私、ブラックアラクニア好きなんですよねぇ。というか、柚ちゃんの暴走した色気が好きなんですけど(笑)。
ビースト時代は、当初ちょっと硬い感じだったんですよ。そりゃそうですよね、ビーストが声優デビューだったんですから。ところが、「浮島のデスマッチ」という前後編から、一気にブレイクスルーした感じでしたね。アドリブも全開で。
で、ブラックアラクニア(ブラックウィドー)って、ビーストモードがクモなので、結構気持ち悪いキャラなんです、実際。特に「リターンズ」なんか凄まじい事になっているんですが、それでも、結構愛すべきキャラになっているのは、気持ち悪い事をネタにしつつ、何故か可愛いセクシーキャラとして売り出そうとする、柚ちゃんのアドリブが効いているからなんですよね。という事で、このキャラクターは柚ちゃんと一体で愛着があるわけです。
さて、今回はそのブラックアラクニアが、色気を武器にダイノボット達を掌の上で転がし、メルトダウンを脱獄させ、メルトダウンの持つ遺伝子工学の技術をフル活用して、自らのクモ毒を除去しようするお話。一貫して「クモ毒除去」に突っ走る彼女ですが、このブレの無さが秀逸だと思います。
ダイノボットの微妙なポジションも浮き彫りになる今回、やっぱり完成度は高いですよ。では、詳しい事は続きの方で。
サリにも、しっかり一貫性があって、パウエルに乗っ取られたサムダック社を、何とか取り戻したいという思いを抱いています。
今回の冒頭は、その思いがきっかけとなり、サリとバンブルビーがメルトダウンの元を訪れるというシーン。
何故、サリがメルトダウンの元を訪れたかというと、メルトダウン自身もパウエルに資金提供を打ち切られ、怪物化した経緯があるからです。つまり、メルトダウンはパウエルの弱みを握っているかも知れないわけで、サリ達はそれを探りに来たのでした。
残念ながら、メルトダウンは「逃亡の方法を考えてくれたら、問題はすべて融け失せる」などと言い、自分がこの特殊ケージから脱出する事を最優先事項としていました。ま、当然と言えば当然でしょうけど。勿論、サリとバンブルビーは聞き入れられる筈もなく、この件に関しては諦めてしまいます。
この様子を監視カメラで見ていたのは、パウエル。
「サリとバンブルビーめ、実に目障りだ。もう少し厳しく監視をしよう」と、呟いており、サリに対する敵意は相当なものだという事が分かりますね。
実は私、メルトダウンがパウエルと関わっていた事を完全に失念していたんですよ。何故思い出したかというと、DVDの2巻を見たからなんですね(笑)。
当時は、こんな重要なキャラクターになるとは思ってもみなかったので…。
その直後、メルトダウンの望みはすぐに叶うことになりました。
何と、ダイノボットが現れてメルトダウンを特殊ケージごと連れ去り、島へ持って行ってしまったのです。特殊ケージが、何だかLEGOみたいで微笑ましいんですけど。
グリムロックは、「おネエさんの命令だ。お前、一緒に来い」と告げており、この「おネエさん」こそが、ブラックアラクニアでした。
ブラックアラクニアはすっかりグリムロック達を手懐けていて、特に純真なグリムロックを弄んでいるように見えます。悪女ですねぇ。痺れますねぇ。
これまでのブラックアラクニアは、ディセプティコンである事に対して若干の迷いがあるような印象でしたが、今回は結構悪女っぷりが際立っていて、正に「欺瞞(deception)」を生業とするディセプティコンならではといった感じになっています。
