ロキシー初のライヴ・アルバムは多分に戦略的な、「ライヴ・アルバムかくあるべき」とも言える素晴らしいものだ。一聴しただけでは、普通のライヴ・ドキュメントに聞こえてしまうが、実は緻密なプロデュース・ワークに彩られた準スタジオ盤と言えるような内容である。
まず、各曲は必ずしも同日に収録されたものではないということ。クレジットを見ると1973年11月、1974年11月、1975年10月と実に広い期間に及んでいる。次に、オーヴァー・ダブが効果的に使用されていること。オーディエンス・ノイズにも同様のことが言える。
音質の統一、オーディエンスの歓声のダビングなど、緻密なポスト・プロダクションによって、いかにも同日のライヴのような雰囲気が出されている為、長いスパンで収録されたことがにわかに信じ難いのだが、それが一流のプロデュース戦略というものだろう。ロキシーというグループが持つ、実体と幽体の間を揺れ動くような微妙な存在感を実に良く表している。
虚の中に実を生む。昨今の安易なポスト・プロダクションを一蹴するだけの計算が、ここにはある。
- 原題
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Viva! Roxy Music - The Live Roxy Music Album
- 邦題
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VIVA! ロキシー・ミュージック
- パーソネル
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Bryan Ferry - Voices and Piano
Andrew Mackay - Saxophone and Oboe
Paul Thompson - Drums
Phil Manzanera - Guitar
Eddie Jobson - Strings Synthesizer Keyboards
John Wetton - Bass
John Gustafson, Rick Wills, Sal Maida - Bass
The Sirens - Backing Vocals
- 曲目
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- Out of the Blue (アウト・オブ・ザ・ブルー)
- Pyjamarama (パジャマラマ)
- The Bogus Man (ザ・ボーガス・マン)
- Chance Meeting (チャンス・ミーティング)
- Both Ends Burning (ボウス・エンズ・バーニング)
- If There is Something (イフ・ゼア・イズ・サムシング)
- In Every Dream Home a Heartache (イン・エヴリ・ドリーム・ホーム・ア・ハートエイク)
- Do the Strand (ドゥ・ザ・ストランド)
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