「サイレン」で一旦解散したロキシー・ミュージックが、再結成してリリースしたアルバム。前作までの雰囲気を残しつつも、次作より展開されるダンサブルでクリアなサウンドへの変化を、つぶさに観察できる過渡期のアルバムである。
過渡期とは言え、それなりに完成度が高いのがロキシー・ミュージックの凄いところ。全体的にフェリー主導の部分が強まってきており、「ブライアン・フェリーの音世界」とも言うべきサウンドが、段々と完成されていくのが分かる。従来のロキシーっぽい曲の代表は、「マニフェスト」や「トラッシュ」。ソウルっぽさが意欲的に導入され、次作からの重要な要素に発展していく様が見て取れるのが「ダンス・アウェイ」、「クライ、クライ、クライ」である。つまり、このアルバムを通して聴くと、従来のロキシーから次作からのロキシーへの変化が見られるということになる。
「スピン・ミー・ラウンド」などは、何度聴いても鳥肌モノで、空間に漂う音符の流れに逆らわず、自由に操るフェリーの様子が見えてくるようだ。この雰囲気は、次作よりむしろ「アヴァロン」に近い。
もし「サイレン」と「アヴァロン」を聴いた方は、この「マニフェスト」を聴いてみて頂きたい。なぜ「サイレン」のような音を作り出したグループが、「アヴァロン」のような音を創出したか、分かって頂ける筈だ。
- 原題
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Manifesto
- 邦題
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マニフェスト
- パーソネル
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Bryan Ferry
Phil Manzanera
Andy Mackay
Gary Tibbs
Paul Thompson
Alan Spenner
Paul Carrack
※ 記載されたクレジットは人名のみです。ご了承ください。
- 曲目
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- Manifesto (マニフェスト)
- Trash (トラッシュ)
- Angel Eyes (エンジェル・アイズ)
- Still Falls the Rain (スティル・フォールズ・ザ・レイン)
- Stronger Through the Years (ストロンガー・スルー・ジ・イヤーズ)
- Ain't That So (エイント・ザット・ソー)
- My Little Girl (マイ・リトル・ガール)
- Dance Away (ダンス・アウェイ)
- Cry, Cry, Cry (クライ、クライ、クライ)
- Spin Me Round (スピン・ミー・ラウンド)
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