いわゆる3rdシーズン開始三部作の最終編。
アメリカ版のトランスフォーマー・シリーズではよくある、「敵が行方不明になって終わる」というパターンが使われて、思わずニヤリ。このパターンで終わらせておくと、一旦は味方側に敵ボスの脅威が及ばない期間が生まれて「メデタシ」になれるし、後で再び敵ボスを来襲させる事が可能になるので、便利といえば便利です。
便利は便利なのですが、これは諸刃の剣でもあります。いわゆる「ツマンナイ」物語になってしまう危険も充分に孕んでいるのですが、そこはトランスフォーマー。実に手堅くまとめています。
面白い事に、地球の視点だけでみると、サリが暴走して、オメガスプリームが来襲するだけであり、オプティマス達がその対処に追われているだけ。しかし、サイバトロン星の視点で見ると、スペースブリッジは全て停止し、スパイの確保に追われ、エリートガードの一人(ブラー)は行方不明…と、結構大変な事になっています。
盛り上げという点では、サイバトロン星でのオートボットの危機的状況を、地球にも波及させるという手法が使われても良さそうですが、それをやらずとも、ラチェットの過去編を絡めて充分盛り上げてしまう手腕に脱帽なのでした。
というわけで、三部作最終編だけに素晴らしい盛り上がりですので、無駄話はなるべく慎もうと思います(笑)。
バンブルビーがサリに刺されて危機的状態に。前回はこんな衝撃シーンで終了しましたが、今回の冒頭は勿論その続き。
鍵はサリの胸にセットされたまま。ラチェットは、何とか自分の医療技術でバンブルビーを救おうと頑張っていますが、実は少しだけ迷いがあるようです。
バンブルビーの治療に手をつける前に、思わず過去を思い出してしまうラチェット。過去編では、当時オメガスプリームを治療する事が出来ず、眠らせるより仕方のなかった状況が描かれます。バンブルビーの治療が不可能かも知れないという思いが、この過去を想起させた事は、想像に難くありません。
オメガスプリームは激戦で傷つき、スパークが消えいくような状態。いわゆる瀕死状態でした。
「オートボットらしく守る事を私に教えてくれた。でも私のした事はディセプティコンのように破壊する事だった」とオメガスプリーム。ラチェットは、友達としてオートボットらしい道をオメガスプリームに示したようです。
「やるべき事をしたまでやが。それが納得出来ん事でもなぁ」とラチェットは言います。「私は納得出来ない」とオメガスプリーム。「おいも納得出来ん」とラチェット。トランスフォーマーの世界においても、戦争はかくも理不尽であるという事です。
満足な設備も時間も確保出来ないラチェットは、修理出来るようになるまで、オメガスプリームを眠らせるという選択をしました。
これにより、オメガスプリームは単なる貨物船となって、後にオプティマスのチームで運用されるに至ったのです。
そして現代、何とかバンブルビーの治療を開始したラチェットでしたが、近くでは未だにサリの暴走が続いています。
サリの鍵を抜けば、サリは助かる。そう気付いた彼等は早速行動を開始。オプティマスとアイアンハイドがサリの行く手を阻み、プロールが鍵を抜くという作戦を展開し、見事サリから鍵を抜く事に成功しました。
しかし、サリの暴走が止まる気配はありません。
この事と、後のシーンを考え合わせると、サリの暴走に鍵は関係しておらず、サリが性急なアップグレードを行った事による歪みが、一気にサリの制御系を混乱に陥れたものと推測出来ます。
その間にもバンブルビーの容態はどんどん悪化。遂にラチェットも匙を投げてしまい、サリの鍵が必要だとオプティマスに伝えます。
プロールが鍵をラチェットの元へ急いで持ってきたものの、鍵のパワーはサリのアップグレードで既に尽きていたのでした。
憤慨するラチェット。しかしプロールは「鍵など必要ない筈。ラチェットなら、治せるである」と確信を伴なって励ますのでした。
ここでようやく前々回、前回のラチェットの発言にリンケージが成立して来ました。サリの鍵がなくとも、ラチェットは優秀な医師として仲間を救う事が出来る。しかし、それはラチェットの辛い過去の積み重ねがあってこそなのです。
サリの暴走はエスカレート。サリが触れるものは次々と爆発してしまう有様で、サリが何とかそれを我慢しても、蓄積したエネルギー波が周囲を一気に破壊してしまうなど、もはや手の付けられない状態になっています。
一方、ラチェット懸命の応急処置が的確に功を奏し、バンブルビーは一命を取り留める事が出来ました。
応急処置とはいえ、軽口をきけるようになる程の回復を見せていますから、ラチェットの腕は相当なものですね。
結局、オプティマスはサリを止めることが出来ず、最終手段としてラチェットの電磁パルスを用いる事を考えるのでした。
確かに、電磁パルスを使えばサリを止める事が可能ですが、半分有機生命体であるサリに使用して、安全であるかどうかは未知数。ラチェットはさすがに逡巡します。
しかし、サリは既に覚悟を決めているというか、至極楽観的というか、電磁パルスの使用をラチェットに促すのです。
結局、ラチェットは電磁パルスを使ってサリを止めます。上の画像、分かり難い構図ですけど、これでも最良の瞬間をキャプチャしたつもり。動画だと全く問題ありません。
さて、その頃サイバトロン星では…。
メトロフレックス(英名:メトロプレックス)だ(政宗一成氏風に)!
