「太陽と戦慄」のメンバーから、パーカッショニストのジェイミー・ミューアが抜け、4人体制となったクリムゾンが放った、新生第二作。
ミューアの凶悪かつ理知的なパーカッションによるインプロヴィゼイションが失われた分、ブラッフォードがパーカッシヴなドラミングを見せ、よりリズム・セクションが重厚になった雰囲気がある。全作品中で、最もブリティッシュ・ハード・ロックの香りを漂わせている前半と、唯我独尊のプログレッシヴ・ロックを聞かせる後半に分けることが出来そうだが、ことはそれほど単純ではない。
驚くべきことに、このアルバムの大半がライヴ録音のソースをベースに制作されていたのである。フリップはどうやらライヴのダイナミズムをスタジオ盤に持ち込む手法に傾倒していたようであり、それがこの時期の黄金伝説を築いている。
最終曲の「突破口」は次作よりむしろ「ディシプリン」以降を示唆する重要なナンバー。当然この時期のメタリックな感覚も併せ持ち、変拍子と奇妙なアルペジオと相まってとんでもない世界を作り出している。
- 原題
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Starless and Bible Black
- 邦題
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暗黒の世界
- パーソネル
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David Cross - Violin, Viola, Keyboards
Robert Fripp - Guitar, Mellotron, Devices
John Wetton - Bass and Voice
William Bruford - Percussives
- 曲目
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- The Great Deceiver (偉大なる詐欺師)
- Lament (人々の嘆き)
- We'll Let You Know (隠し事)
- The Night Watch (夜を支配する人)
- Trio (トリオ)
- The Mincer (詭弁家)
- Starless and Bible Black (暗黒の世界)
- Fracture (突破口)
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