ドラッグ・カルチャーとの迎合によってファンを獲得してきたティラノサウルス・レックス。しかし時代は変化する。その変化を敏感にキャッチしたマーク・ボランが、ティラノサウルス・レックスをT・レックスへと改名して発表したのが、ヒット・シングル「ライド・ア・ホワイト・スワン」であった。
そのおよそ2カ月後に発表された、所謂「T・レックス」のデビューアルバムが本作。ティラノサウルス・レックス名義の前作「ベアード・オブ・スターズ」で取り入れられたエレクトリック・ギター・サウンドを、本作でも積極的に採用しているが、まだマークとミッキー・フィンのユニットという性格からか、雰囲気としてはティラノサウルス時代と大差ない。
だが、ジャケットの写真はグラム・ロックの到来を予言し、サウンドメイキングには後のT・レックス・サウンドに欠かせないトニー・ヴィスコンティやフロ&エディが参加。大ヒットした次作「電気の武者」のエッセンスは既に散りばめられている。
冒頭と締めに配された「チルドレン・オブ・ラーン」は少しコンセプトアルバム風味。「ジュウェル」から始まる曲群は小品揃いだが、後のスーパー・ポップのリズムとアイディアが凝縮されており、まさに発掘を待つT・レックスの化石といった趣である。8曲目の「ベルテーン・ウォーク」はドラムとベースが加われば、「ザ・スライダー」あたりに入っていてもおかしくない。なお、10曲目の「ワン・インチ・ロック」と14曲目の「ウィザード」はティラノサウルス時代のシングルタイトルのエレクトリック・ヴァージョンで、よりエキセントリックに仕上げられている。
紙ジャケット盤には9曲のボーナス・トラックが追加されており、「ライド・ア・ホワイト・スワン」が収録されているのが嬉しい。出来れば「ホット・ラブ」も欲しかったところだが...。
- 原題
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T.Rex
- 邦題
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T・レックス
- パーソネル
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Marc Bolan guitars, vocals, bass organ.
Micky Finn drums, bass, vocals, pixiephone.
Backing vocals on Seagull Woman: Howard Kaylan and Mark Volman.
- 曲目
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- The Children Of Rarn (チルドレン・オブ・ラーン)
- Jewel (ジュウェル)
- The Visit (訪れ)
- Childe (チャイルド)
- The Time Of Love Is Now (今こそ愛の季節)
- Diamond Meadows (ダイアモンドの牧場)
- Root Of Star (ルート・オブ・スター)
- Beltane Walk (ベルテーン・ウォーク)
- Is It Love? (イズ・イット・ラヴ)
- Once Inch Rock (ワン・インチ・ロック)
- Summer Deep (サマー・ディープ)
- Seagull Woman (シーガル・ウーマン)
- Suneye (サンアイ)
- The Wizard (ウィザード)
- The Children Of Rarn (チルドレン・オブ・ラーン)
- Ride A White Swan [Single "A" Side] (ライド・ア・ホワイト・スワン(シングルA面))
- Summertime Blues [Single "B" Side] (サマータイム・ブルース(シングルA面))
- Poem (Work In Progress) (ポエム)
- The Visit [Take 4] (訪れ(テイク4))
- Diamond Meadows [Take 6] (ダイアモンドの牧場(テイク6))
- One Inch Rock (Work In Progress) (ワン・インチ・ロック)
- Seagull Woman (Work In Progress) (シーガル・ウーマン)
- The Wizard (Work In Progress) (ウィザード)
- The Children Of Rarn (Work In Progress) (チルドレン・オブ・ラーン)
※ 16 ~ 24 はボーナス・トラックです。
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