実は、ブラックアラクニアは先の一戦の後、ダイノボットの島へ流れ着いており、その折にダイノボット達によって助けられていました。島にはメルトダウンの研究データが残されており、それを閲覧したブラックアラクニアは、雑多なデータの中に、人間を改造する研究に関するデータを発見し、それを応用すれば、自分のクモの毒を取り除く技術に繋がると確信したわけです。
さて、このメルトダウン脱獄事件は、すぐさまファンゾーン警部のあずかり知る処となりました。
ファンゾーン警部、パウエルから事情を聴取していますが、監視カメラの映像を元に、サリとバンブルビーこそが脱獄の幇助者だと主張する彼を、あんまり信用していないようです。というより、ファンゾーン警部はパウエルの事が相当お嫌いなご様子。まぁ、ヘッドマスターの件で色々ありましたからねぇ。
警察の耳に入ったということは、遅かれ早かれオートボット達の耳にも入るわけで。
メルトダウンがサムダック博士を狙っているのではないかと、早口で持論をまくし立てるバンブルビー。それが煩わしくてしょうがないのは、プロールです。
プロールはバンブルビーに、10分黙っていられたら最高級オイルをあげると言います。
この一言、ブラックアラクニア関連で割と殺伐としている(?)本編に潤いを与えていて、バンブルビーが劇中何度も挑戦しながら、なかなか達成できない様子を描いて笑わせてくれます。
プロールが監視カメラの映像を分析し、ダイノボットの仕業だと突き止めると、オプティマス、プロール、バンブルビーのチームは、ダイノボットの島へ早速出掛けて行きます。
なお、今回はラチェットとアイアンハイドは全然出番がなく、ディセプティコン側はブラックアラクニア以外全く出演しません。
さて、ダイノボットの島へやって来た三人でしたが、ブラックアラクニアはオプティマスの性格や行動パターンを熟知しているからか、バンブルビーとプロールが次々と彼女の罠にかかり、利用されてしまいます。
バンブルビーとプロールは、捉えられてクモ毒を注入されてしまい、二時間以内に解毒剤を与えなければならない状態に。
ブラックアラクニアは、人質にタイムリミットを設けて巧みに利用し、オプティマスとグリムロックに「遺伝子改造マシン」を取ってくるよう命じます。
この遺伝子改造マシンとは、メルトダウンが研究に使用していた装置であり、ブラックアラクニアのクモ毒除去に必要なガジェットです。
当然、オプティマスは取引に応じる気はなく、毅然とした態度で解毒剤を渡すよう告げるのですが、ブラックアラクニアはそれも計算済み。グリムロックの嫉妬心を煽ってオプティマスと激突させ、半ば無理矢理に行動開始へ。
グリムロックが恐竜モードで街を蹂躙するなど、色々あったものの、オプティマスはパウエルの処へ。
オプティマスもパウエルに対しては酷いもので、グリムロックが半ば暴力に訴えているのを、見て見ぬ振り(笑)。
グリムロックはこんな感じでパウエルを脅し、マシンを入手します。
これが入手したマシン。
プロールとバンブルビーを助けたいオプティマスは、すぐにメルトダウンの元へやって来ますが、事情はオプティマスはおろか、ブラックアラクニアすらも予想していない方向に。
まず、オプティマスとグリムロックは、メルトダウンの作り出した怪物に襲撃され、マシンを奪取されます。
ブラックアラクニアを拘束するメルトダウン。彼は、ブラックアラクニアのクモ毒を取り除くのではなく、逆にオートボットの回路の方を取り除く事を計画していたのです!
