サリがアップグレードするお話。極端に言えば、ホントに「それだけ」なんですけど、これは、前回と次回を含めて三話連続エピソードという構成故に、こんな雰囲気になっているわけです。
真ん中のエピソードらしく、前回に続いてラチェットの過去の断片が挿入されたり、スペースブリッジを巡る動きが細かく描写されたり。いわば殆ど大勢に関する動きに決着が付かないという、実に中途半端な状態。
しかしながら、マスターソンの一件は解決し、サリとサムダック博士の間の溝が解消されるという、一つの着地点はきちんと描かれているので、一応一つのエピソードとして成立しているのではないでしょうか。ちなみに、この「親子」の仲が元通りになる感覚は、色々な示唆に富んでいると感じます。
細かい描写が沢山重なるので、今回は実にまとめにくいのですが、もうスッパリ、サラリと時系列で流していきます。
前回の続き。
オプティマスは、サリとサムダック博士を守るべく、スタースクリームのボディを操るヘッドマスターとの戦闘を繰り広げます。
この戦闘が、飛び道具を駆使して戦うのではなく、完全に肉弾戦系。これぞ、トランスフォーマーの魅力です。
G1当時はリアルロボット全盛期で、殴り合いを展開するような戦闘の多いトランスフォーマーは、色々と揶揄されていましたけど、これぞ当時は忘れ去られそうになっていたロボットプロレスの醍醐味であり、現在では、その良さを理解出来る人口も多くなってきたように感じます。というより、今はリアルロボットでもプロレスやってますもんね。
戦いの中、サムダック博士は、必死にサリをマスターソンから庇います。
サリを娘として大切に思い、「愛してるんだ!」と叫ぶサムダック博士。この言葉と行動に突き動かされたサリは、「父親」を守るべく、自分の持つ特殊能力を行使します。
まだ威力が弱いながらも、ヘッドマスターを威嚇するには充分でした。
しっかりとハグ状態の親子。
サリは、地球人ではありません。その意味で言えば、サムダック博士は里親に近いのですが、後で分かるように、単なる里親とは更に事情を異にします。この複雑で微妙なポジションこそが、今回の白眉たる要素でしょう。この辺りについては、後で触れます。
一方、トランスフォームを駆使してヘッドマスターを翻弄するオプティマス。しかし、元々高い戦闘力を持つスタースクリームのボディだけあって、次第に苦戦を強いられ始めます。
そこでオプティマス、マスターソンを挑発する事に。
その挑発とは、「トランスフォームしてみろ」という内容。まんまと乗ったマスターソンは、トランスフォーム!
しかし、頭がデカかった!
自滅したマスターソンは、今度こそ逮捕されてしまいました。ここで、ヘッドマスターの件は落着。
落ち着いた所で、プロールが登場。サリの出自についての調査結果を報告しに来たのでした。
プロールの報告によれば、サムダック博士が触れたという金属生命体は、プロトフォームではないかとの事。「スパークを宿す前の、我々の基になるものだよ」とオプティマスが説明していますが、この「プロトフォーム」という概念自体は、スパークと共に「ビーストウォーズ」より導入されたもので、近年のトランスフォーマー・サーガでは、もはや必須とも言える概念になっています。
ただし、このプロトフォームの概念は曖昧で、地球で組み立てられたロボットもトランスフォーマーになれる事から、あくまでサイバトロニアンの基という意味合いが強いものと思われます。ちなみに、「ビースト」でのプロトフォームは、サイバトロン星の先住民族であるオートボットやディセプティコンの誕生経緯には当てはまらず、後進のマクシマルとプレダコンの原型だという印象が強いです。
今回のプロトフォームには、ビースト系の概念が色濃く投影されていて、それがサリの誕生につながっています。
プロールによれば、プロトフォームが、偶然サムダック博士のDNAと合体した事によって、サリが誕生したのではないかと推測しています。これこそ、ビースト系におけるプロトフォームの振る舞いそのものです。
「じゃあ、私は半分サイバトロン星の人ってこと?」とサリ。
顔を曇らせるサムダック博士。
