「レッド」「USA」以来沈黙を保っていたロバート・フリップは、突如キング・クリムゾンを復活させた。ロバート・フリップとビル・ブラッフォードという前作からの残留組に、アメリカンであるエイドリアン・ブリューとトニー・レヴィンという名うてのミュージシャンが加わり、それは始動した。
そこに展開された音楽は、これまでのクリムゾンと全く違う方向性を示していた。前作までが、エキゾチックな要素を散りばめながらも、ブリティッシュの香りを少なからず漂わせていたのに対し、この「ディシプリン」は本当に手で弾いているのがにわかに信じがたいような高スピードかつ正確無比なシーケンス・フレーズを主体にした、速度的な爽快感を醸し出す音楽である。
「フレイム・バイ・フレイム」、「セラ・ハン・ジンジート」などにそれは顕著で、スピード感、難曲感、その上グルーヴ感さえも漂わせているのは驚嘆すべきことだ。
「暗黒の世界」に収められた「突破口」でその片鱗は窺えたが、ブリューを得て、一気に開花した印象。これは現在の耳で聴いても相当カッコいいアルバムである。
- 原題
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Discipline
- 邦題
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ディシプリン
- パーソネル
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Adrian Belew - Guitar, lead vocal
Robert Fripp - Guitar and devices
Tony Levin - Stick, bass guitar, support vocal
Bill Bruford - Batterie
- 曲目
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- Elephant Talk (エレファント・トーク)
- Frame by Frame (フレイム・バイ・フレイム)
- Matte Kudasai (待ってください)
- Indiscipline (インディシプリン)
- Thela Hun Ginjeet (セラ・ハン・ジンジート)
- The Sheltering Sky (ザ・シェルタリング・スカイ)
- Discipline (ディシプリン)
- Matte Kudasai (待ってください)
※ 8はボーナス・トラックです。
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