「2010」に「人間トランスフォーマー」という話がありましたけど、そのアニメイテッド版とも言うべきエピソードです。ただし、「2010」では本当に人間になってしまうという、かなりとんでもない話だったのに対し、こちらは結構几帳面な組み立てによる、仮想空間でのお話。
ということで、「2010」に比べればインパクトは弱いかも知れませんが、ビジュアル面では最高。「2010」でも各キャラクターの特徴をうまく人間キャラクターに変換していましたが、今回のはそれ以上です。プロールだけ普段のホログラムと同じ姿というのも、仕掛けとしてバッチリであり、一目見てどれがどのキャラか分かるデザインが素晴らしいです。
初期編に登場したサウンドウェーブが、クライマックス近くのエピソードに登場するという意外性も手伝って、インパクトは十分。構成としては前後編の前編になっていますが、違和感を表現しつつ、高いテンションとテンポでもって疾走していくので、非常に満足度の高い一編になっています。
そのビジュアルインパクトをピックアップしてみました。
街はクリスマスムード。オプティマスはパトロール中、商品化されたサウンドウェーブが街のいたる所に存在することを、心配していました。
何故サウンドウェーブが巷に出回っているのかは、後に分かる仕掛け。ここでは、かつての脅威をサリ周辺の一部の人物しか知らないという点が重要です。
一瞬目を赤く光らせるサウンドウェーブ。ただならぬものを感じたオプティマスは、それを追跡し始めます。
しかし、取り逃がした上に、市民から注目されてしまう羽目に。オプティマスは追跡を諦めて基地へ。
基地では、オートボット達がサリからプレゼントをもらっていました。とはいえ、このプレゼントがサリからのものかどうかは不明なんですけど。
また、プレゼントを開封してはならないとサリが言っていたので、少なくともこのシーンはクリスマスイヴ以前ということでしょう。
皆が談笑する中、そのプレゼントの箱から飛び出したサウンドウェーブ。サウンドウェーブは、「チョコオイル」に何らかの仕掛けを施します。
絵面では、電流に似たビームを浴びせて沸騰させているように見えますが、後の展開からして、チョコオイルを変質させ、オートボットを睡眠に導く作用を持たせたようです。いわば、強い酒に変換したわけですね。
そうとは知らず、チョコオイルで乾杯するオートボット達。
飲みっぷりがいい感じ。オートボットには、口のないキャラクターがいないので、こういったシーンも違和感なく見ることが出来ます。
G1等では、割とマスクをした状態のキャラクターも多かったので、こんな「食事」シーンは殆どありませんでした。オプティマスプライムですら、マスクでしたからね。ちなみに、ビーストではオプティマスプライマルに口がありましたが、最初は凄く違和感がありました。今では、オプティマス系のキャラに口があるのも当たり前になりましたね。
チョコオイルを飲み干したオートボット達は、徐々に眠気を覚えはじめます。結局、サリが考えていたパーティは途中でお開きとなり、オートボット達は眠ってしまいました。
そういえば、トランスフォーマーの睡眠というのも、あんまり見たことがありませんねぇ。「アニメイテッド」のトランスフォーマーは、実に人間的です。
ところが、オプティマスが目覚めると、人間的どころか、人間そのものになっていたのです。
他のオートボット達も人間に...。
ラチェットが検査してみると、体組織は100%人間のもの。つまり、オートボット達はロボットの痕跡を残すことなく、人間そのものになってしまったのです。
動揺する仲間を尻目に、プロールは「こうなることをいつも想像し、夢見ていた。それが叶った」と感慨深げ。しかし、「だが、何かがおかしいである」とも感じており、この事態の異常性に対して、冷静な視点も持っていました。
例のサムライプロール編を経て、プロールが完成されたキャラクター性を発揮していますね。
自分たちの心が、人間の体に移されたのではないかと推測するオプティマス達。しかしそれは、強ちハズレではありませんが、正解ではありませんでした。
一方、サリはサムダック博士からプレゼントを受け取っていました。
一つはサウンドウェーブ。ただのおもちゃだとサムダック博士は言いますが、以前酷い目に遭ったサリは不満げ。
「パウエルを儲けさせる」といったサリの発言も有ることから、どうやらこのサウンドウェーブは、サムダック博士ではなく、パウエルが売り出しているものらしい。そこもサリに不満を抱かせるポイントでしょう。
このサリの態度は、以前ほどのエキセントリックさはないにしろ、基本的に「小さい頃」と変わっておらず、何だか安心してしまいます。
実はもう一つプレゼントが用意されていました。それは、ジェットパックに変形するバイク。サリは大喜びで装着して出掛けていきます。
その頃、人間として行動していたオプティマス達は、アイアンハイドの空腹を解消すべく、ハンバーガーショップで食事を楽しむ事に。
プロールは赤ちゃんをあやして満足感を得つつ、ロボットの姿ではこうは行かないと複雑な思いを抱いたり。そして、アイアンハイドはトイレも経験します(笑)。
彼らが談笑していると、そこにディセプティコンの大襲撃が!
