始めた後のお話。スペースブリッジのメンテナンスが主な任務ですが、どうやらエネルゴンの採掘も仕事の一つだったようで、とある小惑星にて、その作業に勤しんでいます。
作業をしていたオプティマスのチームは、ふとしたきっかけで瞑想するプロールを発見します。
百万年の間、プロールはオールスパークと交わろうと頑張っていたのだと言います。オプティマスのチームは、その邪魔をしてしまったわけです。
しかも、ラチェットの不注意によって、プロールの船がエネルゴンの爆発に巻き込まれてしまい、プロールはこの小惑星から飛び立てなくなってしまうのでした。憤慨するプロールに、オプティマスは「作業が済めば送る」と言います。
さらに、「手伝ってくれたら作業が早く済む」というオプティマスの言葉に、プロールは心を乱してしまいます。
プロールは、運命を切り開こうと努力してきたのに、いつしか自分の居場所すら分からなくなっていたのだと吐露します。
オプティマスは、その気持ちが分かると答えます。
この頃のプロールは、サイバーニンジャとしての腕はかなりのものであった一方、まだ精神的に未熟であり、ややエキセントリックな面を残しています。「アニメイテッド」開始当初も、まだこの頃のプロールの一面が残っているように見えるので、この出来事自体、「アニメイテッド」開始当初の時点とかなり近い位置にあるのかも。
そして、月では三体の「クローンラグナッツスプリーム」が誕生していました。
ああ、確かにラグナッツの顔なら絵になりますが、メガトロンの顔だとちょっと恐ろしさに欠けるかも知れませんな(笑)。
「始まりだ」
月での動きをキャッチしたオプティマスは、いよいよ決意の元、ハンマーを手に!
さぁ、戦いだ!!
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