マーク・ボランが、ティラノサウルス・レックスをT・レックスへと再編(改名)し、アルバム「T・レックス」を経て発表したのが、このアルバム。前作がまだマーク・ボランとパーカッショニストのミッキー・フィン二人だけのユニットだったのに対し、ここでは、ドラムやベースを加えた編成になっており、いよいよグラム狂乱の時代は幕を開けるのである。
ここでのボランのヴォーカルは、まだ抑え気味の部分も多く、後に展開される「チープなゴージャス感」を伴ったギラギラしたブギーとは一味違う。「エレクトリック・ウォリアー」というタイトルや、何やら電気の粒子をまとっているように見えるジャケットのボランからも連想されるように、ティラノサウルス時代のシンプルなブギーが、電気の力で増幅され、まさに拡散しようとしている様子を聴き取ることができる。
「マンボ・サン」の抑制不能な衝動を小出しにしているような感覚や、「モノリス」のような今にも泣き出しそうな雰囲気、そして「ゲット・イット・オン」の素晴らしいノリとシンプルなギター・リフのカッコ良さ。グラム・ロックという一言では表せないロックの感覚が満ち満ちており、それがこのアルバムの魅力でもあるだろう。
「コズミック・ダンサー」や「ジープスター」で聴かれるような、プロデューサー=トニー・ヴィスコンティのストリングス・アレンジも、不自然なような自然なような不思議な存在感を醸し出している。それは極めて美しく、極めて脆く、極めて切ない。ちなみにヴィスコンティのストリングス・アレンジは、かなり有名で、他にデイヴィッド・ボウイなど多くのアーティストと「共演」している。
- 原題
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Electric Warrior
- 邦題
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電気の武者
- パーソネル
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Marc Bolan - Vocals Guitars
Micky Finn - Percussion Vocals
Steve Currie - Bass
Will Legend - Drums
Ian McDonald - Saxophones
Burt Collins - Flugel Horn
Howard Kaylan & Mark Volman - Backing Vocals
- 曲目
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- Mambo Sun (マンボ・サン)
- Cosmic Dancer (コズミック・ダンサー)
- Jeepster (ジープスター)
- Monolith (モノリス)
- Lean Woman Blues (リーン・ウーマン・ブルース)
- Get It On (ゲット・イット・オン)
- Planet Queen (プラネット・クイーン)
- Girl (ガール)
- The Motivator (モティヴェイター)
- Life's a Gas (ライフ・イズ・ア・ガス)
- Rip Off (リップ・オフ)
※ ボーナス・トラックは記載しておりません。
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