ロバート・フリップ以外総替えとなったクリムゾンが放った新生第一作。イエスのビル・ブラッフォード参加が大いに話題となったようだ。
シンボリックなスリーヴ・アートに象徴されるシャープなイメージは、そのまま音の印象と一致する。エレクトリック・ヴァイオリンとディストーション・ギターが凶暴に鳴り続け、その隙間から一気に噴出するパーカッション群に度肝を抜かれる一曲目から、インプロヴィゼイション主体の楽曲が並び、そのまま最終曲までなだれ込む構成も見事である。その最終曲「パートII」に至っては、現在のクリムゾンの重要なレパートリーでもあるメタル・ナンバーである。
このアルバムのみに参加しているジェイミー・ミューアなるパーカッショニストの凶悪なプレイも聴きモノ。タイトル・チューン二部作におけるプレイは粗雑と理知的の紙一重で、インプロヴィゼイションのダイナミズムから完成度の高い楽曲を紡ぎ出すというこの時期の手法を象徴している。また、デイヴィッド・クロス本来の持ち味であるウォームなヴァイオリン・プレイは、このアルバムにおいてはまだ十二分に発揮されている。
- 原題
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Larks' Tongues in Aspic
- 邦題
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太陽と戦慄
- パーソネル
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DAVID CROSS - Violin, Viola, Mellotron
ROBERT FRIPP - Guitar, Mellotron & Devices
JOHN WETTON - Bass & Vocals
BILL BRUFORD - Drums
JAMIE MUIR - Percussion & Allsorts
- 曲目
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- Larks' Tongues in Aspic, Part One (太陽と戦慄パートI)
- Book of Saturday (土曜日の本)
- Exiles (放浪者)
- Easy Money (イージー・マネー)
- The Talking Drum (トーキング・ドラム)
- Larks' Tongues in Aspic, Part Two (太陽と戦慄パートII)
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