オートボット側のキャラクター増量!
まぁ、ウルトラマグナスやセンチネルはシリーズ開始当初から登場しているので、完全新キャラはジャズのみということになりますが。
とはいえ一応、ウルトラマグナスもセンチネルも地球飛来によって本格登場開始。G1ではこんな感じで「上官」がやって来るという展開がない(というより、G1ではオプティマス自体が最高司令官なので不可能)ので、トランスフォーマーシリーズにおいては新鮮なのです。勿論、日本版G1やビースト等々を含めると珍しいことではないかも知れませんが、オプティマスに該当する人物が、ここまで上官に礼を尽くす様子を描くのは、やっぱり珍しいでしょう。
今回は、前々回、前回のメガトロン復活編の後日譚的なエピソードでもあります。
G1の初代アニメでは、後日譚が丸々1エピソードになっている話も散見され、それはそれでちゃんと成立していたりするので、構成力を伴なう強引さは現在の目で見ても高レベルなのですが、さすがに近年のアニメでそれをやるには色々と困難な面がありそう。そこで、今回は新部隊の飛来というイベント性を伴ったエピソードに仕上げられているわけです。
イベント話に後日譚を織りまぜたという方が適切と思う向きもあるかも知れませんが、今回はエリートガードがやって来た割には、起こった出来事がいちいちユルいので、やっぱり後日譚の方がメインでしょう。
それにしても、エリートガードのキャラ分けが絶妙!
ウルトラマグナスは、G1では万年ナンバー2が特徴だったキャラクター。初代オプティマスの死に伴い、リーダーの証である「マトリクス」を託されても、肝心な時にマトリクスの力を開放できず、バラバラにされてしまったり、新司令官ロディマス・プライムを支える立場になってからは、苦悩しつつも割と楽観的な新司令官に振り回されたり。愛すべきナンバー2として旧来のファンの人気を集めています。
「アニメイテッド」では、何とそのウルトラマグナスが「総司令官」に!
この事にどれだけ意外性があるかは、世代人じゃないと分からないものがありますけど、とにかく驚きなんです。
センチネルの「イヤなヤツ」振りも素晴らしい。オプティマスを常に「エリートガードの落ちこぼれ」呼ばわりするあたりからは、オプティマスがエリートガード出身であることを伺わせます。イヤなヤツだけど憎めないヤツというキャラクター作りはちゃんと守られていて、コミカルなシーンを担っていたり、巧く立ち回らせています。
実写映画版では非業の死を遂げたジャズは、よりG1の同名キャラ(日本版はマイスター)に近い形で復活。
トリヴィアルな話を振っておくと、G1の日本版での彼は「副官」の肩書きを持っていますが、実際は単なる「特殊工作員」。なので、G1の旧アニメを見ていると、結構副官と呼ばれるには違和感のある人物なのです。原語版の設定どおり「陽気なあんちゃん」として見ると、とても納得。実写映画版にもこの設定は継承されています。「アニメイテッド」版ジャズも、原語版の系譜に属します。
なお、G1のジャズに関しては、私の勝手な想像ですが、トランスフォーマーの先祖にあたる「ダイアクロン」で、ジャズの元になった「ポルシェ935ターボ・モデル」がメイン商品扱いで人気が高かった為、日本版で副官扱いにしたのではないでしょうか。
すみません。何か本編と関係ない話に終始してしまいました。
詳しくは、続きにて。
メガトロン達ディセプティコンとの死闘を乗り越えたオプティマス達オートボット。束の間の平和を享受する地球(デトロイト)に、突如巨大な宇宙船が飛来。中から現れたのは、オートボットのエンブレムを持つサイバトロニアンでした。
「エリートガード」の名が付くだけあって、エンブレムも特別。
通常のオートボットのエンブレムにウィング状の意匠が付加されています。
このエンブレムの持ち主は勿論、オートボット総司令官・ウルトラマグナス!
