ベスト盤である。だが、アルバム未収録曲が多く収録されているので、オリジナル・アルバムと見做しても十分説得力のあるアルバムだ。その一曲一曲が、ヒット連発中のT・レックスを雄弁に物語る。
これほど素晴らしいベスト盤は、他にクィーンの「グレイテスト・ヒッツ」ぐらいしか思いつかない。シングル・ヒットの嵐がしっかりと収録され、とにかく全編心躍りっぱなし。「ジルバの恋」や「サンダーウィング」といったB面曲や、過去のアルバム既収録曲もフォローされているが、A面曲に劣らない曲ばかりで、この構成力に参ってしまう。このベスト盤は何度聴いても凄いの一言である。
改めて説明するまでもないだろうが、「イージー・アクション」、「20センチュリー・ボーイ」などは、ボラン・ブギーの超傑作だし、「ザ・スライダー」とはダブってしまうが、「テレグラム・サム」や「メタル・グルー」、「ザ・スライダー」など名曲中の名曲もズラリ。「ザ・グルーヴァー」は売り上げが落ち始めた頃のものだが、「T! R! E! X!」とシャウトするコーラスや倦怠感を伴って歌うボランが本当に魅力的な隠れた名曲だ。
あぁ、常に盛り上がりっぱなしという感じだ。魅力あるクールなオモチャが窮屈そうに詰め込まれたトイ・ボックス、それがこのアルバムである。T・レックス初心者は、まずこのアルバムから聴いてみても良いのでは?
- 原題
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Great Hits
- 邦題
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グレイト・ヒッツ
- パーソネル
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Marc Bolan - Vocals and Guitars
Micky Finn - Hand Percussion Congas and Vocals
Steve Currie - Bass
Bill Legend - Drums
Howard Kaylan & Mark Volman - Backing Vocals
※ 「ザ・スライダー」「タンクス」時期のベスト盤のため、「ザ・スライダー」と同一のクレジットを記載しました。ジャケットにクレジットは明記されていません。
- 曲目
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- Telegram Sam (テレグラム・サム)
- Jitterbug Love (ジルバの恋)
- Lady (レディ)
- Metal Guru (メタル・グルー)
- Thunderwing (サンダーウィング)
- Sunken Rags (サンクン・ラグス)
- Solid Gold Easy Action (イージー・アクション)
- 20th Century Boy (20センチュリー・ボーイ)
- Midnight (ミッドナイト)
- The Slider (ザ・スライダー)
- Born to Boogie (ボーン・トゥ・ブギー)
- Children of the Revolution (チルドレン・オブ・ザ・リヴォリューション)
- Shock Rock (ショック・ロック)
- The Groover (ザ・グルーヴァー)
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