Shoganai - Happy with What You Have to be Happy with (しょうがない~ハッピー・ウィズ・ホワット・ユー・ハフ・トゥ・ビー・ハッピー・ウィズ)

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

しょうがない~ハッピー・ウィズ・ホワット・ユー・ハヴ・トゥ・ビー・ハッピー・ウィズ

 「ザ・コンストラクション・オブ・ライト」で確かな感触をつかんだフリップが、更なる発展へと向け「ヌーヴォ・メタル」なる道標を掲げて放ったミニ・アルバム。「コンストラクション~」でのソリッドでメタリックな要素はそのまま受け継がれているが、よりヘヴィメタルへと接近しつつパット・マステロットの鋭いエレクトリック・ドラムとのアンサンブルによって、既成のロックにはない緊張感を生み出している。

 本作の白眉は一応タイトルチューンである「ハッピー~」であるが、ブリューのポップ・センスとオルタナティヴ・ロックの持つ現代音楽的なアプローチ、そして先鋭的なリズムセクションが見事に融合し、緊張感がありつつもユーモアのある佳曲となっている。また、「アイズ・ワイド・オープン」は「スラック」の「ワン・タイム」を彷彿とさせる曲だが、アコースティックな響きが印象的で叙情性はより深いものとなっている。

 本作の中で最も異彩を放つのが「ポテト・パイ」。前作の「プロザック・ブルース」で示されたブルースへの接近が、この曲ではより顕著に...と書いていて思わず笑ってしまうほど、モロにブルースになっているこの曲は、あくまでお遊びだろう。しかしお遊びにしてはなかなか良い曲だ。

 「太陽と戦慄パートIV」はライヴ・バージョンだが、フリップが「ヌーヴォ・メタル」を意識した原点となる曲だと語っているとおり、そのエッジや重みは「コンストラクション~」に収録されたバージョンから格段の進化を遂げている。ある意味「ヴルーム」以上にフルレンス・アルバムへの期待を煽ったミニ・アルバムだった。

原題

Shoganai - Happy with What You Have to be Happy with

邦題

しょうがない~ハッピー・ウィズ・ホワット・ユー・ハフ・トゥ・ビー・ハッピー・ウィズ

パーソネル

ADRIAN BELEW - guitar and vocals

ROBERT FRIPP - guitar

TREY GUNN - Warr guitar, rubber bass, fretless Warr guitar

PAT MASTELOTTO - drumming

曲目
  1. Bude (ビュード)
  2. Happy with What You Have to be Happy with (ハッピー・ウィズ・ホワット・ユー・ハフ・トゥ・ビー・ハッピー・ウィズ)
  3. Mie Gakure (見え隠れ)
  4. She Shudders (シー・シュダーズ)
  5. Eyes Wide Open (アイズ・ワイド・オープン)
  6. Shoganai (しょうがない)
  7. I Ran (アイ・ラン)
  8. Potato Pie (ポテト・パイ)
  9. Larks' Tongues in Aspic (太陽と戦慄(パートIV))
  10. Clouds (クラウズ)