頭部デザインや銀河万丈さんの声により、歴戦の猛者といった雰囲気がプンプン。これはあまりにもカッコいいのではないでしょうか。苦節25年、時にはオプティマスの合体パーツにまで身をやつした彼も、遂に総司令官になったわけです。
珍しいトランスフォーマー達の敬礼シーンが。
ウルトラマグナスはすぐさま対疫シールドを張るよう指示。このあたりは有機生命体を汚染源として警戒する姿勢を示していますが、オプティマス達が当初それ程警戒していなかった事を考えると、エリートらしく慎重であることが伺えます。
船の内部で、オプティマス達は徹底的に汚染物質を洗浄されます。
執拗なまでの洗浄は、センチネルの仕業。オプティマスに対する姑息な嫌がらせであり、そんな小悪党なイメージが、センチネルの魅力になっています。ジャズがセンチネルを制止するなど、ここで既にセンチネルとジャズのポジションの違いを明確にしています。
ウルトラマグナスは、オールスパークの在処をオプティマスに問い質すのですが、オプティマスの返答は「オールスパークのエネルギーが飛び散った」というもの。これには、ウルトラマグナス達もビックリ。
キャプの都合により、ここでやっとエリートガードの3人を紹介できます。
向かって左からセンチネル、ウルトラマグナス、ジャズ。それぞれ非常に個性的です。センチネルはそのアゴが強烈な印象を与えます。ウルトラマグナスは正統派のトランスフォーマー顔。G1のウルトラマグナスと非常に近似した雰囲気を湛えています。ジャズは、G1の造形を踏襲しつつも、ヘッドホンを着けているような頭部デザインなど、よりキャラクター性格設定に歩み寄った印象。実写映画版のイメージも投影されているようです。
一方、オールスパークによる重大なダメージから回復したメガトロンは、サイバトロン星をターゲットに定めていました。
先の大戦でディセプティコンが敗北したのは、オートボットがオールスパークとスペースブリッジの技術を有していた為だと分析するメガトロン。彼は、オールスパークが失われた今こそ、サイバトロン星攻略の好機としています。メガトロンは、50年前の激突の際に、密かにスペースブリッジの設計図を入手しており、スペースブリッジさえ完成すれば、テクニカルな面ではオートボットに優位性がなくなってしまうわけです。
ただし、スペースブリッジの設計図は不完全。そこで、地球屈指の技術者であるサムダックに、設計図を補完させる事を企んでいるのでした。無茶ですねぇ。地球人を頼る処はG1の頃から変わってません(笑)。
スペースブリッジは、G1の時代から頻繁に登場する設備。実はG1の時代ではディセプティコン側の設備であり、オートボットは度々拝借してサイバトロン星に帰還していました。「アニメイテッド」とは逆ですね。
考えて見れば、G1ではサイバトロン星の覇者はディセプティコンであり、こちらも「アニメイテッド」とは逆になっています。
さて、ウルトラマグナスはオプティマスの戦闘の足跡を辿ることで、オールスパークの在処の手がかりにしようと考え、オプティマスにそれを案内させる事に。「オールスパークのエネルギーが飛び散った」というオプティマスの話を、センチネルは完全に信用しておらず、ウルトラマグナスも、まだ半信半疑といった処です。
センチネルの計らいで地球製ビークルがスキャンされ、ウルトラマグナスは巨大な装甲車に。
センチネルは、いわゆるモンスタートラックにトランスフォームします。
トランスフォームを見ると、いつも関連トイが欲しくなるのですが、今は超金欠状態なので我慢我慢…(泣)。
道中、交通ルールを守らないウルトラマグナスや、通行止めを無視して建設中の道路から落下するセンチネル等、コミカルなシーンが織りまぜられ、エリートだからと言って堅苦しい雰囲気にならないバランス感覚が実に素晴らしい。
この後も、センチネルは小悪党キャラならではの「ちょっとひどい目に何度も遭遇」というパターンに陥っていき、これが何とも微笑ましいのです。
さて一方、サムダックの元に部品か何かをサーブしに来たロボットが、突如異常行動を起こして爆発。メガトロンは、その内部にオールスパークのエネルギーの破片を発見。
破片が世界中に散らばっているかも知れないと睨んだメガトロン。このエネルギーの欠片は、単純な機械でもトランスフォーマーに変えてしまうパワーを有しており、放っておいてもディセプティコンの同志が増えていく事を予測したのです。
