いよいよ残すところ、今回を含めてあと3話。サイバトロン星にラチェット自身が赴くことにより、宇宙規模にまでスケール感を高めてくれます。
G1では、スペースブリッジがディセプティコンの手にあり、敵味方問わず頻繁にサイバトロン星と行き来していた為、地球とサイバトロン星は常に繋がっている印象でしたが、「アニメイテッド」では、ここぞという時にスペースブリッジを出していて、一つの切り札として機能しています。
設定からして、オプティマスのチームはスペースブリッジのメンテナンス部隊でしたから、この盛り上げ方も納得ですね。
今回の凄い処は、サイバトロン星にファンゾーン警部が赴くという点で、サイバトロン星は、人間が普通に生きられる環境である事が判明します。G1でどうだったかは失念しましたが、確かエクセルスーツを着ていたような?
とにかくこの事は、サイバトロン星に有機体が住めるという事を示しているのであって、ビーストウォーズで提示されたサイバトロン星の原始の姿を、そのまま踏襲しているのではないかと思わせます。
事実、ラットルくんの転生が出てますしね。
話の流れとしては、ラチェットとファンゾーン警部が立ちまわる中で、オメガスプリーム起動の鍵を握るアーシーの争奪戦があり、センチネルの司令官としての器に疑問を提示し、ディセプティコンがいよいよ集結を開始。ファンゾーン警部を引っ張り出す事でバラエティ編の様相を呈しつつ、しっかりと最終戦に向けて段取りがなされるあたり、やはりさすがとしか言いようがないです。
では、今回はキャプ画多めで行きます。
冒頭は、ある機械の使い方について尋ねるべく、ファンゾーン警部がサムダック博士に会いに来るシーンから。
そこにはサムダック博士はおらず、ラチェットが居るだけ。
しかも、機械と相性の悪いファンゾーン警部は、警備マシンに付け狙われ、何やら忙しげに働いているラチェットに煙たがられてしまいます。
ラチェットは、スペースブリッジのセンサーを駆使して、オメガスプリームの居所を突き止めようとしていたのでした。
ラチェットの、ファンゾーン警部を警備マシンから助けつつの作業は無駄がなく、それは今回のショックウェーブとの戦いにおける、動作の無駄の無さを既に予告しています。
その時、突如スペースブリッジが作動し、オメガスプリームの存在をキャッチします。
すると、運悪く居合わせたファンゾーン警部、なんとスペースブリッジに吸い込まれていきます。
ラチェットはあんまり慌てていませんでしたが、人間の組成について理解が及んでいなかった為なのか、それとも行き先がサイバトロン星だと分かっていて、人間が行っても問題ないと判断したのか。
いずれにせよ、ホントにラチェットは全く慌てていませんでしたね(笑)。
とりあえず、一呼吸置いた後、ラチェットもスペースブリッジに飛び込んで、ファンゾーン警部の後を追いました。
そして、サイバトロン星。
ロボット嫌いのファンゾーン警部は、よりによってサイバトロン星に迷いこんでしまったのでした。早速、人間を珍しがり、恐れるサイバトロニアン達。またまた登場のグランダスが、ファンゾーン警部を踏み付けようとします。
喋り方からして、このグランダスは女性なのだろうか、それとも!?
