イエス初のライヴアルバム。3枚組という圧倒的なヴォリュームで迫るほぼフルセットのライヴは圧巻である。勿論、ワン・ステージを収めたものではなく、一連のツアー日程からピックアップして構成されているのだが、ブラッフォードとホワイトの違いを除けば、全体の統一感は良好であり、臨場感はほぼ完璧と言っていいだろう。
選曲等、ベスト盤的な構成を持つところもニクイ。実際、後々まで受け継がれる「危機」までの「ベスト」の曲目は、このライヴ盤選曲にほぼ集約される。ウェイクマンのソロ作品「ヘンリー8世と6人の妻」の一部がパフォーマンスされるところも聴きモノだ。この演奏はウェイクマンのベスト・パフォーマンスとの評判もあり、いかにこの時期のイエスがノッていたかが分かる。
それにしても、この演奏を聴く限り、スタジオ盤と何ら遜色ない。それほど構成力、演奏力共に確かなものであり、それがイエスというグループが珠玉たる所以である。拡大された「ザ・フィッシュ」など、インストゥルメントの奏力は勿論だが、コーラスワークが完璧に再現されている点に特に注目していただきたい。つまり、「ヴォーカリスト」はアンダーソンその人だが、「シンガー」としてはスクワイアもハウも名を連ねることが出来るわけだ。「シベリアン・カートゥル」や「アイヴ・シーン・オール・グッド・ピープル」といったコーラスが最重要になるナンバーに関しても、何ら不満要素はないのだ。
ライヴツアー中、ブラッフォードが脱退するというアクシデントがあったが、代役のアラン・ホワイトは完璧にパーカッション・プレイをこなしている。特に「危機」のような複雑怪奇なアレンジメントを、短期間で覚えて演奏したとは思えない。この力量が、今後のイエスを支えていくことになる。
- 原題
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Yessongs
- 邦題
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イエスソングス
- パーソネル
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Jon Anderson - Vocals
Bill Bruford - Percussion ('Perpetual Change', 'Long Distance Runaround'
and 'The Fish')
Alan White - Percussion
Steve Howe - Guitars, Vocals
Chris Squire - Bass, Vocals
Rick Wakeman - Keyboards
※ ジャケットにクレジットが明記されていないので、独自に再構成しました。
- 曲目
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DISC ONE
- Opening (オープニング)
- Siberian Khatru (シベリアン・カートゥル)
- Heart of the Sunrise (燃える朝焼け)
- Perpetual Change (パーペチュアル・チェンジ)
- And You and I (同志)
- Cord of Life (人生の絆)
- Eclipse (失墜)
- The Preacher the Teacher (牧師と教師)
- Apocalypse (黙示)
DISC TWO
- Mood for a Day (ムード・ファー・ア・デイ)
- Excerpts from "The Six Wives of Henry VIII" (ヘンリー8世と6人の妻から抜粋)
- Roundabout (ラウンドアバウト)
- I've Seen All Good People (アイヴ・シーン・オール・グッド・ピープル)
- Youe Move (心の光)
- All Good People (オール・グッド・ピープル)
- Long Distance Runaround (遥かなる想い出)
- The Fish (ザ・フィッシュ)
DISC THREE
- Close th the Edge (危機)
- The Solid Time of Change (着実な変革)
- Total Mass Retain (全体保持)
- I Get Up I Get Down (盛衰)
- Seasons of Man (人の四季)
- Yours is No Disgrace (ユアズ・イズ・ノー・ディスグレイス)
- Starship Trooper (スターシップ・トゥルーパー)
- Life Seeker (ライフ・シーカー)
- Disillusion (ディシルージョン)
- Wurm (ワーム)
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