Thrak (スラック)

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スラック(紙ジャケット仕様)

 ミニ・アルバム「ヴルーム」で衝撃的な復活を遂げたクリムゾンが、満を持して放った会心のフルレンス・アルバム。

 「ヴルーム」で試みられたダブルトリオの可能性をより整理した上で各楽曲を組み立て、アルバム全体を一つの流れに統一した。それ故にトータル・アルバムとしての完成度の高さをも内包した傑作に仕上がっている。

 オープニングを飾る「ヴルーム」は、ダブルトリオが二手に分かれて左チャンネルと右チャンネルをそれぞれ占拠し、同一楽曲を別個のスタイルで演奏するという、前作とは異なるアプローチが成され、ダブルトリオの一つの形を鮮やかに提示して見せる。

 続いてブリューの叙情的な歌声が印象的な「ダイナソー」。むしろ初期のクリムゾンを想起されるような傑作チューンで、この曲とより暴力的に展開される「スラック」、ダブルトリオ・クリムゾン一流のポップス・チューン「ピープル」の3曲で本作はほぼ決まり。

 最後を飾る「ヴルーム・ヴルーム」は、展開やテイストすべてが「レッド」を思わせ、この頃のクリムゾンが何を目指し、何を復活させようとしていたのかがよく分かる。パワーとカッコ良さが程よく同居した、まさに傑作アルバムだ。

原題

Thrak

邦題

スラック

パーソネル

Robert Fripp - Guitar, Soundscapes, Mellotron

Adrian Belew - Guitar, Voice, Words

Trey Gunn - Stick, Backing Vocals

Tony Levin - Upright & Electric Basses, Backing Vocals

Pat Mastelotto - Acoustic and Electric Percussions

Bill Bruford - Acoustic and Electric Percussions

曲目
  1. Vrooom (ヴルーム)
  2. Coda: Marine 475 (コーダ:マリーン475)
  3. Dinosaur (ダイナソー)
  4. Walking on Air (ウォーキング・オン・エアー)
  5. B'Boom (B'ブーム)
  6. Thrak (スラック)
  7. Inner Garden I (インナー・ガーデン I)
  8. People (ピープル)
  9. Radio I (レイデイオ I)
  10. One Time (ワン・タイム)
  11. Radio II (レイデイオ II)
  12. Inner Garden II (インナー・ガーデン II)
  13. Sex Sleep Eat Drink Dream (セックス、スリープ、イート、ドリンク、ドリーム)
  14. Vrooom Vrooom (ヴルーム・ヴルーム)
  15. Vrooom Vrooom: Coda (ヴルーム・ヴルーム:コーダ)