"クリムゾン"と同系の意味を持つ名を冠す「レッド」が、事実上クリムゾンの終焉を告げた。ライヴ盤である次作「USA」は、レッド以前に収録されたものであり、時系列的に言えばこちらがフリップ=ウェットン体制最後のアルバムとなる。
単純に、このアルバムはロック史上に残る傑作であり、同時にプログレッシヴ・ロック最後の華麗なる爆発の瞬間でもある。それは、ダイナミズムに溢れた感覚的なインプロヴィゼイションをベースに、精緻な音楽を構築しようという試みが、珠玉の作品を生み出した瞬間だ。
あらゆる「ハードロック」を超えたメタリックに過ぎるタイトル・チューンから、ヨーロッパの薫り高いバラッドの「堕落天使」、伝説のタムタム・プレイ炸裂のハードロック・ナンバー「再び赤い悪夢」、凄絶なインプロヴィゼイションが繰り広げられるライヴ録音の「神の導き」、プログレッシヴ・ロックの代名詞とすることに異論を待たない最終曲「スターレス」まで、このアルバムには一切の無駄がない。特に「スターレス」は変化していくテンポや繰り出される変拍子、鳥肌モノのクライマックスまで完璧である。
なお、直前に脱退したデイヴィッド・クロスや、盟友イアン・マクドナルドがゲスト参加しており、クリムゾン終結に花を添えた。
- 原題
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Red
- 邦題
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レッド
- パーソネル
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Robert Fripp - Guitar and Mellotron
John Wetton - Bass and Voice
William Bruford - Percussives
With thanks to:
David Cross - Violin
Mel Collins - Soprano Saxophone
Ian McDonald - Alto Saxophone
Robin Miller - Oboe
Marc Charig - Cornet
- 曲目
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- Red (レッド)
- Fallen Angel (堕落天使)
- One More Red Nightmare (再び赤い悪夢)
- Providence (神の導き)
- Starless (スターレス)
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