メトロフレックスは、G1に登場した「スクランブルシティ」で、都市モード、移動要塞モード、ロボットモードの三つのモードを持つ超巨大トランスフォーマーです。当時、トイを買ってもらって遊んでましたねぇ。
当時のデザインと殆ど同じですが、今回はいわゆるオートボットの司令本部という扱いになっているようです。
ロングアームがやって来て、クリフジャンパーに青い塊を処分するよう命じています。
この塊、色からしてブラーですね…。哀れ、スクラップになってしまったのでした。スパークが無事なら良いのですが、これだと無理かも知れませんねぇ。結構な衝撃シーンです。
ロングアームはショックウェーブとなり、メガトロンとの通信を開始します。本部で堂々と通信している大胆不敵さが空恐ろしい感じです。
その通信の内容はというと、まずメガトロンの計画は失敗。スペースブリッジのネットワークは停止され、ロングアームの正体もバレそうだという事。メガトロンは、その二つの問題を一気に解決しようと言います。
まず、スペースブリッジが機能しない点については、オメガスプリームのトランスワープを使えば解決。そして、ショックウェーブの正体暴露に関しては、オプティマスのチームを殲滅すれば解決というわけ。
メガトロンは、手始めにストライカ達に撤退命令を下し、一旦引いたと思わせます。
さて、その頃オプティマスは、サムダック博士を基地に招いていました。
オプティマス曰く、「チーム」の一員として迎え入れるという気持ちであるらしい。ここに来て、ようやく人間の協力者を正式に得た事になるかと。
そうこうするうちに、バンブルビーはまたトランスワープしかけますが、アイアンハイドがプラズマダイナミックスラスターを取り出してスイッチOFF。
これで、バンブルビーがあちこち勝手にトランスワープする心配は消えました。このシーンは、バンブルビー個人が置かれた状況を完了させると共に、しっかり後への伏線になっているんですよね。実に巧い構成だと思います。
しかも、トランスワープしそうになったという事が、そのままオメガスプリームがトランスワープを開始した事と繋がっていて、オプティマス達の前にオメガスプリームが襲来して来るという、正に数珠つなぎとなったシーンが矢継ぎ早に繰り出される、凄い展開になっているのです。
オメガスプリームがロボットモードにトランスフォームすると、その顔はメガトロンの顔に!
意思を奪われるという状態を端的に示す名演出ですね。
オメガスプリームを救うべく、プロールが内部からアクセスしてメガトロンから解放する作戦を提案。サイバーニンジャの技を使えば、オメガスプリームの意思に直接アクセスする事が出来ると言います。
脛部より侵入し中枢部(?)と移動するのですが、意外に到達が早く、コントロールパネルが一体どこにあるのかは、よく分かりません(笑)。
オメガスプリームの意識にアクセスするプロール。しかし、そこにはオメガスプリームの意思を乗っ取ったメガトロンが。仮想メガトロンは仮想プロールに襲いかかります。
紫のメガトロンが、G1「ザ・ムービー」におけるガルバトロン誕生シーンを思わせて嬉しいのですが、こうした仮想空間上でのバトルというのも、トランスフォーマーでは違和感がありませんね。
プロールは、メガトロンを倒すのではなく、あくまでオメガスプリームに呼び掛ける形をとり、その結果、オメガスプリームは一旦意識を取り戻す事に成功します。
顔が元に戻る事により、意思を取り戻したのが分かりやすく描写されています。やっぱりこの処理は巧いですね!