いずれにせよ、その体躯とはかなりのギャップがあるので、もしかすると日本語版の遊び心というヤツかも知れません。
今にも踏み潰されそうなファンゾーン警部を、ラチェットがマグネットパワーで救います。
マグネットパワー、今回沢山登場しますよ。
マグネットパワーと言えば、「鋼鉄ジーグ」を思い出しますが、当時のトイ「マグネモ」もタカラ製でしたね。ヘッドマスターの発想は、この「マグネモ」の頭部が元だったと聞いた事があるような。
ラチェットはセンサーを取り出し、この辺りにオメガスプリームが居て、トランスワープをやめたのではないかと推測していました。が、オメガスプリーム探索はとりあえず先延ばしとし、久々のサイバトロン星を楽しむつもりなのです。早速「オイルを一杯やれる店」に行ってみますが…。
店には「危険防止対策の為、閉店」というインフォメーションが掲げられていて、楽しみにしていたラチェットは思わず憤慨します。
どうしてこのような事になったのか、ラチェットが疑問を抱くのにタイミングを合わせたかのように、センチネルの広報ビデオが流れ始めます。
「飲み屋」の閉店は、ディセプティコンのスパイを警戒し、危険な場所を閉鎖するというセンチネルの方針に従って行われた措置とのこと。どうやらセンチネルは、市民活動への統制を強化する事によって、ディセプティコンによる危険を排除する考えのようです。
そしてご本人、エリートガードの登場です。
センチネルは、ラチェットが勝手にサイバトロン星に帰ってきた事、そしてファンゾーン警部を連れてきた事を責めます。
逆にラチェットは、いたずらに恐怖を煽る宣伝を中止すべきだと責めます。
ラチェットはセンチネルに対してシンパシィも特別な感情も持ち合わせていないので、今回は会話が実にドライ。オプティマスのように感情の伴ったウェットな感覚でない為、物語が淡々と進んでいく印象があります。
ラチェットは、サイバトロン星に帰って来た目的が、オメガスプリームを探す事だと告げます。トランスワープの痕跡からして、オメガスプリームが近くに居ると断言するラチェット。その話を、センチネルは一笑に付すのでした。
しかし、いきなり出現するオメガスプリーム!
今回はセンチネルの誤解や狭量に関する尺はあまり割かれず、即座にセンチネルの思惑を裏切る事で、物語を進めていきます。これが実にスピーディで気持ちがいい。センチネルは気の毒ですが、これが彼のキャラクター性なので、仕方ない処でしょう。
なお、オメガスプリームの信号は嵐に妨害されていた為、具体的な位置情報をキャッチ出来なかったようです。
一方、オメガスプリームの中では、ラグナッツがしきりにメガトロンを賛美していました。
アイアンハイドの策により、オメガスプリームはランダムにトランスワープを繰り返すようになり、メガトロン達は宇宙の放浪者になってしまったわけですが、何とメガトロンはトランスワープを止める事に成功。しかも、オメガスプリームのロボットモードへのトランスフォームをも可能としたのです。
メガトロンというと、暴君といったイメージがあったりしますが、実はG1の頃から慎重な科学技術者としての一面があり、今回もテクニカルな部分での優秀さを垣間見せた格好になっています。
その時、通信が入り、ショックウェーブがオメガスプリームの最終アクセスコードを入手間近であると報告します。
ウルトラマグナスを襲撃した後、そのまま逃亡していたかと思いきや、しっかりスパイとして活動していたようです。ただし、ロングアームの姿を見る事は出来ませんが。
その頃、センチネルは、オメガスプリームを攻撃すべきだと上層部に進言していました。
この辺りから、センチネルの極端なタカ派が露呈し始めます。オプティマスが穏健派なので、完全な対比になっているわけですが、今回はオメガスプリームと縁の深いラチェットと絡ませる事で、多面的な対比を構成しています。
ラチェットはまず、実害的な面を挙げてオメガスプリーム攻撃を制止しようとします。それは、オメガスプリームが大量のエネルゴンを積載しているので、爆破すればサイバトロン星ごと吹っ飛ぶという警告でした。
そして、本音としてラチェットは、オメガスプリームは友達であり仲間。攻撃できないと言うのでした。
しかし、センチネルは、今にもラチェットに反逆者の汚名を着せようかという勢い。ここで、ファンゾーン警部がクシャミをしたのをきっかけに、ラチェットはセーフガードをマグネットパワーで吹っ飛ばし、脱出をはかります。
とりあえずこの場はラチェット達を泳がせたセンチネル。「エネルゴンを全てフォートレスマキシマスにまわせ」と、セーフガードの二人に指示します。要は、オメガスプリーム破壊の準備をしろという意味ですね。
「フォートレスマキシマス」というタームに反応する御同輩も多い筈。G1では「ヘッドマスターズ」に登場した超巨大トランスフォーマー。いわゆる海外版の「ヘッドマスターズ」である「ザ・リバース」にも登場しており、その巨大なトイは当時の少年の憧れでした。
センチネルの指示に疑問を感じるジャズ。彼はマンホール(?)の蓋が開いているのを発見します。
地球に始めて現れた頃から、ジャズは地球の風土や文化に興味を持っているそぶりを見せており、エリートガードの中でも非常にオプティマスのマインドに近い人物でした。今回もそのキャラクター性が存分に発揮されたと言っていいでしょう。
ラチェット達は、ここから逃げた模様。百万年以上前に封鎖された秘密の研究所に向かっていました。
二人が研究所に到着すると、その扉が空いているのに気付きます。
そこには、ウルトラマグナスのハンマーを持ったショックウェーブが…!