ところが、サムダック博士の心配とは裏腹に、サリの反応は、「最高!あなた達と従兄妹だ!」という、実にカラッとしたもの。
サリのキャラクター性を最もよく表現した一幕だと思います。
ここで、サリとサムダック博士の関係について触れてみましょう。
先程、里親という表現をしましたが、実は、前述のセリフ「あなた達と従兄妹だ」が示すように、サムダック博士のDNAとサイバトロニアンの特徴を併せ持つのがサリです。
つまり、父母のDNAのハイブリッドが子どもだという理からすれば、サムダック博士の子どもだと言っても全く差し支えない。ただ単に、誕生の経緯が特殊だっただけで、サリは正真正銘サムダック博士の娘だということになります。
サリにとってのネックは、自分が生物学的な成長を遂げて来たわけではない(かも知れない)ということです。しかし、サリのあっけらかんとしたキャラクターと、サムダック博士の父性愛によって、そのネックは殆ど払拭されてしまったのではないでしょうか。
さて、周囲でも様々な動きがあります。
アイアンハイドは先のヘッドマスター戦で負傷、バンブルビーは行方不明。ここまでは前回に詳細が描かれていますが、ようやくラチェットがこの事態に気付きます。
一方宇宙では、オメガスプリームがトランスワープの後、眠ってしまうという事態に。しかも、メガトロンが企図していたサイバトロン星到達は果たされないままです。メガトロンは、オートボット最強の武器であるオメガスプリームをコントロールする野望に燃えており、サイバトロン星に到達するより先に、その目的を果たそうと知略を巡らせ始めます。
さらにサイバトロン星での出来事。
ウルトラマグナスが緊急措置としてスペースブリッジの運用を禁止した為、ロングアーム(=ショックウェーブ)は、やや慌て気味。そこに、宇宙を駆けまわっていたブラーが戻って来ます。
ブラーは、ディセプティコンのスパイに特定したショックウェーブの音声と、ワスプの音声を照合した処、一致しなかった事を報告。他のオートボットの誰かと照合すれば、必ずスパイが見つかるのではないかと進言します。
しかし、情報部のロングアーム長官こそがディセプティコンのスパイ。
そうとは知らないブラーを、ロングアームは無慈悲に消そうとするのです。
哀れ、ブラーはトラップにかかり、スクラップに…?
まさかここで退場じゃないですよね。う~ん、どうも退場ということらしいのですが…?
その頃地球では、アイアンハイドの治療に勤しむラチェットを差し置き、鍵で治癒してしまうサリの姿がありました。
ラチェットは長い間、自分流のやり方で仲間たちを治療してきた自負があり、サリの鍵の行使には少々疑問を感じている様子。はっきりとは言いませんが、ラチェットの胸の内には、仲間たちも、サリの鍵をアテにして安易に危険な目にあっているのではないかという疑念がありそうです。
ラチェットはサリを、「新しい生き方を、時間をかけて学べばよか」と諭します。
絶対的に戦力不足であるオートボットにとって、サリと彼女の持つ鍵は必要な力なのですが、それでいいのかという疑問が、ラチェットの中にあるようです。
また、サリを導くような言動は、彼の過去に関係しているのでした。
ここで話はラチェットの過去へ。
アーシーは、実はオメガスプリームのアクセスコードを持っていた為に、ディセプティコンに狙われたのでした。記憶を失ったアーシーは、それでもアクセスコードの持つ意味と有用性を深層で認識していたらしく、最も安全な機会である「手術中」を待って、ラチェットにアクセスコードを託したのでした。前回、ラチェットの頭部に向けて照射されたビームには、アクセスコードの伝達作用があったのです。
アーシーは情報部に入る前は教師だった為、オメガスプリームの教師役をする予定だったらしい。オメガスプリームは、知能には優れるが、戦う事に疑問を持たないよう設計されたようで、正しく導く者が必要だったのです。
アーシーが行動不能になった今、それが出来るのはアクセスコードを継承したラチェットのみというわけ。
ここでは、オメガ計画の中枢技術者として、ホイルジャックとパーセプターが登場!
