「リザード」でメンバー結束かと思われたクリムゾンだったが、またもや見事に崩壊。「リザード」期は、ライヴの公式記録なしという、活動の事実さえ疑われる異例のメンバー構成となったのである。クリムゾンはライヴを重視しているグループだけに異質中の異質と言えよう。
さらなる再編成メンバーとなったクリムゾンはニューアルバムを制作。それがこのアルバム「アイランド」である。クリムゾン史上、最も暖かい印象を与える本作。生の弦楽器や管楽器が多用されていることが最も大きな要因だが、硬軟取り混ぜたボズのヴォーカルも、このアルバムには見事にハマっている。「フォーメンテラ・レディ」の囁くようなジェントルなヴォーカル、「レターズ」や「レディーズ・オブ・ザ・ロード」のようなヘヴィな歌声。クリムゾンにおいてのみ語れば、レイクを確実に超えている。
本作はまた、詩人ピーター・シンフィールドが参加した最後の作品でもある。彼の描く理想郷が見事に結実しており、タイトル・チューンに見られるようなユートピアへの郷愁といったものが、アルバム全体に影響しているのが分かる。それが傑作への評価に繋がっている。
フリップが後に展開するクリムゾンの音楽を聴いてみれば、シンフィールドとフリップ両者が意図する方向性が明らかに異なっており、この後の決裂は当然の結果であった。
- 原題
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Islands
- 邦題
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アイランド
- パーソネル
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Robert Fripp - guitar, mellotron, Peter's Pedal Harmonium and sundry implements.
Mel Collins - flute, bass flute, saxes and vocals.
Boz - bass guitar, lead vocals and choreography.
Ian Wallace - drums, percussion and vocals.
Peter Sinfield - words, sound and visions.
Featured players
Keith Tippet - piano.
Paulina Lucas - soprano.
Robin Miller - oboe.
Mark Charig - cornet.
Harry Miller - string bass.
- 曲目
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- Formentera Lady (フォーメンテラ・レディ)
- Sailor's Tale (船乗りの話)
- The Letters (レターズ)
- Ladies of the Road (レディーズ・オブ・ザ・ロード)
- Prelude : Song of the Gulls (プレリュード:かもめの歌)
- Islands (アイランド)
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