「スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー」以来、永らくシーンに登場しなかったクリムゾンが、遂に復活。まずその音はミニ・アルバムという形で届けられた。それが本作である。
クリムゾン停止期間中でも、「ディシプリン」のメンバーはそれぞれに音楽シーンで活動しており、それぞれの分野で成果を上げていたのだが、ファンが望んだのはやはりクリムゾン復活であった。復活したクリムゾンは「ディシプリン」メンバーに加え、フリップの愛弟子トレイ・ガン、ロックシーンの新鋭ドラマー、パット・マステロットという布陣だった。
ダブル・トリオと呼ばれるこの編成は、様々な表現を試みるばかりではなく、演奏に厚みを与えた。その成果はタイトルチューン「ヴルーム」や次のフルレンス・アルバムのタイトルともなった「スラック」、そして「ケイジ」に現れている。特に「ケイジ」は、これが手弾きかと疑わせるほどの超絶アルペジオとヘヴィなディストーション・ギターのサウンドが交錯する爆弾チューン。短いが、パワーに溢れた傑作だ。
その他の楽曲は、荒削りながらも爆発寸前を思わせるパワーを発散するメタリックなもので、それらは次のアルバム「スラック」でより洗練された形の楽曲として提示されることとなった。そのため、このヘヴィさを好むファンも多く、「スラック」よりむしろ「ヴルーム」という意見もまま聞かれる。
- 原題
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Vrooom
- 邦題
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ヴルーム
- パーソネル
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Robert Fripp - Guitar
Adrian Belew - Guitar, voice, words
Trey Gunn - Stick
Tony Levin - Basses and Stick
Pat Mastelotto - Acoustic and Electric Percussions
Bill Bruford - Acoustic and Electric Percussions
- 曲目
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- Vrooom (ヴルーム)
- Sex Sleep Eat Drink Dream (セックス、スリープ、イート、ドリンク、ドリーム)
- Cage (ケージ)
- Thrak (スラック)
- When I Say Stop, Continue (ホエン・アイ・セイ・ストップ、コンティニュー)
- One Time (ワン・タイム)
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