第14話「メガトロンの復活 パート1」

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メガトロンの復活 パート1

 いよいよメガトロン様復活ということで、全編がメガトロン復活に至るプロセスで構成されています。

 って、当たり前のようですが、トランスフォーマー、特にアメリカ主導のシリーズは、随所にユルさに伴なう「遊び」があるので、今回のように徹底的にメガトロン復活へのプロセスを描いたような作品は、珍しい気がするのです。

 当然、良い面と悪い面があり、良い面としては全体の緊張感が凄まじいこと。旧ビースト組によるアドリブに切れ味はあるものの、それが全体の殺伐とした雰囲気に全く影響しないあたり、そのテンションの高さが分かるでしょう。

 逆に悪い面としては、毎回そこはかとなく漂っている「オートボットと人間が学ぶ教訓」といった面が、全くなくなってしまっている事。

 私なんかは、後者の「教訓」がこのシリーズにおける最大の美点の一つだと思っているクチなので、今回は盛り上がっているんだけど、イマイチ乗り切れないという気分もあります。このシリーズのトランスフォーマー(サイバトロニアン)達の人間臭さは、この「教訓」が繰り返し描かれるからこそ際立っているのであって、今回のようにメガトロンの復活ただ一点に突っ走っていく様子が、割と傍観的に描かれるのを見ると、トランスフォーマー達全員が狂言回しのように見えて来てしまうのです。

 ただし、これが前後編の前編だという事には、十分留意しておくべきでしょう。後編に「教訓」的な何かがあるとは思えませんが、今回はまだ「サゲ」が見えていない故に、見失っている物事も多いのですから。

 では、雰囲気に倣って、本編をちょっと機械的に見ていきたいと思います。

 サムダックは、遂にメガトロンのボディを山奥で発見しました。50年間風雨にさらされても、まだインナーフレームはこれだけの原型をとどめていて、サイバトロニアン(特にメガトロン)の頑強さを感じさせてくれます。

メガトロンの復活 パート1

 メガトロンは、一刻も早くボディを復活させ、オールスパークの収奪を行いたいのですが、サムダックにはこれを修繕する技術が不足しています。そこで必要になるのは、サリの持つキーの力なのですが…。

 一方、オートボットに退けられながらも、難を逃れていたディセプティコンの面々は、久々に集結を果たします。

メガトロンの復活 パート1

 スタースクリームは、シリーズの伝統としてメガトロンの不在を執拗に強調し、自らがニューリーダーとなることを高らかに宣言します。

 あらゆるシリーズに「スタースクリーム」が登場していますが、結局G1のスタースクリームが全てのイメージソースであり、他のシリーズの彼はその派生あるいは翻案に過ぎません。「アニメイテッド」のスタースクリームは、G1のオリジナルを最大限にリスペクトしたキャラクターだと思われます。それ故、ニューリーダーを連呼するし、メガトロンの目前では卑屈だし、メガトロンが動けない状態になると、途端に横柄になるわけです。

 ちなみに、G1スタースクリームの日本語吹き替えは、鈴置洋孝さんが担当されていました。原語版のスタースクリームの声は甲高くてチンピラ風であり、かなりイメージが異なります。海外でもスタースクリームは人気キャラクターですけど、日本での人気は、むしろ鈴置さんのニヒルな演技が醸しだす独特の魅力に依る処が大きいと思います。

 カッコ良く振舞っていながら、すぐに卑屈になる。あのカッコいい声が卑屈なセリフを喋るというギャップが、とてもいいんです。

 ホントに、惜しい方を声優界は失ったものだと、つくづく思いますね。

 さて、スタースクリームはメガトロンの死亡を完全に信じていますが、ラグナッツがメガトロンの生存を思わせる発言をし続けるものですから、スタースクリームは段々と不安になるわけです。

 以前、メガトロンに最も信頼されている部下であるラグナッツにだけ、メガトロンの通信が届いていましたが、あれはまだ継続していたわけで、シリーズ構成のウマさを感じさせます。

 スタースクリームがラグナッツの体内をスキャンすると、確かにラグナッツにだけ届いている通信の存在が確認されます。

メガトロンの復活 パート1

 が、疑り深いスタースクリームは、その通信の主がメガトロンの名を騙る者の仕業ではないかとし、その探索を二人に指示。同時に、「そのメガトロン」が命じたというサリのキーの奪取に動き始めます。

