平和で暖かいイメージを内包した前作に続き、突如天を突く衝撃度を伴ってリリースされたのが、クリムゾン史上初のライヴ盤である。
何が衝撃的なのか。まずはその音質である。はっきり言って粗悪な海賊盤レベル。何しろカセットテープで録ったというのだから、正規リリースされたのが不思議である。次にそのパフォーマンス。「アイランド」のメンバーとは思えないルーズでノイジィなサウンド。ロバート・フリップ以外のメンバーがジャズ・ブルーズ志向だったという話は有名だが、それが無意味とも思えるもっと粗暴なものとして聞こえる。
ただし、このライヴ盤に収められている「21世紀の・・・」は、ベストパフォーマンスとの評価が高い。元々のスピリットがヘヴィ・ロックであるこのナンバー、ここまでヘヴィにされ、ここまで凶暴にアレンジされ、しかもオリジナルより相当長いとくれば、正に元来の精神を昇華したものに他ならない。
確かに繰り返し聴くには音質や構成的に辛いが、ふとした瞬間に聴きたくなる、不思議で魅力的なライヴ盤だ。
- 原題
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Earthbound
- 邦題
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アースバウンド
- パーソネル
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Robert Fripp - Electric Guitar
Mel Collins - Alto, Tenor & Baritone Saxes; Mellotron
Boz - Bass Guitar & Vocals
Ian Wallace - Drums
- 曲目
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- 21st Century Schizoid Man (21世紀のスキッツォイド・マン)
- Peoria (ペオリア)
- The Salor's Tale (船乗りの話)
- Earthbound (アースバウンド)
- Groon (グルーン)
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