アンダーソン・ブラッフォード・ウェイクマン・ハウ(以下ABWH)が次作を制作中、アンダーソンはキャッチーな曲がないことに気付き、こともあろうにラビンに接近、これがきっかけとなって90125イエスとABWHが合体、8人イエスが誕生した。ABWHの次作となる曲群にスクワイアがコーラスで参加し、90125イエスにアンダーソンがヴォーカルで参加することにより、本作が誕生した。
ファンのみならず、メンバーの評判もあまり良くない本作だが、それはダブル・プロダクションの無理な融合にあるのは間違いない。ということで、トータルな完成度という点では、オムニバス盤の域だと言えるだろう。
そこで、あえてABWHと90125イエスの楽曲を分けて聴いてみると、なかなか興味深い。1、2、3、5、8、10、11、12、13、14、15がABWH、4、6、7、9が90125イエスによるものである。ABWHは「閃光」で見られた緻密で粒子の細かいアレンジメントに、トニー・レヴィンによる「スクワイアの物真似」ベースとスクワイア本人のコーラスを加えて(実際は1、5、11のみ)、より本来のイエス・ミュージックに接近した印象。「ウェイティッド・フォーエヴァー」、「ショック・トゥ・ザ・システム」、「サイレント・トーキング」、「デンジャラス」のような佳曲が並ぶ。ハウのソロ「マスカレード」も素晴らしい。対する90125イエス側は、「ビッグ・ジェネレーター」を超える完成度を持つ楽曲ばかりで、このあたりは次作「トーク」への伏線とみて間違いないだろう。
このように、一曲一曲の完成度は高いのだが、無理やり一つにまとめてしまった為に、散漫なアルバムになってしまった。ABWHが単独で、そして90125イエスの曲が「トーク」と一緒に収録されていたら、と思うと興味は尽きない。
- 原題
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Union
- 邦題
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結晶
- パーソネル
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Featuring:
Jon Anderson
Bill Bruford
Steve Howe
Tony Kaye
Trevor Rabin
Chris Squire
Rick Wakeman
Alan White
※ 担当パートについては省略しました。
- 曲目
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- I Would Have Wated Forever (ウェイティッド・フォーエヴァー)
- Shock to the System (ショック・トゥ・ザ・システム)
- Masquerade (マスカレード)
- Lift Me Up (リフト・ミー・アップ)
- Without Hope You Cannot Start the Day (スタート・ザ・デイ)
- Saving My Heart (セイヴィング・マイ・ハート)
- Miracle of Life (ミラクル・オブ・ライフ)
- Silent Talking (サイレント・トーキング)
- The More We Live-Let Go (ザ・モア・ウィ・リヴ-レット・ゴー)
- Angkor Wat (アンコールワット)
- Dangerous (デンジャラス)
- Holding On (ホールディング・オン)
- Evensong (イーヴンソング)
- Take the Water to the Mountain (ウォーター・トゥ・ザ・マウンテン)
- Give & Take (ギヴ&テイク)
※ 15 はボーナストラックです。
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