「ディシプリン」で鮮烈な「デビュー」を遂げた新生クリムゾン。その方向性は忠実に守られ、続編と呼ぶに相応しい作品が発表された。それがこの「ビート」である。
タイトルから連想されるような、いわゆるビートの強調といった側面は特に感じられず、より前作のインパクトを拡大する方向で製作されたと思われる本作。前作よりも「プログレ」の要素が強まり、ブリュー節とフリップ節はより両極端になった印象である。ただし、それがこのアルバムをまとまりの無いものにしているのかと言えば、そういうわけではない。4者4様の個性がうまく反応しているというか、強力なパワーで満たされている。
「ニール・アンド・ジャック・アンド・ミー」や「サートリ・イン・タンジール」は、前作の要素を一歩推し進めようと試行する様を聴くことが出来る。「ウェイティング・マン」のようによりパーカッシヴな側面を強調したものも散見される。
巷の評価はあまりにも低いが、それは不当というもの。これは孤高のプログレッシヴ・ロック・グループであるクリムゾンの、挑戦が結実したアルバムである。
- 原題
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Beat
- 邦題
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ビート
- パーソネル
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Adrian Belew - Guitar, Lead Vocal
Robert Fripp - Guitar, Organ, Frippertronics
Tony Levin - Stick, Bass Guitar, Support Vocal
Bill Bruford - Drumming
- 曲目
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- Neal and Jack and Me (ニール・アンド・ジャック・アンド・ミー)
- Heartbeat (ハートビート)
- Sartori in Tangier (サートリ・イン・タンジール)
- Waiting Man (ウェイティング・マン)
- Neurotica (ニューロティカ)
- Two Hands (二つの手)
- The Howler (ザ・ハウラー)
- Requiem (レクイエム)
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