たちまち街は戦場に。ビル火災から、果敢にも女性を助け出すオプティマス達。そして、プロールは超人的な体術でその女性の子どもを救出します。
超人的な体術とは、高所から子どもを抱えたままヒラリと飛び降りるというもの。実は、このシーンが後へのフックになっています。プロールは、ほぼ無意識にロボット時のイメージで(即ち、サイバー忍者として)行動しており、それがそのまま体術として現出したわけです。
そこに現れたイケメン・スタースクリーム!
スタースクリームに、かなわぬと思いつつも立ち向かうオプティマス達。
このシーンでは、二つの違和感を持たせています。
まず、スタースクリームが現れる事。クローン技術を持つ彼が復活するのは、それほど不自然ではありませんが、メガトロンと宇宙をさまよっている状態からは、いきなり単独での地球襲撃はあり得ないように思えるからです。また、クローン軍団には既に見限られているので、リーダーシップをとっているのにも違和感があります。
そして、先ほどのプロールの行動と、オプティマス達との能力に大きな開きがある事。全ては、この事態の綻びを導く為の「仕掛けられた違和感」です。これ、映画「マトリックス」にも通じる手法ですね。
一方、オートボットの基地は、既にレーザービークが潜入していました。
レーザービークは、G1では「コンドル」と呼ばれていたキャラクターで、サウンドウェーブの部下です。当時はマイクロカセットテープに変形する鳥型トランスフォーマーでしたが、今回はフライングVというギターに変形します。G1とは別の意味でクールですね。
そして、オプティマス達の目前では、驚愕すべき出来事が起こっていました。
それは、地球にサイバトロン星が接近し砲撃を開始するという、もうとんでもない画!
私は「ウルトラマンレオ」での、ウルトラの星が地球に接近してくるというエピソードを思い出しました。惑星接近のシチュエーションは、いつも緊張感を高めてくれます。
そして、サイバトロンから、メガトロンを始めとするディセプティコンが降り立ち、全面攻撃開始を宣言します。
若本さん、「ハイ、ポーズぅ」とか、ノリまくってますね。メガトロンって、敵ボスにも関わらず、意外に登場回数が少ないので、ここぞとばかりに発散している感があります(笑)。
人間になったオートボット達の始末は後回しにし、地球が滅びる様を彼らに見せつけるという、悪の親玉らしい姿勢を見せてくれるメガトロン。いいですねぇ。
しかし、オプティマス達は立ち上がります。実は、先のスタースクリーム戦で足を骨折していたのですが、骨折は幻。オートボット達は、この世界が現実ではない事に気付き始めていたのです。
まず、プロールの手刀が、メガトロンの腕が切り落とします!
そして、アイアンハイドの体当たりがブリッツウイングの足に穴をあけ、バンブルビーの「修正してやるっ!」がブリッツウィングに炸裂!
「修正してやるっ!」は、バンブルビーお得意のガンダムネタで、「Ζガンダム」の主人公の有名なセリフです。
人間オートボットに、次々と倒されるディセプティコン!
何とも痛快無比なシチュエーションです。
やがて、オプティマス達は、自分達がバーチャルリアリティの中に居ると気付くのでした。
一方、サリは基地の地下に辿り着き、そこでオプティマス達がサウンドウェーブの術中にはまっているのを目撃します。
異様な雰囲気が素晴らしい。
しかし、仮想空間の中のオプティマス達は、遂に事態を打破しはじめるのでした。
プロールの指南により、イメージする事でロボットの姿に戻るオートボット達!
そして、サリはサウンドウェーブと対決です。
ところが、サウンドウェーブはレーザービークで反撃!
サリを退けたサウンドウェーブは、オートボットの再プログラミングを開始します。
これは、オプティマス達をディセプティコン化する作戦でした。オートボットの青い目が、赤くなり...。
予告もナレーション以外は危機感抜群だったので、一体どうなるのか、期待が高まりますねぇ。
伝説のロディマスコンボイ、悲願のマスターピース化!
マスターピース・ロディマスコンボイ 超プッシュ拡散プロジェクト
20数年待った甲斐があるというもの。ホットロディマス、ロディマスコンボイの二形態を再現。さらに、ビークルモードもホットロディマスのホットロッドカーと、ロディマスコンボイのトレーラーの二形態を再現。つまり、一体で二度(四度?)おいしい、G1トランスフォーマーファン必携のアイテムです。
詳しい商品仕様は、こちらを。
2011年1月下旬発売予定。
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