ハンマーを持つ事で、より禍々しさを増していて、カッコいいですね。
G1のショックウェーブは、かなり役人的な感覚のキャラクターであり、スタイルもマッシヴだったのですが、今回のショックウェーブは、特に正体を現してからというもの、より昆虫的なしなやかさを感じます。情報員ですが、より攻撃的な感じですね。
オメガスプリームの攻撃でオートボットは全滅すると嘯くショックウェーブ。ラチェットは思わず、最終アクセスコードの在り処は教えられない等と口走るのですが…。
逆にショックウェーブは、ラチェットの言葉からその在り処を悟り、せせら笑いつつ去って行ってしまいました。
一方その頃、パーセプターはセンチネルを詰問中でした。
評議会の決定を待つことなく、フォートレスマキシマスに殆どのエネルゴンをまわしたのは何故か、センチネルに説明を求めていました。
センチネルは、メガトロンの攻撃に備えていると返答しますが、ここでのセンチネルの態度は完全に評議会を疎ましく思っている雰囲気で、彼のふてぶてしさが極まった感があります。
センチネルの思惑通り、オメガスプリームに対する臨戦態勢をとるフォートレスマキシマス!
おお!正にフォートレスマキシマスですよ。やっぱりカッコいいですねぇ。それにしても、容赦ないセンチネルは、いつにも増して憎たらしいというより、何だか思慮が浅くて哀れです…。
一方、ディセプティコン側は割と余裕。最終アクセスコードへの通行証を手に入れたというショックウェーブに、メガトロンは笑みを浮かべていました。
この「通行証」、私は何かの比喩かと思っていたのですが、実は文字通りホントに「通行証」だったという(笑)。
ラチェットとファンゾーン警部は、どこから情報を仕入れたのか、調達屋の「ラトルトラップ」に会っていました。
ラチェットは、ラトルトラップにサイバトロン星中央病院の通行証を所望します。
このラトルトラップ、ビーストでの「ラットラップ(日本名ラットル)」がオリジン。今回、名前が「ラットラップ」と「ラットル」の合体になっていますな。声はオリジナルどおり山口勝平さん。既にジェットファイアーの声を担当されていますが、見事に「ラットルくん」になっているのが凄い。ちょっと卑屈な情報屋という雰囲気は、オリジナル(むしろ原語版)通りですね。
通行証を手に入れたラチェットでしたが、手に入れた通行証はニセモノ。そこにジャズがやって来ます。
ファンゾーン警部はジャズの尾行に前から気づいており、ジャズがラチェットを逮捕しに来たのではないと、自信たっぷりに言います。
ファンゾーン警部の優秀さをチラッと見せてしまう辺りが実にニクい!