どちらもG1に優秀な技術者として登場したキャラクターで、デザインも殆ど同じ。ただし、彼等は真面目だが割と陽気な科学者といった風情だったので、今回のパーセプターのロボットボイスにはビックリ。無機的でちょっとした怖さすら感じさせます。
ちなみにG1では、ホイルジャックはランチア・ストラトスに、パーセプターは顕微鏡にトランスフォームしていました。
さて、決心したラチェットは、オメガスプリームを起動させます。
「私はオメガスプリーム。あなたの命令通り動く。私はあなたの生徒」
「おいはラチェット。おいは、君の友達」
教師ではなく「友達」を名乗るラチェットがいいですねぇ。
ラチェットがボーッとしている間に、バンブルビーの話題へ。
アイアンハイドは、バンブルビーが何も言わずに突然失踪するようなヤツではないと主張。バンブルビーが、プラズマダイナミックスラスターを持っていた事から、たまたまトランスワープ波をキャッチして、宇宙に飛ばされたのではないかと推測します。
アイアンハイドは、追跡装置を修理できれば居場所を調べる事が出来ると言うのですが…。
早速ラチェットが追跡装置の「診断」を始めましたが、サリが鍵ですぐに追跡装置を蘇らせてしまいます。
「ラチェット、仕事が遅い」とサリ。溜息をつくラチェット…。
で、この辺りから舞台があっちこっちに飛びつつ、話が繋がるのでややこしいのですが。
まず、メガトロンは電子手錠でオメガスプリームを再起動し、自由に操ろうとしています。ところが、オメガスプリームの周囲にモンスターが次々と現れ、危機を察知したオメガスプリームは、トランスワープに入ります。
続いて、バンブルビーが、オメガスプリームの飛び立った跡の宙域にトランスワープしてきます。要するに、オメガスプリームのトランスワープの航跡を追うような形でワープを繰り返しているわけですね。
それを、地球に居るアイアンハイドがキャッチ。バンブルビーを地球にワープさせることに成功…の筈が、現れたのはオメガスプリームに群がったあのモンスターでした。
しかし、アイアンハイドの追跡は実は正しく、モンスターの体内にバンブルビーの反応があるのでした。
ラチェットは電磁パルスを装備して現れ、「おいはこのチームのドクターだ。そして、400万年の間、これを使って治療を続けてきた。どうだ、こん事に文句のある奴はおるか」と意気込みを披露します。この口上、文脈的にかなり分かりにくい印象があります。きっと、サリを牽制(勿論保護者的な目線で)しての発言であり、サリの鍵に頼ることなく、自分の身を大事にせよというメッセージなのでしょうけど、ちょっと分かりにくいですよね。
サリは自分もトランスフォーマーだから戦えると張り切っていますが、結局は残るように言われ、子供扱いされていると感じるサリは、鍵によるアップグレードを試みます。
何と、サリのアップグレードは成功。身の丈はティーンエイジャーに成長し、戦闘モードへとトランスフォームしました。
その頃、なおメガトロンは電子手錠を用いて、オメガスプリームを操ろうと試みていました。スタースクリームはそれを茶化し、「ヘヘ、頑張るねぇ穴子さん」などと発言(笑)。
勿論、「穴子さん」とは「サザエさん」に登場するキャラクター。メガトロン役の若本規夫さんは、その穴子さん役として有名なので、それを茶化したギャグですね。以前、メガトロンがサムダック博士を「フグ田くん」と呼んで自らネタにしていましたが、ここに来て自分以外のキャラクターからネタにされてしまいました。
悪態をつくスタースクリームを鷲掴みにしたメガトロンは、その額に埋め込まれているオールスパークの欠片に注目。スタースクリームの頭を電子手錠に接触させて、遂にオメガスプリームを操る事に成功するのでした。
さて、地球ではアップグレードしたサリの活躍開始です。
その戦闘能力はなかなかのもので、光る手刀を駆使したり、素早い動きで相手を翻弄したり。ハンマーを形成して相手の装甲を叩き割る事も!
遂に、バンブルビーは救助されました。痛快そのものです。
驚くバンブルビー達。サリはアップグレードされた自らの能力に得意げです。ちょっと等身が変わっているのが分かりますね。
しかし、ここでハッピーエンドとならないのが絶妙なのです。
サリは突如、自分の行動を制御出来なくなり、暴走しはじめます。ここで、ラチェットの危惧が顕在化したわけですね。サリは、必然とはいえ安易に鍵を使って自らを進化させました。そこにラチェットのような深い思慮は介入しないので、このような事態になってしまった。そういう類のテーマ性が感じられます。
そして、サリの一番の友達を自負するバンブルビーが、制止しようとするものの、何とサリの凶刃がバンブルビーを…!
致命的なダメージを負ったバンブルビーは、その場に倒れてしまい…。
予告では、バンブルビー死すということになっていました(笑)が、果たして!?
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