これには、実写映画版でのオールスパークのパワーが投影されています。オールスパークは、全てのサイバトロニアンのオリジンといったイメージなのですが、すべからくオールスパークの力で変異し誕生するトランスフォーマー達は、ディセプティコンのような赤い目をしていました。つまり、オールスパークによって地球製の機械が変異して誕生するトランスフォーマーは、単純で粗暴、破壊衝動のみを有するようなのです。
折しも、メガトロンの感触を示すがごとく、サムダック社のロボット製造ラインが異常をきたしているという報告が、サリにもたらされます。
このパウエル、サムダック社の責任はサリにあると言い、完全に責任放棄をしているのですが、事件収束後のラストでは、逆にサムダック社を自分のものにしてしまいます。メガトロンもビックリの悪党ですな。
会社の危機に直面し、サリはキーの力でシールドに穴を開けて侵入。勿論、バンブルビー達に支援を乞う為です。
内部に潜入してきたサリに驚かされ、ジャズはこの体たらく。実にいいキャラです。
ジャズはセンチネルが語ったクモの巣窟での顛末に対して過敏反応を示していて、有機生命体をことのほか恐れていたようです。
そのジャズ、バンブルビー達の見張り役を担当していたのですが、彼等を咎めたり信用しないといった感情はまるで持ちあわせておらず、その上スキャンした車で走りたい衝動もあって、バンブルビー達の外出を許し、自分もそれに付いていくと言い出します。
ジャズのビークルモードはチューンされまくったレーシングスタイルで、G1と実写映画版の双方をイメージしていることが分かります。「こんなカッコいい乗り物を作る事の出来る人間が、悪者なワケないし」という独特の人間観も、本来ノリのいい性格設定のジャズらしいものです。
その頃、オプティマスは戦いの足跡ツアーとして、ダイノボットの島にも案内。チーム・ダイノボットと接する際は慎重さが求められるのですが、お調子者のセンチネルは、このとおり…。
ウルトラマグナスは、「マグナスハンマー・サンダーアタック」でダイノボットを威嚇。これにはさすがのダイノボットも恐れをなして退散します。
自然現象を操るパワーの描写が、ウルトラマグナスの格を一段と上げています。
プロール以外、ダイノボットを制御することは困難ですが、これを恐怖という手段で成し得た人物がこれで二人になったわけです。メルトダウンとウルトラマグナス。ちょっとエスプリっぽいですねぇ…。でもまぁ、ウルトラマグナスはメルトダウンみたいに直接「痛み」を与えてませんからね。
で、サリとバンブルビー達は、サムダック社にて次々と生産されて増殖し続ける警備ロボットに手を焼いていました。
そんな中、プロールとジャズが互いの武術の腕を認め合うという一幕も。
プロールと同様、サイバーニンジャの武術に心得のあるジャズは、華麗なヌンチャクさばきで警備ロボット達をなぎ倒していきます。
その腕前はプロール以上。エリートガードならではの優秀さをしっかり描くことにより、ジャズを単なるコミカルキャラにしない姿勢が素晴らしすぎます。
この面倒な事態に直面したサリは、それでも、「会社の名前がサムダックである限り、私の責任だもの」と言い、自分がキーを用いて事態を解決すると宣言します。
この「サムダックの名前」というトピックが、驚愕のラストへの縦糸になっているんですね。
オプティマスと共に合流したウルトラマグナスがマグナスハンマーで警備ロボットを一掃し、オプティマスの助力を得て、生産ラインに辿り着いたサリは、早速キーで生産ラインをストップさせます。
ところが、今度はキーが抜けなくなってしまいます。
そこでオプティマスは、ラインのコントローラーをウルトラアックスでバラバラに破壊。
その中からオールスパークのエネルギーの破片が見つかりました。
ウルトラマグナスは、オプティマスの話が真実であるという証拠を手にして、オプティマスが戦いの中で見せたリーダーシップを認めるのでした。
散々バカにしていたセンチネルは、「オプティマスに見習うべき処がある」と咎められ、ちょっと可哀想。小悪党なキャラがカタルシスに利用されてしまいましたね。
事態を解決したサリでしたが、サムダック社はパウエルに乗っ取られてしまいました。サムダックの娘であることを主張するサリでしたが、パウエルは既にサリのことを調査。
パウエルは、戸籍や社会保障番号等、サリの市民としての存在を裏付けるものが何もなく、サリという人物自体が存在していることさえ証明できないと言い放つのでした。
サリ、ショック!!
一体サリの正体は?
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