本シリーズは人間の優秀さも愚かさも満遍なく、過不足なく描いていて、そういった面でも見応えのあるシリーズでしたね。トランスフォーマーシリーズではお馴染みといった処でしょうか。
さて、ジャズはサイバトロン星中央病院の通行証を、ラチェットに手渡します。センチネルの方針に疑問を持ったジャズは、ラチェット達の行動に賭けてみたということですね。ラチェットの思惑が通れば、オメガスプリームが起動して攻撃し始める事はない。そうなれば、サイバトロン星の危機はとりあえず去るのです。
遂に、アーシーと再会するラチェット。
しかし、そこには既にショックウェーブが。大した頭脳です。さすが長年スパイを務めてきただけの事はあります。
ラチェットはショックウェーブの虚を突くと、アーシーを連れ出しにかかります。直ちに追跡してくるショックウェーブ!
ところがラチェットの実力も大したもの。ウルトラマグナスを殺そうとするショックウェーブから、ハンマーを奪取してしまいます。
ここでのラチェットは、マグネットパワーを巧みに用いて相手の虚を突き、戦いを有利に進めるという、手練者として描かれています。G1における似たようなポジションのキャラに、カップ(日本名チャー)が居ますけど、彼は名物爺さんという感じでしたので、ラチェットの年長者としての凄さは際立っている感があります。
ハンマーを持ってウルトラマグナスの前に立つラチェットを見て、裏切り者だと誤解するのは、やっぱりセンチネル。
この早とちり振りが、センチネルを司令官の器と認め難い、最大の理由ではないかと。これに年長者ラチェットはとうとう声を荒らげ、「何を寝ぼけた事言うちょっとか!しっかりせんか!戦う相手が違うやろが!」と一喝!
このドサクサにまぎれて、ショックウェーブがアーシーを連れ去ってしまいました。
完全にセンチネルの落ち度。負い目を感じたのか、センチネルはフォートレスマキシマスでオメガスプリームを攻撃する指示を出します。直ちに開始される砲撃!
しかし、オメガスプリームはトランスワープによって消えてしまいました。
その後、「何と無茶なことをしてくれた」と評議会の喚問を受けるセンチネルの姿がありました。
センチネルは弁解していますが、その言動に迷いはなく、司令官としての自分に絶対の自信があるようです。ある意味潔いので、嫌味がないのです。
代わりに、アルファトライオンから「今日のヒーローは、ラチェットとこの人間だ。本当にありがとう」というフォローの言葉が。
これは効果抜群。アルファトライオンの威厳をも描出する、見事なシーンだったと言えるでしょう。
パーセプターは、アーシーの記憶が戻る事はないと言うのですが…。
一応、ラチェットもその言語に納得していましたが…。
地球への帰還の際、ハンマーを持ったまま去るラチェット。ウルトラマグナスが復活した時、自ら直接手渡すとしています。要するに、センチネルには渡せないと言っているわけです。
センチネルは、ラチェットを追いかけようとしますが、ジャズが立ちはだかります。
そう、ジャズも地球へ赴くのです。
スペースブリッジをくぐって地球にやって来たジャズは、「センチネルの部下はやめた」とラチェットに告げます。彼は、オプティマス達のチームに入ることに決めたのでした。
エリートガードの地位を捨てるという事は、あらゆる特権を法規するという事ですが、オプティマスのチームが為そうとしている事に、ジャズの信念が合致した結果の行動なのでしょう。
オメガスプリーム内部では、ショックウェーブが遂にメガトロンの元へ帰還。本来の姿に戻ります。
トイではオリジナルVer.として、このカラーリングでリリースされていますが、劇中でもちゃんと出ましたねぇ。ちなみに、G1のショックウェーブを彷彿させるカラーリングなのです。
そして、囚われたアーシー。
「ラチェット…」と呟いていますが、もしかして記憶が戻っている…!?
というわけで、次回は恐らく怒涛の展開。
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