メルトダウンの夢は、トランスフォームする生き物を作る事。それが叶うとあって大喜びです。
一方、オプティマスとグリムロックは襲いかかる怪物と戦っていました。しかし、頭に血が完全に上ったグリムロックは、島が燃えるのも構わず戦い始め、辺り一面はたちまち火の海に…。
このグリムロックの激情っぷりは、G1から観続けた身としては結構新鮮。
G1のグリムロックは、女性に恋慕するような事はなく、当初はひたすら力を希求する粗暴で純粋なキャラクターでした。
ただし、2010では単純な思考回路を持ったコメディリリーフとして、愛嬌のあるキャラクターに変化。いずれもアニメイテッドのグリムロックとは異なる像を持っています。
なお、ビーストにおけるダイノボットは、このグリムロックの傍系ではあるものの、より高度で奸智に長けた頭脳を持ち、凶暴ではありながらも求道者のような趣がありました。
つまりは、アニメイテッドにおけるグリムロックは、G1を元にしながら、より感情豊かなキャラクターに仕上げられたという事になります。しかも、オートボットには明確に属していないというスタンスが、より特殊性を高めていますね。
さて、一方その間にも、ブラックアラクニアに対しての処置は継続されていました。
苦悶するブラックアラクニア。ビーストでも、メタルスになる際に自らを実験台にしたりと、こういうシーンが妙にピッタリだったり。
外では、怪物を撃退して我に帰ったグリムロックが、辺り一面火の海状態に大慌て。オプティマスは、すぐにウルトラスプレーで消火します。
アニメイテッドのオプティマスが消防車である事を、たまに思い出させてくれますな。
そして、ブラックアラクニアの悲鳴を聞きつけ、オプティマスはすぐさま駆けつけます。
メルトダウンの企みを阻止すべく、オプティマスは遺伝子改造マシンの奪取へ。メルトダウンの溶解攻撃に苦戦しつつも、何とか装置からの取り外しには成功。ところが、再びマシンはメルトダウンの手に。ところが…。
遺伝子改造マシンに触れた途端、メルトダウンは、溶けてしまいます。
これに関しては説明が皆無ですけど、メルトダウンは液状の生命体なので、マシンのコアとなる機構に直接届いて(触れて)しまい、かろうじて人間の形を保っていた形質保存に関する機能が変質して、ただの液体になってしまったのだと思います。
また、メルトダウンは、バンブルビーの装甲の一部と特性ステロイドを混合した液体を浴びた変異体なので、オートボットの要素を取り除かれて、ただのステロイドになってしまったという可能性もありますね。
オプティマスはブラックアラクニアを救出。この時、オプティマスの目には、ブラックアラクニアがエリータ1に見えていた事でしょう。ただし、「ブラックアラクニア」という名前をちゃんと呼んでいますので、オプティマスはあくまで冷静なのがGood。
冷静でないのがグリムロック(笑)。オプティマスとブラックアラクニアが親密なのには、耐えられない様子です。
ブラックアラクニアは、そんなグリムロックの心情を良く把握しており、わざとオプティマスを誘惑(?)し、グリムロックの嫉妬を煽りまくります。
頭に来て暴れ始めたグリムロック!その騒動の中、ブラックアラクニアはまんまと逃げおおせます。
ただ、オプティマスはあくまで冷静。ブラックアラクニアに立腹する事もなく…。
しかし、プロールとバンブルビーを助けられなかったという後悔の念は、沸々と心に沸き上がるのです。グリムロックに、「君は騙されていた」と説教するオプティマスの姿には、遣り場のない静かな怒りが宿っているように見えます。
そんなオプティマスが、プロールとバンブルビーの元に戻って来ると、そこには、ブラックアラクニアの解毒剤が…。
ブラックアラクニアは「約束を守った」のでした。
こんな処に、彼女のオートボットとしての面が残存しているようです。今回は徹底的に悪女的な振る舞いをしていましたが、最後の最後でエリータ1の影を見せて去って行きました。オプティマスにとっては、かなり辛い出来事なのではなかろうか。彼の心情は察するに余りあります。
ところで、二時間くらい気絶していたので、バンブルビーは10分以上黙っていられたわけです。プロールに一生懸命最高級オイルを所望するバンブルビーが、空気読んでなくていい感じ。この「オチ」がなければ、随分重く暗い終わり方でしたね。
ただ、このブラックアラクニアの深遠なるキャラクターを、柚ちゃん自らぶち壊してくれたのが、音仏家のコーナー。みのさん的なコント(?)と柚ちゃんは、もはやセットになっている感じですけど、相変わらず暴走しちゃってます。アドリブというか、収録の空気感も前面に押し出すようになりましたね。私は結構、楽しんで観てます。
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