 時を同じくして、何となく危険を察知していたオプティマスは、サリからキーを取り上げる事にします。

メガトロンの復活 パート1

 オプティマスの危機感はかなり高く、いつもならサリから無理やりキーを取り上げるような措置を取らない彼も、今回は指揮官権限を振りかざしてサリを黙らせるに至るのです。

メガトロンの復活 パート1

 G1におけるオプティマスも、「これは命令だ」というセリフを頻繁に発して、かなり無茶な命令を押し通すこともままありましたが、G1オプティマスはオートボットの稀代の英雄であり、彼の言う事は絶対に近い雰囲気がありました。しかし、「アニメイテッド」のオプティマスは1チームのリーダーに過ぎませんから、これまで仲良くやってきた雰囲気から一転しての強い口調は、物語にとって非常に有効な違和感となって働きます。

 他の面々の意見に耳を貸すこともなく、一方的にキーをラチェットに預けたオプティマスは、船の修理を急ぐよう命令。彼の焦りは相当なものだという事が場の雰囲気だけで伝わるこのシーン、今回のベストシーンの一つでしょう。

 ところで、ディセプティコンは一枚岩ではなく、ブラックアラクニアは完全に単独で行動しています。彼女はサリのキーによる毒素の除去に執念を燃やしており、再びサリを捕縛。しかし、既にキーはラチェットの手に。

メガトロンの復活 パート1

 ところが、そのラチェットはというと、ラグナッツとブリッツウィングの襲撃によって、腕ごとキーを奪われるという失態を演じてしまいます。

メガトロンの復活 パート1

 一方、オプティマスはディセプティコンの襲撃を危惧し、戦力強化を模索していました。そこでアイアンハイドは、ダイノボットの加勢を仰ぐ事を提案。しかしプロールはまだダイノボットの存在をオプティマスには話していませんでした。

 一悶着ありつつも、オプティマス達はダイノボットの元へ。

メガトロンの復活 パート1

 しかし、交渉は決裂。

メガトロンの復活 パート1

 グリムロックは、メガトロンによって刷り込まれた「トラックが化石燃料を大量に消費している」という話から抜け出せておらず、オプティマスひいてはロボット全てを敵視しています。

 唯一の理解者であるプロールが説得にあたろうとしますが、オプティマスは指揮官としてのプライドなのか、断固として自分が説得すると譲らず、その結果、決裂となってしまいました。

 今回のオプティマスの言動は焦りからか、かなり独善的あるいはスタンドプレー的であり、その行動一つ一つが、少々悪い方向に働いていくのです。このネガティヴな連鎖が、余計に危機感を煽ります。

 その間、スタースクリームはサムダックタワーに到着。頭部だけのメガトロンを徹底的にこき下ろしていました。この卑怯さがスタースクリームの真骨頂!G1のファンも納得ではないでしょうか。

メガトロンの復活 パート1

 サリの事が気になって、一人オプティマスの指示を無視して単独行動をとっていたバンブルビー。サムダック・タワーの異変に気付いて飛び込んでいきます。

 しかし、スタースクリームの前では、ほぼ無力…。

メガトロンの復活 パート1

 このバンブルビーの行動は、「人間の一番の友達」というイメージのバンブルビーにピッタリ。G1のバンブルビーは、オプティマスの命令を無視して行動することは殆どありませんでしたが、「人間(スパイク)の一番の友達」という点では共通しています。ついでに勇敢さも。

 メガトロンがオートボットの仲間だと信じていたサムダック博士は、実はメガトロンがディセプティコンのリーダーだと知って、落胆します。

メガトロンの復活 パート1

 サムダック博士とメガトロンの関係は、G1において何度か展開された、科学者あるいは権力者とメガトロンの関係に似ています。

 G1におけるそれは、メガトロンの奸智に長けた話術から生み出される甘言によって、パワーへの欲望を募らせた者がメガトロンに利用されるといったものが殆どでした。

 今回の両者の関係はその構造に似てはいるものの、サムダック博士はもっと性善であり、恐らくメガトロンがオートボットであるというウソをつかなかったらならば、協力しなかったでしょう。

 で、今回はオートボット完敗。

 ブリッツウィングがサリのキーをメガトロンの頭部に…。

メガトロンの復活 パート1
メガトロンの復活 パート1

 すると、メガトロンの頭部と手に凄まじいパワーが満ちていきます。

 これが物凄い迫力!構図、演出、テンポ、全てのテンションが高いのです。

メガトロンの復活 パート1

 たちまちボディが復活。そして、復活したボディはサイバトロンモードとは異なるスタイルとなっています。サリのキーによるパワーが、地球製メカのスキャンをも含んで作用したものと推測されます。

メガトロンの復活 パート1

 この驚異に、オプティマスは一体どう立ち向かうのか!?

メガトロンの復活 パート1

 こんな感じで次回へ続く。

 ちなみに、本編とは関係ないですが、同じタカラトミーだからといって、音仏家でトミカをやっちゃうのはどうかな(笑)。

 この回は、トランスフォーマー アニメイテッド VOL.4 [DVD]に収録。テレビ未放送の幻のエピソード「死を呼ぶ宇宙怪物!」も収録!