イエスの第二作。オーケストラとの共演というアプローチを全面的に展開した作品である。この時期、オーケストラとの共演アルバムを製作したグループは多く、その意味では当時新鮮に響いたかどうか、疑問ではある。
一般に、このアルバムの評価は「中途半端」とか「アンバランス」といった言葉で表されることが多いが、なるほど、大音量でストリングスやブラスが大袈裟にかぶったりするところなど、そのように評されても仕方のないところ。現にギタリストのピーター・バンクスは、このオーケストラ・サウンドに自らのギターの音を掻き消されたとして、不満を露にし脱退してしまった。
ただ、魅力あるナンバーが収録されているのもこのアルバムの一面。ケイとスクワイアがドライヴ感を発揮する「チャンスも経験もいらない(カヴァー曲)」や「ゼン」、明るいメロディを重厚なリズム・セクションが支える「スウィート・ドリームス」、後々までの重要なレパートリーとなるバラッド風の「時間と言葉」。これらは傑作ナンバーと言えるだろう。
いずれにせよ、「サード・アルバム」以降の音楽性とは異なる方面で、イエスの側面を味わって楽しむには格好のアルバムだと言えるだろう。
- 原題
-
Time and a Word
- 邦題
-
時間と言葉(旧邦題:イエスの世界 第二集)
- パーソネル
-
Bill Bruford - drums, vibes
Tony Kaye- organ, piano
Peter Banks - guitar, vocals
Chris Squire - bass, vocals
Jon Anderson - lead singer and inicidental percussion
※ ジャケットにクレジットが明記されていないので、独自に再構成しました。
- 曲目
-
- No Opportunity Necessary, No Experience Needed (チャンスも経験もいらない)
- Then (ゼン)
- Everydays (エヴリデイズ)
- Sweet Dreams (スウィート・ドリームス)
- The Prophet (予言者)
- Clear Days (澄みきった日々)
- Astral Traveller (星を旅する人)
- Time and a Word (時間と言葉)
コメント