オメガスプリーム内部では、今度はオプティマスとメガトロンが戦闘状態に突入。
挑発するオプティマスが、すぐに敗色濃くなってしまうとか、ちょっと笑える部分もあったり。それでも、メガトロンをして「やるな」と言わしめており、オプティマス自身の成長振りも窺うことが出来ます。
ここで、意外な事にスタースクリームがオメガスプリームを乗っ取ってしまいます。
オメガスプリームは、スタースクリームの顔に…。
やってくれますね、スタースクリーム!
勿論、オートボット殲滅が目的ではなく、メガトロンを出し抜いてやろうという根性が発端ですけど、物語を引っ掻き回すという点において、完璧な働きをしていますよ。
オプティマスはやむを得ず、サリの助力を要請しますが、ラチェットは拒否して自らがオメガスプリームの前に立ちはだかります。
スタースクリームに意思を乗っ取られたオメガスプリームですが、ラチェットの呼び掛けに呼応して意思を取り戻します。
「頼む。私を止めてくれ。もう一度、眠りに就きたい」とオメガスプリーム。しかしラチェットは、「今日は、これを一度使ったとよ。もう使いたくなか。それは、勘弁してくれ」と電磁パルスの使用を躊躇します。
「やるべき事をするまでだ。例えそれが納得いかない事でも」
オメガスプリームは、かつてのラチェットの言葉を使って、彼を説得するのでした。
やむを得ず、電磁パルスを発射するラチェット!
ところが、オメガスプリームのその巨躯に、外部からの電磁パルスは通用しませんでした。
この機に乗じ、サイバトロン星に侵攻して一気に攻略すると豪語するスタースクリーム。この危機的状態に際して、バンブルビーとアイアンハイドは、プラズマダイナミックスラスターを用いて、宇宙のあちこちにワープさせ、サイバトロン星に到達出来ないようにする事を思いつきます。
見事に伏線が繋がりました。
飛び立ったオメガスプリームに飛び移ったオプティマスが、プラズマダイナミックスラスターを投げ込みます。
この作戦は図にあたり、一度はオメガスプリームのトランスワープによってサイバトロン星に到達出来たものの、すぐに別の場所にワープを繰り返す羽目になってしまいます。
その頃、ウルトラマグナスは事態を憂慮し、直ちにスパイの洗い出しを開始。まずは手始めに、ワスプの連行を指示します。
アルファートリン(英名:アルファトライオン)が居る!
モブキャラがマニア心をくすぐるので、全く油断できませんな。
G1に登場したアルファートリンは、オートボットの長老的存在。あるエピソードで神と同一視されるコンピュータ・ベクターシグマと融合してしまいますが、その後もその存在はオートボット達のアイコンとなっています。
多分アニメイテッドでは、単なるモブキャラなんでしょうけど…。
続いて、オプティマスとの連絡をとる必要があると言うウルトラマグナス。ロングアームは慌てて、オプティマスとの連絡は安全のために自分を通して欲しいと進言。
ロングアームは、オプティマスのチームが全滅すると踏んで、堂々と正体を明かしてしまいましたので、今連絡を取られるとマズい事になるわけです。ブラーがいない今、ロングアームの正体を知るのは、オプティマス達だけです。
にしても、クールなロングアームの慌てっぷりが凄い。計画が色々と狂ってきたので、彼も相当焦っている様子が窺えます。
とりあえず静けさを取り戻した地球。
ラチェットの話を素直に効いていれば良かったというサリ。
人間態でも目は青い状態なんですね。オートボットに近い存在になったという証左ですかね?
皆、ラチェットの腕の確かさを再確認したいうところで大団円。いいお話でした。
ところで今回、予告が凄まじいインパクトでした。とにかく物真似が激似!
「日曜洋画劇場」にはシビれました(笑)。
伝説のロディマスコンボイ、悲願のマスターピース化!
マスターピース・ロディマスコンボイ 超プッシュ拡散プロジェクト
20数年待った甲斐があるというもの。ホットロディマス、ロディマスコンボイの二形態を再現。さらに、ビークルモードもホットロディマスのホットロッドカーと、ロディマスコンボイのトレーラーの二形態を再現。つまり、一体で二度(四度?)おいしい、G1トランスフォーマーファン必携のアイテムです。
詳しい商品仕様は、こちらを。
2011年1月下旬発売予定。
ナシッドストーム
ブラーの事についてですが、
実はスパークは生きてるらしいです。ま、真実は分かりませんが。
(※噂です。嘘かも知れません。)
SirMiles
確か、アメリカのファンの間で、そういった解釈があるとかないとか…。
もしかしたら、第4シーズンでの復活が意図されていたのかも知れませんね。