「ロンリー・ハート」をよりラビン色に染めたアルバムと言って、ほぼ差し支えないだろう。「ロンリー・ハート」ではアンダーソン、ラビン、スクワイアの三位一体ヴォーカルが実にバランス良く配されていたのだが、本作ではアンダーソンのヴォーカルがかなり部品化している(わざとそうしているようにも聴こえる)。
実のところ、ラビンの強引なイニシアティヴがプラスに働いている面も多い。「ロンリー・ハート」よりもさらにパワーに溢れ、押しの強いサウンドになっており、パワー・ポップというジャンルに限って言えば最高峰とも言える出来。各曲も実に個性的でいてキャッチーなのは驚きだ。
しかしながら、この辺り、イエスファンとして受け入れられるかどうかは大きく意見が分かれるところ。実に売れ筋なカッコいいアルバムなのだが、イエス独特のガラス細工っぽい繊細さがかなり後退しているような感じもする。「ロンリー・ハート」に「ドラマ」の大仰な作風をプラスしたような味わい。
この後、激しくメンバー集合離散を繰り広げるイエスだが、展開される音楽には、本作にあるようなパワー・ポップの要素が少なからず踏襲されているのが面白いところだ。
- 原題
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Big Generator
- 邦題
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ビッグ・ジェネレイター
- パーソネル
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JON ANDERSON - LEAD VOCALS
TONY KAYE - KEYBOARDS
TREVOR RABIN - GUITARS, KEYBOARDS, BACKING VOCALS
CHRIS SQUIRE - BASS GUITAR, BACKING VOCALS
ALAN WHITE - DRUMS & PERCUSSION
- 曲目
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- Rhythm of Love (リズム・オブ・ラヴ)
- Big Generator (ビッグ・ジェネレイター)
- Shoot High Aim Low (シュート・ハイ)
- Almost Like Love (オールモスト・ライク・ラヴ)
- Love Will Find a Way (ラヴ・ウィル・ファインド・ア・ウェイ)
- Final Eyes (ファイナル・アイズ)
- I'm Running (アイム・ランニング)
- Holy Lamb (ホウリー・ラム)
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